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購買戦争~守り抜け笑顔~

作成中のノベルゲームのシナリオを公開しています。

生徒たち「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


戦場はいつも武士もののふどもの雄たけびで空気が震えている。

一歩一歩と近づくにつれてその振動は強くなり、身体の芯で震えを感じる。

怯えているのではない。武者震いだ。

そう言い聞かせて130円を右手に握りしめ、激戦区から左にそれた地点へと足を運んだ。


弘人「な、なんだあれは……?」


いつもであれば、人も疎らな過疎地帯となっているはずの僕のオアシスが、今日に限っては激戦区と引けを取らないほどの人だかりとなっている。いや、もしかすると激戦区以上かもしれない。


生徒A「へへへ。今日は何故か知焼きそばパンが2つも買えたぜ」

生徒B「奇跡ってのは起きるもんでヤンスねぇ。」


そそくさと立ち去る眼鏡を掛けたいかにも戦闘力のなさそうな2人組がそんな会話をしている。

何かがおかしい。焼きそばパンなんてA級アイテムは、野球部かラグビー部のような戦闘力のある輩にしか手に入れることのできない代物。しかもダブルゲットなんてもっての他だ。


情報屋「革命ですよ。」

弘人「うぉお!!」


いつの間にか背後を取られていた。振り返ると通称「情報屋インフォーマー」が立っていた。

気配を消していたのか、周りの騒音も相まってまったく気付くことができなかった。ここが本当の戦場だったらやられていた。


弘人「革命って?」

情報屋「おっと。ここからは。」


情報屋は人差し指を立てて、お金を要求する。戦場では情報が力となり生命線となる。

知っているものと知らないものでは行動がまるで変わってくる。

僕はなけなしの100円を握らせて問いかけた。


弘人「革命ってどういうことだ?」

情報屋「へへへ。聞いた話なんですがね。我が校のヒロイン的存在、美術のマチ子先生がね。購買で買えるおばあちゃんのこんにゃくサンドが大好物だってポロっと話したそうなんですよ。」

弘人「な、なんだと……。」


美術のマチ子先生は我が校のインフルエンサーである。

その甘いマスクで健全な男子高校生を自在に操る影のドンだとも言われている。

その統制力はすさまじく校長も畏怖しているだとか。


弘人「マチ子先生が好きだなんて言ったらそれはもう半年先まで入手不可能と同義じゃないか……。」

情報屋「そうですね。おそらくほとんどの生徒がパンを購入しマチ子先生へプレゼントする魂胆でしょうね。」

弘人「そんな……。」


いくらマチ子先生でもいくつもパンを食べられるわけがない。

購買のこんにゃくサンドが一同に介せばすべてを消費することはできず、最悪廃棄へと繋がってしまう。廃棄なんかになってしまえばパッケージのおばあちゃんが悲しむじゃないか!

そんなことあってはならない!


弘人「いい情報をありがとう。」


僕はそう言って一歩戦場へと足を踏み出した。

足の向く方向には、男どもの怒声と歓声がこだまするまさにカオスワールド。

おばあちゃんの笑顔を守るためだったら僕は戦う。

たとえこの身が滅びようとも!


弘人「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!」


これは無謀へと立ち向かった一人の勇者の話。

決して世界を救う感動物語でも熱い友情物語でもない。

おばあちゃんの笑顔を守りたい。ただそれだけの老人ホーム的な物語である。

続く!!


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