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神々しいがゆえに
山は高くして尊からず。高いがゆえに名峰と呼ばれがちであるが、高いがゆえに秀峰というわけではない。
この物語は、あるどこにでもいる純朴だけが取り柄の若者の情熱が描いた物語である。
純朴とは確かに聞こえは良いが、言い換えれば不器用そのもであり、ある意味では鈍間であり逃げ足が遅く、踏ん切りが悪いばっかりにいつまでも一つのことにしがみ付き、挙句の果て辺りを見渡すと残っているのは自分一人ということばかりの人生であり、その繰り返しであった。しかしにもかかわらず無頓着であり、諦めることが苦手で、懲りない人間であり、失敗しても失敗しても成功を夢見続けるそんな人生であった。