アニメが好き。漫画が好き。だから私は、走れるよ。
アニメが大好き。漫画が大好き。
好きになった瞬間っていうのは分からない。気付いたらっていうのがしっくりくる。でも、最初に自主的に見始めたアニメはよく覚えてる。確か、あの大人気ゲームのアニメ。主人公が世界中の地方を相棒と一緒に旅して回るストーリー。どこがどう面白いかとかは考えてなかった。ただ、30分じゃ足りなくて、最後の「TO BE CONTINUED」の文字が恨めしくて、来週が待ちきれなかった。これが保育園から小学校低学年のこと。
次は本格的にアニメと漫画にハマった。少女漫画じゃなくて、少年漫画の方に魅力を感じた。連載中の有名どころは抜かり無くチェック。親世代のスポーツ漫画、冒険漫画、バトル漫画も自主的に見た。今も昔も、変わらない面白さが大好きだ。
バトルや冒険漫画は、キャラクターが戦うから、当然怪我をする。推しキャラが辛い思いをするのは嫌だ。けど、それに萌えてる自分の方が多い。怪我なんてしないで欲しい。けどもっと必死な顔も見たい。キャラの幸せを望むのに、諦めないでもっと戦って欲しいと思う。「頑張れ」と、言ってしまう。
小学校高学年、いろいろなことを考える年頃、そんなことを思いながら、漫画を読んで、アニメを見ていた。この考えは、オタク失格、ファン失格なのではないか。みんなの事は大好きなのに、本心では幸せを願っていないのかと。
私は今、絶望している。こけた。こけてしまった。バトンが渡った時は2位だった。アンカーだ。最も、やってはならないことをした。4人に追い抜かされた。一瞬で、私の心は冷え切った。
立ち上がって、走り出す。絶対膝を擦りむいた。歩くの、きっと痛いな。いやその前に、視線が痛いな。ゴールするの辛いな。転んで圧倒的に最下位。拍手されて、頑張れー!って言われながらゴールするんだろうな。拍手される筋合いない。だったら罵倒をくれ。
こんなことグチャグチャ考えながらも、私は走る。どうして?やり切ることこそ美徳だから?でもこのまま走り続けたら、後から傷が痛いよ?どうせ最下位。走っても走っても、追いつけやしない。なのに、諦めるという選択肢は、私にはない。
ああそうか。だからみんな、戦うのをやめないんだね。諦めて怪我をしないことは、みんなの幸せじゃないんだね。私もそうだ。今走るのをやめて、傷に絆創膏を貼りたいとは微塵も思わない。
クラスメイトはみんな、私がゴールしたら、よく頑張ったねって労わってくれる。けど、今労ってはくれない。頑張れ、頑張れ。全力で叫ぶ声が聞こえる。それは、諦めることは許さないという脅迫。労りではない、私の幸せを思う脅迫。
誰かのためとかじゃない。自分のためだ。安全が望みじゃない。エゴだ。ただのエゴ。そして、それを応援する、私達の「頑張れ」。
ゴールテープはもう切れない。勝てはしない。けど負けてない。そうだよね、諦めることこそ、負けなんでしょ?
怪我は大丈夫。みんなの方が、痛い思いをいっぱいしてる。命をかけて戦って、想像を絶するほどの痛みを味わってる。それに比べたら、こんな擦り傷、どうってことない。大丈夫。大丈夫。だから、こんなとこで泣くな。アンカーで転んだクソみたいな私、下を向いている暇はあるのか!
バトンしっかり持って、走れ!力を繋ぐ大切さは、ヒーローたちが教えてくれた。
さあ私に、精一杯の罵倒を!精一杯の「頑張れ」を!私が諦められぬように!私を主人公にしておくれ!
アニメと漫画は私の人生。みんなはいつも、私の背中を押してくれる。そんなみんなに向かって、私はまた、「頑張れ」と叫ぶ。




