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#『第一章』#






 俺の名は佐藤さとうけい。どこにでもいる後輩持ちのはかないサラリーマン。これまで彼女を作れたことがない絶賛ぜっさん彼女募集中の童貞。

 しかし俺の周りの同僚どうりょうはほぼ全員結婚しているか、お付き合いしている。

 だが俺は……、俺には……、


「何人も彼女いるからいいんだよ!」


 というふうにして俺は現実逃避して今までやってきた。

 今は通勤中だったため、一人大声で叫んだことにより注目を集めてしまったが、俺は動揺どうようしない。したらそこで負けなのだ。

 一五年前に地元を離れて今はもう三七才ということもあってか、仕事の後輩からは結構中年のように見られている。

 歳に関してのことは結構傷つくのが俺だ。

 昔俺の将来の夢は小説家だったが、今では趣味として小説を書いている。そのこともあって俺は想像力が豊かなのだ。

 赤信号から青信号に変わり、俺は歩き出す。横断歩道をゆっくり歩いて渡りきって今日は何故か思ってしまった。


「平和だなぁ」


 と。

 しかし俺が横断歩道を渡って五分後、俺がフラグを立ててしまったのだろうか。悲劇が起こってしまった。

 後ろから全力疾走で黒尽くめの服をきた男性が俺を追いこして行った。

 後ろを振り返るとこけているおばさんが、


「ヒッタクリです!」


 と叫んでいた。

 あいにくそのヒッタクリはんの足の速さは俺でも追いつける速さであったため、俺はおばさんのために捕まえようとして走り出す。


「おい!止まれ、黒尽くめの人!」


 俺はそう大声で言って追いかける。

 しかしするとその黒尽くめの男性は急に振り返り、俺にナイフを向けて突進してきた。

 そのとき俺は黒尽くめの男性と近かったため回避できずに、黒尽くめの男性のナイフが俺に刺さってしまった。

 おそらく狙ってさしたのだろう。体の中心部。すなわち心臓部に運悪くナイフが刺さったのだ。

 しかし俺はそんなことを知る余地もなくとてつもない激痛が俺を襲う。

 それにさらに追い討ちをかけるかのようにして黒尽くめの男性はナイフを俺から抜き取り、捨ててまた逃走した。

 刺されたところからはとてつもなく血液が流れていって、俺は倒れてしまった。

 全身が動かなくなり、耳も眼も機能を停止したのか、何も聞こえなく、何も見えなくなっていった。

 しかしそうなる前に聞こえたのは、若い女性がいたらしく、その女性から悲鳴が聞こえたことだった。

 今になってはどうなっているかもわからないが、それもどうでもいい。


「死……、ぬなぁ……」


 声はまだ出るそうだが、それも長くは続かないだろう。

 痛みも感じなくなってきたのがそろそろ死ぬと言うことだろう。


(はぁ……、もっと……、長生き……、したかったな……)


 俺はそう思って意識が薄れていき……、



      死んだ



     ◇◇◇



 気がつくと全体が真っ白な空間に俺が一人でいた。

 下を見るとなぜか俺の体は服を着ておらず、素っ裸だった。

 すると突然、


〔問い、まだ生きたいと感じますか〕


 と言うふうにどこからか機械的な発音で俺に聞いてきた。

 そりゃもっと長生きしたいと思うのは当たり前だろう。

 だがこのような状態。もう三途の川を渡り切って天国か地獄にいるのだろう。


〔再度問い、まだ生きたいと感じますか〕


「はぁ……、そりゃまだ生きていたいよ!でももう俺死んでるじゃん!」


 またも同じ質問をされて強く言ってしまった。


〔解、実はマスターは何かしらの縁の力でいわゆる異世界転生が可能になっています〕


 俺は固まってしまっていた。

 念願の夢だった異世界転生が、今できると言われたからだ。


〔問い、転生しますか〕


 俺は少し考えてYESと言った。するとまたも意識が薄れていく感じになっていった。



     ◇◇◇



 気がつくと森の中のようなところにいた。

 俺は横たわっていたのだろう。視線が地にとても近かったのだ。

 しかしこのままだと動けないと思い、立ち上がることにした。

 するとみるみる視線が高くなり、とうとう木と同じくらいに高くなったのを見て、俺の体が普通とは違うことに気づく。

 恐る恐る下を見る。


「かっ……!」


 俺は思わず変な声を出してしまった。

 転生したとはいえ、こんなことになるとは思ってもいなかった俺は少しの間、思考停止してしまっていた。

 しばらくして意識が戻ると、俺は自身の体……、いや、種族に関して考えることにした。

 俺はどうやら転生してでかいワニのような体になっていたのだ。

 しかしワニのような緑色ではなく、体の色はここから見ると黒っぽく見えるのだ。何で表すとしたら、磨かれた黒曜石のような少し紫がかった黒だ。

 身長はおそらく二〇メートルだろう。

 さっきも言った通り俺の体はワニのように見えるところと、二足歩行のこんなにでかい身長からして……、


「もっ……、もしかして!俺ってドラゴン⁉︎」


 俺の想像だと確か全体的に大きくて、ワニのような感じの二足歩行をした背中に翼があり口から炎を吐く魔物というイメージだが、今のところ三つイメージにマッチしている。

 この世界のドラゴンは俺のイメージとは違う外見かもしれないが、ドラゴンと呼ばないかもしれないが、魔物に転生するのだとしたら鬼人きじんとかの定番的な種族になってみたかったと思ってしまう。

