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ph157 開戦の火蓋ーsideタイヨウー


「……タイヨウくん、君は……変わらないね。だからこそ僕は……」

「シロガネの兄ちゃん?」


 シロガネの兄ちゃんが、優しい目で俺を見た。何だろうと思って首を傾げると、兄ちゃんは小さく首を振り、「なんでもないよ」と笑みを消した。そして、すぐに真剣な顔つきになる。


「クロガネはネオアースにも精霊界にも被害を出さないように、次元の狭間でアフリマンに抗っている。そして、元アフリマンの器だった僕は、2人の正確な座標が分かる。今はクリス・ローズクロスがアフリマンと分断されている絶好の機会だ。クロガネからアフリマンを追い出すには、この機を逃してはいけない。もし彼が介入してきたら──全てが水の泡になる」

「なんだと?」


 兄ちゃんの言葉に、総帥が険しい表情で「どういうことだ」と問い詰めた。


「全ての時間軸でもクリス……彼は、アフリマンと共に行動していた。そして、ネオアースを破壊しようとしていた。今まではその理由が分からなかった。でも、僕がアフリマンの器になった今回で、その理由がようやく分かったんだ」


 兄ちゃんは一瞬、迷うように言葉を切り、俺たちを見渡した後、静かに続けた。


「彼はね、終わらせたいんだ。この負の連鎖を……これ以上、ネオアースシステムによる犠牲者をなくすために、ネオアースそのものを壊そうとしている」

「なっ!?」


 俺は兄ちゃんの言葉に驚いて声を上げた。


「そんな、壊すって……そりゃ、ネオアースシステムは俺もよく思わないけどさ! 壊すのは違うだろ! そんなんじゃ、ネオアースになった人も、ネオアースにいる人たちも、みんな死んじまう!!」

「なるほどな」


 総帥の低い声が聞こえた。納得したようなその声に、俺は思わず総帥の方を振り返る。


「ネオアースを破壊し、全人類を精霊界に移住させるつもりか」

「うん、その通りだ」


 兄ちゃんが頷くと、ケイ先生が目を見開いて大声を上げた。


「マナ使いじゃない人間は、精霊界のマナに耐えられない! そんなことをしたら、世界の半数以上の人間が死んでしまうじゃないか!」

「でも、マナ使いは助かる」


 兄ちゃんは、まっすぐケイ先生を見据えて言う。


「彼は、ネオアースシステムを壊すためなら、マナを使えない人たちの犠牲も厭わない。そして、七大魔王(ヴェンディダード)の力を使って、精霊界を――地球を精霊から取り戻そうとしているんだ。はるか昔、西暦と呼ばれていた時代のように……マナ使いが当たり前に存在していた、遠い昔の世界に戻すためにね」


 兄ちゃんの言葉に、その場の空気が一気に変わった。ケイ先生が悔しそうに唇を噛んでるし、総帥もめちゃくちゃ怖い顔して黙り込んでる。俺もなんか嫌な気持ちが胸に広がって、手がじっとり汗ばんだ。


「……っ、そんなことは間違っている!」


 ケイ先生の声が震えてた。怒ってるんだろうな。でも兄ちゃんは、その怒りを正面から受け止めてるみたいで、全然動じてない。


「だから止めるんだ」


 兄ちゃんの声には、なんかスゴい重みがあった。言葉の一つ一つが、絶対に逃げないって覚悟を感じさせる。俺は、その雰囲気に飲まれそうになりながらも、兄ちゃんをじっと見つめた。


「クリスは、最初は自分がアフリマンになろうとした。でも、それができなかった。それで彼は考えを変えたんだ。自身がアフリマンにはなれなくても、操ることはできるんじゃないかってね──そう考えて。そして、その目論見は見事に成功した」


 兄ちゃんがなんかスゴい話をしてるのは分かる。けど、バカな俺は半分くらいは意味が分からなかった。それでも、このままじゃ世界が危ないってことは分かった。俺にとっては、それだけで十分だった。


