表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/208

ph23 SSC本選開始


 本選当日。ネオ東京サモンアリーナにて、昨日と同じように蟻乃ママヲと解セツオが、ハイテンションでアナウンスをしている声が会場の外まで聞こえている。


 どうやら、大会前のパフォーマンスを行っているようだ。


 それに答えるように観客の歓声は沸き上がり、会場の熱気は十分だった。


「よっしゃあ! 今日は思いっきりマッチするぞぉ!」


 タイヨウくんも会場の空気に感化され、気合い十分にガッツポーズをしている。


「なぁなぁ! 俺、今日は先鋒でいいか? つぅか先鋒がいい! 速くマッチがしてぇんだ!!」

「ふふふ、本当にタイヨウくんはマッチが好きだね。……いいよ。順番はタイヨウくんに任せるさ」

「……フン」


 タイヨウくんすげぇな!? あの合わない二人の意見が秒で合ったぞ!?


 これが、主人公パワーか……。


 私がタイヨウくんのカリスマ性に感慨していると、タイヨウくんは心配そうに私の顔を覗き込んできた。


「サチコ、昨日はごめんな? 俺が遅刻したせいで調子が悪いんだろ?」


 タイヨウくんは、多分、今朝の事を言っているのだろう。


 夢の内容は覚えていないが、嘆きの刻印の影響で悪夢を見ていたらしい。魘されていた私に一番に気がづいたのはヒョウガくんで、慌てて私の名前を呼んで起こしたのだ。


 そして、その声で目が覚めたタイヨウくんは何事かと聞いてきたのだが、タイヨウくんに正直に話してしまうと、お人好しな彼は心配で今日のマッチに影響が出てしまうだろう。それを避けるため、疲れて夢見が悪かったと誤魔化したのだ。


 まぁ、私自身あまり大事にしたくないしな。ここで問題を起こして、そのまま悪の組織編に突入! なんて事態になったらたまったものではない。空気を呼んで合わせてくれたヒョウガくんに感謝だ。


「ううん、タイヨウくんのせいじゃないから気にしないで。それより、本選頑張ろう」

「あぁ!」


 タイヨウくは、歯を見せながら笑うと、私達に行こうぜと声をかけ、皆で会場に向かった。













『さぁ! 待ちに待った本選が始まったぜ!! 予選を通過した熱き魂をもつサモナーチームはこの8チームだ!!』


 蟻乃ママヲが会場に浮かんでいる電子スクリーンに指を差す。


 すると、スクリーンにノイズが走り、画面が切り替わる。


 どうやらチームメンバーを映していくようだ。


『厳正な規律で統率された正義の剣、チーム、ホーリーナイト!!』


 騎士の格好をした男の子達が、統率された動作で剣を構える。


『僕らは4人で1人! 四つ子のチーム、シンクロニティ!!』


 全く見た目が同じで、服でしか識別できない四人の男の子が、全く同じ動きで手を振っている。


『サモン科学で人類の発展を目指す科学チーム、サイエンシス!!』


 白衣を着た男の子達が、一斉にバインダーに挟んである紙に何かを書き始めた。……というか、サモン科学って何だ?


『熱血漢の応援集団! チーム、ワイルドズ!!』


 学ランを着た暑苦しい男の子達が、オスッ! と息を揃えて叫ぶ。


『広大な宇宙を夢見る未来の宇宙飛行士! チーム、プラネット!!』


 宇宙服を着た男の子達が、ペコリと頭を下げる。……どうでもいい事かもしれないが、その服動き辛くないか?


『月のない夜はご注意を! チーム、アサシン!!』


 目以外の全身を黒い服で覆っている不審者スタイルをした男の子達は、無言で立っている。


『狙った獲物は逃さない! チーム、ガンマン!!』


 西部劇にでも出てきそうな集団が、ピストルを構えて、バンバンと会場に撃った振りをした。



『友情パワーで世界を照らす! チーム、タイヨウ!!』


 最後に私達のチームの名前が呼ばれたので、一応ペコリと観客席に一礼した。


『以上の個性的な8チームだぁ!!』


 本当にな。


 何で全員コスプレしてんの? なんかそういうルールでもあんのか?


 小道具まで作って、役作りに必死か?


『最初に熱い戦いを見せてくれるチームはどれだぁ!!』



 ステージの床からボタンのついた小さな柱が生えてきて、蟻乃ママヲのちょうど手がおける位置まで上がった。


 蟻乃ママヲは、戸惑いなくそのボタンを押す。すると、会場のスクリーンにチームの代表の顔がランダムに映され、勿体ぶるように切り替わった末に、ピタッと止まった。


 そこに映された顔は、タイヨウくんと、チームワイルドズの人だった。多分、この人がチームのリーダーなのだろう。


『チームタイヨウVSチームワイルドズぅうぅぅ!! 両者はバトルフィールドに移動してくれ! そして、マッチしない選手は控え室にGO!!』


 蟻乃ママヲに言われるがままに、選手達はゾロゾロと指示された場所に向かった。




 私とヒョウガくんとシロガネくんの3人は、チームに用意された控え室に入ると椅子に座り、備え付けられているスクリーンを観た。


『チームワイルドズの先鋒はぁ!! チームを奮い立たせる熱き叫び! 正円(せいえん)オクル選手だぁ』


 正円は、実況の紹介に答えるように、応援団が良くするようなポーズを決めている。


『対するチームタイヨウは! 皆を照らす地上の光! 晴後タイヨウ!!』


 タイヨウくんは、その名前に違わない眩しい笑顔を浮かべている。


『準備が整ったたところでモンスターを召喚だ!! 宜しく頼むぜ!』


『燃えろ魂! ど根性だ! コーリング! ブレイブ! ガッツ!』


『楽しいマッチにしようぜ! コーリング! ドライグ! わたんぼ! アチェリー!』


 両者共にモンスター召喚が終わると、恒例行事の如く蟻乃ママヲが観客席に呼び掛けた。


『それじゃあ行くぜ! 皆様もご一緒にぃぃ? レッツ……サモン!!』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