 俺はそう思いながらも背中を見ようとして腕を上げて覗き込む。

 無論翼があるかどうか確認するためだ。

 そしてこの体は四足歩行もできるのだなとわかった。

 背中を見る。すると決定的なものが目の前にあった。


「やっぱり俺、ドラゴンじゃね?」


 そう言ってしまうのもしょうがないと誰もが思うはず。

 背中には翼が折りたたんであったのだ。

 しかし俺はまだ飛び方もわからないから、翼があったとしても今は何にも使えない。

 ついでに言うと今は夜だ。

 ドラゴンとはいえ生まれたてなのだ。むやみやたらに動いたりするとやられると思ったから朝になるまで今日はここで過ごそうと思い、さっき俺が気がついた時のようにちぢこまるようにした。

 …………

 ………

 ……

 …

 朝になった。

 俺は夜だから眠ろうと思ったが、この体はどうやら睡眠が不要な体で睡眠ができないらしい。

 自身の体を起こそうとも思ったが、今はまだ起こさない。

 立つと目立ってしまうからだ。

 するとどこかからか声が聞こえた。


〔告、スキルの定着により素速いスキルの使用が可能になりました〕


 俺は思わず ギャ! と声を上げてしまった。

 この声は聞き覚えのあるように思えた。だから俺はこの声の者に聞くことにする。


「あっ、あんた一体誰?」


 しかし返答はなかった。

 この声は確かにこの前白い空間で聞いた声と同じだったのだ。

 俺はまぶたをゆっくり閉じる。心を落ち着かせてからこれからのことを考えようと思ったからだ。

 俺は瞼を閉じて視界が黒に染まった……のだが、なぜか真っ暗な視界の左下にコンソールのようなものが表示されていた。

 気になって押そうと思っても何も起こらない。

 他の方法でこのコンソールのようなものに干渉かんしょうできるとすれば、その一点に意識を集中するという感じだろうか。と俺は色々なアニメを思い出してそう考察する。

 どうやって一点に意識を集中すればいいかわからないが、どうにかなるだろうと思ってやるだけやってみることにした。

 するとあら不思議!簡単にコンソールのようなものを開けたのだ。

 そのコンソールのようなものの中には色々な自身についての情報が書いてあった。


『・種族⇨竜種

 ・ユニークエクストラスキル⇨叡智者えいちしゃ

              ⇨暴食者ぼうしょくしゃ

              ⇨開発者かいはつしゃ

 ・エクストラスキル⇨命名めいめい

          ⇨魔力感知まりょくかんち

 ・固有スキル⇨加護付与かごふよ

       ⇨人型変異ひとがたへんい

       ⇨自在浮遊じざいふゆう

       ⇨ドラゴンブレス

       ⇨鑑定解析かんていかいせき

       ⇨鱗操作うろこそうさ

 ・スキル⇨熱源感知ねつげんかんち

     ⇨多重結界たじゅうけっかい

     ⇨広範囲結界こうはんいけっかい

     ⇨自己再生じこさいせい

     ⇨念力通話ねんりきつうわ

     ⇨抵抗ていこうレジスト

     ⇨物理攻撃耐性弱ぶつりこうげきたいせいじゃく

     ⇨魔法攻撃耐性弱まほうこうげきたいせいじゃく

     ⇨精神攻撃耐性弱せいしんこうげきたいせいじゃく

     ⇨聖魔攻撃耐性弱せいまこうげきたいせいじゃく  』


 と書いてあったのだ。

 生まれて間もないドラゴンがこんなにスキルを所持していいのかわからないがありがたいことだ。

 それとどうやら俺はドラゴン族とかではなくて、竜種らしい。

 それぞれどう使うか、わかるように説明も書いてあった。

 ……

 …

 俺は全てのスキルの使い方に関しての説明書のようなものを今まで読んでいた。

 その中で一番気になったのは叡智者だ。

 ここには叡智者は、


『特定の言葉を言うことによって反応し、質問に答えてくれる。また、スキル獲得時に報告、提案などもできる。叡智者の所有するスキルは思考加速しこうかそく超強解析鑑定ちょうきょうかいせきかんてい、アドバイザー、超強並列演算ちょうきょうせいれつえんざん詠唱破棄えいしょうはき、オートモードがある』


 と書いてあるのだ。このスキルを上手く扱えるとチートすぎとも感じるが、俺が知っているアニメにも似たようなスキルがあった気がするがそこは気にしてはいけない。俺はそう思うことにした。

 俺はその特定の言葉を言う。ヘイ叡智者、と。

 このような言い方で反応するAIがあったなと思いながらも言った。

 すると、反応してくれた。

 まず一番先にやってほしいことは、ヘイ叡智者、と言わなくても反応してくれるようにすることだ。と俺は思い言葉にする。

 すると、


〔了、即座そくざに実行します……。告、完了ました〕


 と言う。

 実行してから完了するまで三秒も掛からなかったことにも驚いてしまう。

 だが俺はこのスキルをなんと呼称こしょうすればいいかわからないから聞くことにした。


「これからお前をなんて言えばいい?」


 するとすぐに返答が返ってきた。


〔解、私のスキル名と同じで構いません〕


 てことはこれからは叡智者と呼べばいいんだろう。


「これからよろしくな!叡智者!」


 これできちんとした会話が成り立つかもと思った俺はよろしく!と叡智者に言った。


〔はい〕


 すると叡智者は即座に返答してくれた。

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