「……そうか」


 総帥はそう言って、兄ちゃんのいる機械のそばに歩いていく。そして、その機械に触れながら俺たちを見渡した。


「諸君、状況は理解したな?」


 短い問いかけに、場の空気が張り詰める。総帥の声は低く、冷静そのものだ。


「事態は一刻を争う。我々が取るべき行動も、もはや複雑な判断を要さない。七大魔王(ヴェンディダード)を討ち、ネオアースを守る。それだけだ」


 一つ一つの言葉が、静かにだが確実に胸に響く。


「作戦は予定を前倒しし、本日決行とする。各員、自らの役割を全うするだけでいい。それ以上でも、それ以下でもない……心の準備ができていない者はいるまいな?」

「あぁ!」


 俺は自分でも驚くくらい大きな声で叫んだ。その瞬間、総帥がふっと微笑んだ気がして、少しだけ怖さが和らいだ。


「……ならばいい」


 満足気に頷いた総帥は、機械の方に向き直る。


「貴公の言葉が真実であることは、この装置が証明している。が、少しでも不審な動きを見せれば──その時は分かっているな?」

「もちろん」


 総帥が厳しい目で問いかけると、兄ちゃんは迷いもなく頷いた。その瞬間、なんか空気がピリッとした感じがしたけど、総帥は無言で兄ちゃんを拘束していた装置を解除した。


「タイヨウくん」


 拘束が解除された兄ちゃんが、俺の方を振り向いた。


「君のマナならアフリマンを浄化できると言ったけど、今の君の力だけでは厳しい。だから、僕の力を君に──っ、アグリッド!!」

「うわあ! アオガネぇ!!」

「アグリッド!!」


 兄ちゃんが言い切る前に、部屋全体が激しく揺れた。突然の衝撃にバランスを崩しかけた俺の方へ、兄ちゃんがアグリッドを投げる。咄嗟に受け止めた俺は、アグリッドをカードに戻した。


 そして、地震かと思うような強い揺れに、俺は壁に手をついて踏ん張る。そんな中、急に眩しい光が俺たちを照らした。


 反射的に目を細めながら光の方を見ると、部屋の天井が崩れ、その隙間から見覚えのあるシルエットがゆっくりと浮かび上がった。


「それ以上は困るなぁ」

「ヨハン!?」


 部屋の天井を壊して現れたのはヨハンだった。


 ヨハンは、俺が見たことのない表情で兄ちゃんを見つめている。


「クリス!? なんでここに!?」

「クリスだって!?」


 兄ちゃんがヨハンに向かって放った言葉に、俺は思わず声を上げた。


「な、何言ってんだよ! ヨハンがクリスって……ヨハンはヨハンだろ!? あいつはクリスって奴の子供で、酷いことされてて……!」

「違う! クリスに子供なんていない! あれは、クリス自身がアフリマンの器になるために作り出した肉体の一つなんだ! ずっと行方不明だと思っていたけど……まさか、こんなところにいたなんて!」

