#『第十章』#
遅くなり申し訳ございません。
訂正で『暴闇竜』を『暴星竜』に変えました。
さっきのことは無かったことにして、俺はゴブリン、牙狼族らに集合してもらうよう言う。
俺はそこでこの村の主になることを宣言しようと思っているのだ。
……
…
牙狼族は俺が言ってから二分もかからずに集合した。
だがゴブリンは村の復興作業とかがあって少しまるのが遅く、五分後に全員集まった。
その間俺は高さ四〇センチほどの何かに乗って待っている。手を前で組みながらだ。
俺は二種族が集まり静まったと同時に、
『ちゅうもぉぉぉく!』
そんなふうに大声で言う。
ぶっちゃけて言うともうみんな注目していたが、これをやりたくなったのだからしょうがないと思う。
「シルダ様、おそらくもう全員注目しておられると思います……」
しかし俺の正面から四時の方向にいたベルガにツッコミを入れられてしまった。
そして反対にはシュンランがいて、ベルガのツッコミを聞いてそこはツッコんじゃダメなところぉ、と言いたげなため息をつく。
そのシュンランのため息を聞いてもっと俺は恥ずかしくなってしまった。
まさしく自爆と言ってもいいだろう。
目の前のゴブリン、牙狼らはこんな変な状況でも誰も喋らず待機していた。
「ゴホン、俺の名はシルダ。竜種だ」
そう、まず自己紹介するのが常識だろうと思い、自己紹介した。
するとゴブリンたちがざわざわし始める。
牙狼族には俺との交戦中に種族を明かしていたので動揺しているものはいなかったが、どうやら俺がゴブリンたちを囲うように張った結界は外部の音も遮断していたらしく、俺が牙狼族に竜種と明かしたことをゴブリンたちは聞けてなかったから驚いているのだろう。
だから俺はゴブリンたちに上手く話を作って無害アピールするとともに、
「だから君たちの守護神になろうと思ってるんだがいいか?」
と言って問いかける。
するとまたもゴブリンたちはぞわぞわしだした。
「ほほほ……、本当に我ら弱小なるゴブリンの守護神になっていただけるのですか?」
ゴブリンの塊から歩み寄ってくる負傷している村長のようなゴブリンが言った。
このゴブリン村で一番年老いているゴブリンと言ってもいいほどの見た目だ。
杖をガクガクさせながら近寄ってくるので心配になる。
「あぁ、本当だとも。ゴブリンも牙狼も魔物。俺だってそうだ。魔物では弱肉強食というのがあると思うが、人間と同じで命を持っている。だから俺は人間たちのような平和な国を作りたいと思ってるんだよ」
そんなことを言うと村長はゆっくりであるが後ろで控えている方に体を回し村長が何かした瞬間、後ろのゴブリンたちが一斉に跪く。
そして今度は村長が俺にゆっくりであるが体を向けて杖を右に置いて跪き、
『これからあなた様に支えさせてください』
と全員が一斉にして俺に言う。
「俺からも、不束者だがこれから宜しく頼む」
俺は高さ四〇センチほどの何かに乗ってであるが頭を三〇度くらい曲げておじぎをする。
……
…
「じゃあまず村長に名づけしようと思うからもう少し前に来てくれ」
村長に向けて言う。
すると村長含めたゴブリンたちが驚くような動作をする。
「ほほほ……、本当に私なんかに名をつけてくださるのでございますか?」
さっきも同じで杖をブルブル震わせながらだ。
それを見てやはり心配になってしまうのは俺だけなのだろうかと考えてしまう。
「まぁ、俺はそこまで強い竜種ではないが、一人に名付けするのは容易だからな」
そう言ったら、村長は俺にゆっくりと近づいてきた。
「うん、そうだなぁ。じゃあ村長のこれからの名は『ラグリド』な!」
俺はそうラグリドに言う。
すると二人と同じ淡い光がラグリドを包んだ。
しかし淡い光はすぐに消えて元の姿のヨボヨボなラグリドが出てきた。
そのことに俺は困惑している。
今までは淡い光が大きくなったり伸びたりして別の体になっていたのにラグリドだけ変わらなかったから驚いているのだ。
「かかか……、感謝します!」
するとラグリドは爺さんとは思えない程の速さで土下座する。
どうやら見た目は変わってないが中身は変わったらしい。
「そんなに頭を下げないでくれよ」
ラグリドに俺は言った。
