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小説家になろう 2021 夏のホラー

『徘徊』

作者: 木尾方

早く見つけないと。早く逃げないと。


アイツらが遊んでいるうちに。


アイツらは言った。『見つければ、逃してやる』と


ちくしょう。手足の感覚だけで、探さないと。


ここは、どこかの廃屋なのだろう。


荒れ果てていて、人の気配がしない。


早く見つけて、ここから逃げないと


そこでは、見えないし、聞こえないし、においもしない。


手探てさぐりで、移動しるしかない。


早く、ゆっくりと、確実に丁寧に。


床に手を置き、四つん這いになって進む。


手には、ここに来てから触れているものがある。


骨だ。さまざまな形の骨。


何十人、いや、何百人とあるのだろう。


私もこのようになるのか…


アイツらが、他の人を喰ってる間に、


ここから逃げないと。


何かが私の足を掴んだ!


必死に足を動かして払いのける。


きっと、私と同じことをされている人だろう。


他人のことなど、構ってる余裕などない。


…どれぐらい、徘徊はいかいしただろう。


壁沿いに徘徊し骨を分け、腐った肉を分け、進んで進んだ。


やっと、扉らしい出入り口を見つけた。




手探りで、扉を開けた。少し進むと、上り階段を見つけた。


いいぞ。探しているモノは上にある。


壁沿いに上がり、廊下に出た。


日の温もりを感じる。


あぁ、きっと近くにある。近くまで来ている。


もうすぐだ。もうすぐで見つかる。




私の体が。




アイツらは、私の体から、首をると体をどこかに隠してしまったのだ。残された首を この部屋の置いて、アイツらは言った。


『体だけで、自分の頭を探してみろ。無事に見つけられたら、その頭と体をくっつけて逃がしてやる。 ただし、他の首なしより早く見つけられたらな。』


そして、下の方から別のヤツの声もしてた。


『おーい。こっちは、もういいぞ。』


『それじゃ、お前 せいぜい頑張って俺らを笑わせてくれ。』


そう言うとアイツらは消えて、隠された体から、身動きの取れない首を探す、アイツらには暇つぶしの『かくれんぼ』が始まったのだった。




もう少し、もう少し。這いずって、ボロボロの手と足。廃材やガラスなどで傷を受けながらやっと、ここまで来た。

自分の体が向かっている音が聞こえる。


もうすぐだ。その扉を開ければ、私の体が戻ってくる。


扉に手をかけて、開けた。


首の無い自分を見るのは、恐ろしかったが、私は涙を流して喜んだ。


「帰れる。この悪夢から解放される。」



…あぁ、やっぱり。





アイツらは私を解放する気など さらさらなかったのだ。


私の体のすぐ後ろにアイツらが指をさして笑っている。


始めから、後ろについて私の行動を見て笑っていたのだろう。


あぁ、アイツら鬼の言うことを信じた私が馬鹿だった。


アイツらが、私の体で遊び始めた。


痛みも、抵抗も どうでもいい。


私は、ここから自分の体が喰われるのを見ているしかできないのだから



読んで頂き誠にありがとうございます。


んー、だんだんと『かくれんぼ』から離れていってるような。


夏のホラー2021 4作品目です。

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