「ちょっとおしゃべりが過ぎるよ」


 冷たく響く声が場を切り裂いた。その瞬間、総帥が俺たちの前に飛び出す。


「総員! 一塊になって私の後ろに隠れろ!!」


 総帥が叫ぶと同時に、激しい音と衝撃が部屋を襲った。


 あまりの衝撃に目をつぶり、すぐに開けると、部屋の一部が吹き飛んでいて──兄ちゃんの姿が見えなかった。


「せっかく上手く紛れ込めていたのに、君のせいで計画が台無しになったじゃないか」

「アオガネ兄さん!?」

「動くな!!」


 シロガネが前に出ようとするのを、総帥の強い声が遮った。


「刺刀!!」

「はい!!」


 総帥の声に即座に反応して動き出すケイ先生。先生は床に落ちていたカードを拾い上げた。


「みんな! 体勢を立て直すよ! 一時撤退だ!」

「でも、ヨハンは!? シロガネの兄ちゃんがっ!」

「今は説明している暇はない! 走れ!!」


 ケイ先生がカードを握りしめ、俺たちを急かす。俺は頭が真っ白のまま走り出そうとしたけど、動かない総帥が気になって振り返った。


「総帥は!?」

「総帥はクリス(ドゥルジ)の足止めだ! 僕たちは僕たちのやるべきことをやるんだ!!」


 心配で足が止まりかけた俺に、先生が強い声で言い切った。その言葉に背中を押されるような気がしたけど、胸のモヤモヤは消えない。


 総帥は強い。けど、ネオアースのフィードバックがある。本調子じゃない総帥が、七大魔王(ヴェンディダード)と戦うなんて、どうしても心配だ。


「大丈夫、総帥はこんなところで負けたりしない」

「そうだよ、タイヨウくん」


 シロガネが俺の横に立ち、ケイ先生の言葉に同意するように続ける。


「父上は、ネオアース最強のサモナーなんだ。そんな父上を心配するなんて、逆に失礼だよ」

「……シロガネ」


 一番心配しているはずのシロガネが、何でもない顔をして言うのを見て、俺は言葉に詰まった。


「父上を心配するより、僕たちが果たすべき役割を全うすることの方が大事だ。それが、父上の信頼に応える唯一の方法だから」


 シロガネの言葉に、俺はぐっと拳を握った。


「……そう、だな。そうだよな!」


 こんな時に弱音を吐いている場合じゃない。シロガネが耐えているんだから、俺だって前を向かなきゃ。


 俺は顔を上げ、シロガネの横で立ち直った自分を見せた。


「ごめん、俺が間違ってた! 行こう、先生!」


 ヨハンのことや、シロガネの兄ちゃんのことが気にならないわけじゃない。でも、その思いをぐっと押し込んで、俺はケイ先生の言葉に従い走り出した。








 アイギス本部の中には、いくつもの歪みが現れていて、その影響で壊れた壁の瓦礫があちこちに散らばっていた。人影はほとんどなく、避難誘導のためのアナウンスがかすかに聞こえるだけで、普段の活気はどこにも感じられなかった。