しかし続いて俺はこの村の発展のため、技術者を探しに行くと話す。
その間この隣にいるシュンランとベルガがいるから大丈夫だとは思う。
二人は昔よりとてつもないほど強くなっているからだ。
「俺が留守にしている間はこの二人が君らを借りとして守護するからな。安心してくれ」
そう言う。
俺が守護神になってやると言ってすぐに守護を誰かに任せて留守にするなんて、守護神としてあるまじき行為だと思う。
しかし俺の中で達成する目的のためには仕方のないことだということも理解しているつもりだ。
◇◇◇
その後はこれからの方針を少し話して解散した。
俺が出発するのは明日の昼時にになったのだ。
そして今、俺は白くてなにもない空間で一人素っ裸でいる。
この空間は誰かがリアグリンドという竜種の名を言ったところと同じ空間だった。
てことはだ、
『 また来たんだ 』
そう、またあのものと会う可能性があるということだ。
しかし可能性がある、ではなく本当になってしまったが。
また来たんだと言われてしまったが気づいたらここにいたのだから言い方を考えてほしいと思ってしまう。
ちなみに前の時は自身の体すら見えなかった。完全に体と精神が分かれてここにいたということだろう。
「また来たってなんだよ。気づいたら来てたんだよ。しょうがねぇじゃん!はぁ……」
どうせまた返事が返ってくるのに二〇分くらいかかるのだろう。そんなふうに思いながら言っていたら最後にため息をついてしまった。
『 あはははは……!そうだったのか。それはすまなかったな 』
するとそんなことを言ってくる。
そしてなぜこいつは今普通に会話できたんだ?
返答が普通の会話と同じ速さで返されたのだ。
「んだよ……、普通に喋れんじゃん」
俺は頭ので手を組んで言う。
『 貴様とのパスがようやくきちんと繋がったからな 』
よくわからないことを言う誰か。
今は叡智者やコンソールは使えない。この前と同じだ。
「……、とりあえずお前の名前教えてくれよ。俺しか名乗ってないんじゃフェアじゃねぇからな」
さっき言われたことは置いといて名を聞くことにした。
『 そうだね、フェアじゃないね。本当のこと言うと貴様がすぐに帰っていったから名前を答えられなかったんだからな。暴雪竜『アグネリンド』、それが私の名だ 』
「……、えっ?」
疑問に思う。
ぶっちゃけて言うと俺はこの誰かがこの前言ってた暴星竜リアグリンドだと思っていたからだ。
「そうだったんだ……。まぁとりあえずこれから宜しくな!」
そこから三〇分くらいアグネリンドと会話していた。
どうやらアグネリンドは女性のような性格をしているのが話し合いからわかる。
でもどうして俺がこの空間にいるのかがわからないままだ。
一番あり得るのは魔力をまた全部使い果たしたと言うのだろう。しかし俺は空になるほど魔力を使った覚えはない。
ラグリドに名付けする時ですら一%も減らなかったと言うのにだ。
……。
(減らなかった?俺の魔力が?)
今更ラグリドに名付けして魔力が全然減らなかったことに気づく。
リグラドはゴブリンという最弱レベルの魔物だったからなのだろうか。
ではシュンランどうだっただろう。シュンランはスライムで最弱レベルの魔物だ。
やっぱりおかしいと俺は思ってしまう。
『 そろそろ限界かなぁ…… 』
するとアグネリンドは意味深なことを言った。
「どういう意味だ?」
『 それはだな、私がこの結界を発動させてたから。この結界は時間制限があるんだよ 』
「……、てことはやっぱりお前が俺をここに招待していたのか?」
俺は疑いの目でアグネリンドを睨む。
『 いや違う。貴様は勝手に入ってきているだけだ。しかもこの結界は私の意思とは関係なく発動してしまう結界でね 』
俺は竜種でも制御できないものがあるのかと思って驚く。
「なんか悪かったな、疑ったりして……」
そう言って俺は睨むのをやめる。
『 許そう。じゃあまた不具合で結界が発動したら来てくれよな 』
そうアグネリンドが言った瞬間、視界の色が変わり、真っ黒な空間になったのだ。
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