#『第二章』#
俺は二つ目の質問をした。
プロフィールの中に固有スキルで人型変異というスキルがあったが、これについて詳しく叡智者に教えてもらいたいと思ったのだ。
すると、
〔解、このスキルは文字通り、人型に姿を変えるスキルです。しかし、人型になる際の姿は決められません。すでにこのスキルの解析も済んでいます。実行しますか〕
と教えてくれた。
俺は少しガッカリしてしまう。
俺が人型になったとしてもおそらく男性型だろう。男姿のお尻に竜の尻尾があるだけで気持ち悪くなるからだ。
大抵性別的なものが決まるとしたら精神が女よりか男よりかで決まるのも定番だから俺は男性型だろうと思っているのだ。
しかし俺は人型になることでのメリットはたくさんあると思っている。
人型になることであまり目立たなくなる。人間の街にも多分行ける。おそらく人間にも、魔物にも敵対されない。
と言ったメリットが多分あるのだ。
そう思いながらもYESと言う。
〔了、固有スキル人型変異を実行します〕
すると俺の視線がみるみる下がっていく。
だんだん視線が変わっていくと同時に俺は少し地味だなぁ、と思ってしまうのは内緒のことだ。
ちなみに言うと竜の姿ではなぜか声が女性のように高かった。今まで発していた漢らしい声ではないのは少しショックだ。
人型変異が完了すると同時に叡智者は、完了しました。と教えてくれた。
俺はまだ体を見ていない。
「せめてカッコいい男性型であってくれ!」
と祈るかのようにして手を前で合わして俺は自信の姿を見ようとし、下を向くように首をさげる
人型変異に完了したとは言ってもまだ女性のような高い声のままであった。
……、
下を見た瞬間衝撃を受けてしまった。
体つきが女性に近かったからだ。
しかしデリケートゾーンは女性的でも男性的でもないフラットな感じ。すなわち中性なのだ。
姿は女性っぽいが中身は男性。そして子作りもできないフラットな空間。これが本物の中性なんだなと実感する。
すると少しの間頭を下に下げていたせいか、髪の毛が垂れてきたのだ。その髪の色は俺が竜の姿の時の鱗と同じ色であった紫がかった黒。
ちなみに俺が想像していた尻に竜の尻尾があるというのは単なる俺の想像で、現実は違かった。尻に竜の尻尾なんて生えていなかったのだ。
なぜデリケートゾーンがフラットだと分かったかは簡単な話だ。
俺が服を着ていない、すなわち素っ裸だからだ。
だが素っ裸なことより、姿が女性型に近い中性だったと言うことについてとても驚いているせいで素っ裸なことがあまり驚けなくなってしまっていたのだ。
俺はなんでこんな姿になってしまったのか叡智者に聞く。
〔解、竜種は繁殖を必要としません。なのでオス、メスと言ったものが無いのです。実は竜種が人型に変異するとき、竜型をそのまま人型に変換するのである程度の人型の予測はできます〕
要するに俺の竜型は結構可愛い部類だから、人型でも可愛い部類の姿なったのだろう。すなわちイデアに干渉したと言うことだ。
このようなイデアに干渉して姿を変えることをしているアニメもあったなと思い出しながらも段々と心が落ち着いていった。
……
…
俺は突っ立っていた。
顔を赤くしながらだ。
理由は至って簡単。
段々と心が落ち着いていったため、自信が素っ裸だということがとても恥ずかしくなっていったからだ。
首から下の方を服でもなんでもいいから隠したいと思っているが、そんなことはできないともわかっているつもりだ。
しかし、やはり恥ずかしいものは恥ずかしいのだから俺は神に祈りながら叡智者になんとかしてくれと頼む。
すると、
〔了、それでは固有スキル鱗操作を駆使して体と独立する薄い服のようなものを再現します〕
と叡智者は言って俺は驚いてしまった。
本当にできるとは思ってもいなかったからだ。
そしてもう一つ驚いたことは、固有スキル鱗操作はこのようなことにも使えると分かったことだ。
するとみるみる人型の体から紫がかった黒の鱗が浮き出て、それぞれがくっつき合っていって、約十秒くらいで服のようなものができた。
しかしその鱗で作られた服のようなものは、まるで自衛隊が異世界に行ったアニメに出てくる奴隷のような服。
もっと簡単に言うと縦長の布地の中心に顔が入る大きさの穴を開けて、そこにそのまま頭を入れたような感じだ。
しかし素っ裸でなくなったのにこれ以上注文をするのも良くないと思い、これから少しの間この服装で動くだろうと思う。
俺は一応固有スキル鱗操作で服のようなものが作れると知ったから、スキルアップすることによってもしかしたら今の奴隷服のようなものから、もっと精密な服の見た目にできるのでは?と考えたため叡智者にズルではあるが、超強並列演算&超強解析鑑定を駆使してスキルアップしてくれと頼む。
しかし今すぐに固有スキル鱗操作がスキルアップするわけでもないから当分はこの服装だろう。
ちなみに今は思考加速を駆使して叡智者と話していた。
この思考加速というスキルは俺が想像していた通り思考する時間を通常の倍以上の時間感覚で思考できるというものだ。
……
…
俺は少しこれから何をすれば良いか、何を目標にしていけば良いのかを考えていた。
立ちながら考えるのでなく胡座で座りながら考えている。
考えた結果俺はこれから『崇められる存在になろう!』という結論にたどり着いた。
この世界ではドラゴ……竜は崇められる存在なのかわからない。だが前の世界では、特に昔は東洋のドラゴンは崇め奉られる存在になっていたのを思い出し、せっかく竜なのだからこの世界でも崇め奉られる存在になろうと思ったからだ。
確か前の世界では昔、西洋のドラゴンと東洋のドラゴンの存在の仕方は別々で、西洋は悪魔的な存在。東洋は神的な、神聖的な存在。だった。
今思うとなぜ西洋と東洋でドラゴンの存在感が違っているのか、やはり謎だ。もしかしたら誰か解明していたのかもしれないが、今になっては知ることもできない。
「崇め奉られるための第一としてまずは……、何をすればいいんだ?」
俺は叡智者にこれからまずどうすれば良いか、俺の提案と同時に言おうとしたらその言うことを一瞬にして忘れてしまったため、何をすれば良い選択になるかだけしか聞けなかった。
すると、
〔案、それではまず恩人になることでしょう〕
と答えてくれた。それにプラス、
〔そのためにはマスター自身が強くなる必要があります〕
と教えてくれた。こんなに有能なスキルを最初から持っていてマジで助かった!と俺は思う。
RPGでは強くなるために、最初は雑魚モンスターを倒して経験値をゲットして強くなるみたいな流れだが、あいにくここは現実。RPGゲームではないからこそ、それ通りにはいかないと俺は思っている。
「んー……」
首を傾げながら股も考える。
別に叡智者の提案とかを待つために考えているわけではありません!
〔告、ユニークエクストラスキル暴食者を使用して魔物を倒すことによって相手の獲得していたスキルを使用できるようになったり、その魔物の姿に擬態することもできます〕
すると叡智者がそのようなことを教えてくれた。
どうやらRPGゲームのような感じで、経験値以外は獲得できるらしい。叡智者が言っていた暴食者を使えばの話ではあると思うが。
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