「な、なぁ。他のみんなは……ハナビは大丈夫なのか?」

「避難経路はちゃんと確保してあるよ。ハナビちゃんも、アイギスの職員が安全な場所に避難させているから、何も心配いらないよ」

「そっか……」


 ハナビが無事だと聞いて、俺は胸を撫で下ろした。でも、耳に残るアナウンスの音や、ところどころに散らばる物資が、不安な気持ちを完全には消し去ってくれない。


「なぁ、先生。さっき拾ったカードって、何なんだ?」

「これかい?」


 ケイ先生は手に持ったカードを俺に見せるように持ち上げた。


「これはね、アオガネくんだよ」

「なんだ。シロガネの兄ちゃんか……って、兄ちゃん!?」


 意味がわからなくて、思わず大声で聞き返した。ケイ先生は落ち着いた顔で口を開く。


「僕たちは総帥のおかげで無事だったけど、ヨハンくん……いや、クリス・ローズクロスの力で、アオガネくんはカード化されてしまったんだ」


 先生の言葉が、頭の中で何度も繰り返される。


 カード化?  兄ちゃんが?  心の中で意味を探ろうとするけど、ピンとこない。俺はしばらく黙り込んだ。


 ヨハンが七大魔王(ヴェンディダード)だってことは、分かってた。頭では分かってたんだ。


 でも、ここで一緒に過ごしたヨハンは、怖がりで、でも優しくて、いい奴で……。一緒に笑い合ったあの日々が、何度も頭をよぎる。


 だから、クリス・ローズクロスだなんて言われても、正直まだ信じられない。アイツが俺たちの敵だったなんて──どうしても結びつかないんだ。


 でも、考えている時間はない。目の前の現実に向き合わなきゃいけない。


「……カード化って、どういうことだよ?」


 胸の奥から湧き上がる疑問を、ケイ先生にぶつけた。


「その名の通り、人をカードに変える力のことさ」

「な、なんだよそれ! じゃあ、シロガネの兄ちゃんはどうなるんだよ!?」


 先生の答えに焦りながら聞き返すと、先生は静かに首を振りながら言った。


「まだカード化されて時間が経っていない。天眼家当主の力を借りれば元に戻せる。心配しなくていいよ」


 ケイ先生はそう言って前を向いた。


「アオガネくんは、君の力だけじゃアフリマンを浄化するには足りないと言いかけていたね。そして、何かをしようとしていた。何より、彼がいなければクロガネくんの居場所が分からない。アフリマンを倒すためにも、アオガネくんのカード化を解かなきゃならない。気になることはいろいろあるだろうけど、とにかく天眼家当主と合流しよう」

「あぁ、分かっ──」

「タイヨウくん!!」


 先生の言葉に頷こうとした瞬間、サチコの焦った声が響いた。


 トン、と背中を押されて俺は地面に転がる。一体何があったんだ、と急いで体を起こすと、サチコが黒い何本もの手に掴まれて、歪みの中に引きずり込まれていた。


 え、俺、今……サチコに庇われたのか?


「サチコっ!?」

「チィッ!」


 俺が動くよりも早く、何かが目の前を横切った。


「バカ女ァッ!!」


 それはセンだった。


 誰よりも速く、一番に動き出したセンは、飲み込まれるサチコに向かって手を伸ばした。


 その手はかろうじて出ていたサチコの指先を掴み──そのまま、二人とも歪みの中に消えていった。


「サチコ!? セン!!」

「影薄!!」


 俺のせいで二人が飲み込まれたんだ。


 そう思うといてもたってもいられず、歪みの中に飛び込もうとした。でも、ケイ先生に腕を掴まれた。


「ダメだ! タイヨウくん!」

「っ、離してくれよ! 先生!」


 俺は暴れた。サチコもセンも助けなきゃ──でも、ケイ先生も俺に負けないくらい強い声を上げる。


「君は、アフリマンを倒すために必要な存在なんだ! 行かせるわけにはいかない!」

「それは……けど! サチコだって同じだろ! サチコがいなきゃ、五金先輩のマナを浄化できねぇじゃんか!」

「サチコちゃんは先祖返りだ!」


 先生の声は鋭かった。


「彼女のマナコントロールなら、歪みから自力で戻ってこれるはずだ。それに、センくんも一緒だ。今ここで君が勝手に動けば、任務全体に大きな支障を来すことになる!」

「……っ!」


 先生の厳しい言葉に、俺は何も言い返せなかった。ただ、悔しくて……どうしようもなく悔しくて、拳を握りしめた。


「……そうだね。サチコちゃんなら大丈夫。センくんが一緒なんだし、心配ないよ。それよりも……」


 俺が黙り込んでいると、ユカリが冷静な声で言った。その顔は真剣そのものだった。


「ネオアースに七大魔王(ヴェンディダード)の気配が3柱もある。これ以上の侵入を許したら、ネオアースは持たないよ。アオガネくんのカード化を解くのも大事だけど、残りの七大魔王(ヴェンディダード)を精霊界にいるうちに倒さなきゃいけない」

「ならば、俺が精霊界に向かおう」


 ユカリの言葉を聞くなり、ヒョウガが実体化させた銃を握りしめて、迷いのない声で言った。


「ここにいても、俺にやれることはない。予定通り精霊界に赴き、七大魔王(ヴェンディダード)を倒した方が効率もいい。影薄も、俺が探しに行く」

「君が行くなら僕も行くよ」


 シロガネが、ヒョウガの言葉に便乗するように続けた。


「タイヨウくんの側にいたいのが本音だけど、一応タッグパートナーだしね。それに、僕にも今はやることがない。精霊界で残りの七大魔王(ヴェンディダード)でも倒した方が時間の有効活用になるってものさ」

