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運命の日~地上波出演~②

作成中のノベルゲームのシナリオを公開しています。

聞きなれたオープニング曲が流れ、わくわくの中に少しの安心感が芽生える。

通常であればスタジオ内のセットが写し出されるのだが、今回はスペシャルな回だからかビルの屋上のような場所で司会者とアシスタントが立っている。


テレビ「みなさんこんばんは。ミュージックスタジオのお時間です。今日は、急遽番組の内容を変更し生放送でお送りしております。」

弘人「え?」


ツバサちゃんの新曲披露は生放送ではなく収録だったと記憶している。

ツバサちゃんもTwippoで言ってた。


テレビ「まさかこんな記念すべき日にこの番組を選んでいただけるなんて。みなさん今回は永久保存版ですよ!」


嘘だろ……。


テレビ「情報だけは少し前に出ていたのでご存じの方はいらっしゃるかもしれませんね。」


嘘だと言ってくれ……。


テレビ「それでは早速披露してもらいましょう!超大型新人アイドルデュオ! NEXTs で! "奇跡"!!」


僕たちの絶望などお構い無しに番組は進行していく。

ビルの屋上に作られた特設ステージを取り囲むように数10台のカメラが設置されており、上空には数えきれないほどのドローンが夜空を染めている。

花火が四方八方に上がり、カメラがちょうど逆光で見えなくなった時を見計らって二人のアイドルが地面からジャンプで登場した。

アイドル然としたその演出に少し期待してしまう自分にものすごく罪悪感を覚えてしまう。

歌い出しと共にスポットライトがあたりアイドルの顔が写し出される。

銀色の髪に同じ人間とは思えない整った顔立ち。ショートカットとセミロングの二人組。

よく見ると顔のパーツが似ている。双子だろうか?


弘人「こんなのずるいじゃないか……。」


歌、演出、ビジュアルすべてにおいて100点満点。

ツバサちゃんを餌にアイドルが好きな視聴者を集めておいて、こんなものを放送すれば誰だって目を奪われてしまう。

歌われている曲もそうだ。

リズム、歌声、フレーズが相まって自然と耳から入り、脳に焼き付けられる。

まったく聞いたことのない曲なのに、何故かずっと前から知っているような安心感が心を撫でる。

ダメだ。今すぐにでもテレビを消したい気持ちともう少し聞いていたい気持ちでリモコンを操作する手が震える。

この気持ちはアイドル好きにしか理解できないだろう。

数分間の葛藤も虚しく、1曲すべてを聞き終わってしまった。


アシスタント「ありがとうございました!素晴らしい曲でした!後程NEXTsのお二人の紹介をさせていただきます。ゆっくりステージを降りてきてください。さて、まずはこの素晴らしいデュオのプロデューサーを紹介しましょう。石場元春さんです!」

弘人「誰だよ!!」


なんとかプロデューサーのおっさんの顔で、我に帰ることができた僕はテレビの電源を消した。

こんなことがあっていいのか?

ツバサちゃんがかわいそうだ。Twippoを確認したが、ツバサちゃんの反応はない。

心配をしていると、タイムラインにNEXTsを絶賛する声が多く呟かれていることに気がついた。


弘人「裏切り者め……。」


僕はアプリを落とし、布団の中に潜り込んだ。

ツバサちゃんのプレイリストを再生し気持ちを落ち着かせる。

大丈夫。僕はツバサちゃんの味方だ。

そう自分にいい聞かせて眠りについた。

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