「シロガネ、ヒョウガ……」


 俺が名前を呼ぶと、今度はアボウが一歩前に出てきた。


「だったら、俺たちも行くじゃんよ」


 アボウはラセツの肩を叩きながら言う。


「次元の狭間にいるアフリマンを除いて、精霊界に七大魔王(ヴェンディダード)は3柱だろ? 七大魔王(ヴェンディダード)は二人一殺が基本じゃん。影薄サチコたちも精霊界に行っちまったんなら、アイツらも倒しに向かうだろうし、氷川ヒョウガたちで1柱、俺らで1柱。ちょうど良くねぇか? な、ラセツ」

「……」


 ラセツは無言で頷いて、アボウに応える。


「アボウ、ラセツ……」


 俺が二人の名前を呼ぶと、今度はアスカが笑みを浮かべて前に出た。


「でしたら、人間界に来ている1柱は私たちがお相手いたしますわ」


 アスカは扇を広げ、自信満々に宣言する。


「タイヨウ様がアフリマンに集中できるよう、フィアンセとしてお支えいたしますわよ! おーっほっほっほっほ!」


 高笑いを響かせながら、アスカは胸を張った。その後ろで、セバスも「私もお供いたしますよ」と静かに言う。


「アスカ、セバス……」


 俺が二人に声をかけたその時、ケイ先生がヒョウガたちの方へ歩み寄り、拳ほどの大きさの装置を差し出した。


「これは七大魔王(ヴェンディダード)の居場所を特定する装置だ。これがあれば、精霊界にいる七大魔王(ヴェンディダード)の正確な位置が分かるはずだよ」


 ケイ先生はその装置をヒョウガとアボウに手渡しながら、少し申し訳なさそうな顔をして言葉を続けた。


「本当は全員分用意したかったんだけど、二つしか作れなくて……人間界(こっち)にいる七大魔王(ヴェンディダード)の探知は天眼家(きみたち)頼りになりそうだ。ごめんね」

「平気平気。サチコちゃん程じゃないけど、僕だってマナコントロールなら自信あるし、精霊界の組にだけあれば問題ないでしょ」


 ユカリが得意げに胸を叩きながら言う。それに続いて、エンラも笑顔で「任せてよ」と明るく声を上げた。


 その様子を見たケイ先生は、眩しいものでも見るように目を細めて、ぽつりと呟いた。


「本当に……優秀な子たちばかりで、ネオアースの未来は明るいね」


 一瞬静かになったけど、ケイ先生はすぐに顔を上げて俺たち全員を見渡した。


「精霊界に向かう組は、七大魔王(ヴェンディダード)が人間界へ侵攻するのを全力で阻止してくれ。こちらに残る組は、タイヨウくんの護衛を最優先とする。アオガネくんとタイヨウくんを狙って七大魔王(ヴェンディダード)が襲撃してくる可能性は十分にあるからね。でも、無事に天眼家へ到着した後は、天眼家の力を借りて、人間界に現れた七大魔王(ヴェンディダード)の元へ向かい、それぞれ撃破に当たってほしい。いいかな?」


 先生の問いかけに、俺たちは一斉に頷いた。先生は「いい返事だ」と笑って、天眼家の方向に体を向ける。


「シロガネくん、そっちの指揮は任せたよ」

「了解しました。……タイヨウくん、アフリマンは君に任せるよ」

「あぁ!」


 シロガネはそう言って駆け出し、精霊界への転移魔法陣がある場所へ向かっていった。ヒョウガやアボウたちもその後を追いかける。


「さぁ、僕らも行こう」


 ケイ先生のその言葉を聞いて、俺たちは止まっていた足を動かし始めた。





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