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パイン様品評会

作成中のノベルゲーのシリナリオを公開しています。


キーンコーンカーンコーン

授業をすべて聞き流し、今日も一日のお勤めが終わる。


村越「ふぅ……、終わった終わった。今日もツバサちゃんのことを考えてたら1日が終わっていたでござる。」

弘人「いや、授業聞けよ。」

村越「そっちこそ、夢はベッドで見るものだぞえ。」

弘人「うるさいなー。キモオタ。」

村越「キモオタとは聞き捨てならぬ!キェーー!!」

ピピピ

ソライロツバサ「明日は、アイドル・ザ・ベストの発売日だよ」


キモオタの戯れを仲介してくれたのは、僕のアシストキャラのソライロツバサちゃんだった。

心優のオコ女神様や僕のソライロツバサちゃんのように、ブレインフォンにはアシストキャラを1体登録することができ、生活をアシストしてくれる。


村越「ツバサちゃんスキンとは近澤くんも隅に置けませんな。」

弘人「当たり前だろ。」

心優「なに話してるのの?」

村越「パインパインさm・・・・・・おぉ小倉さん。いえただの談笑でござるよ。」

弘人(こいつパインパイン様って言ったぞ)

心優「二人はこれから予定ある?」

村越「ぬ?特にありませんよ。」

弘人「同じく。」

心優「じゃあ!ちょっと付き合ってほしいところがあるんだけどいいかな?」


心優はよく火曜日に俺たちを用事に誘う。

特に部活に入っていない僕たちは、快く着いていくのだがそういうときは決まって……


(コンビニ前)

心優「おいしーー♡ボンボルの新作うるち米おせんべい最高♡」


こういうことである。


弘人「普通女子高生がいう新作って、ブランドもののバックとかスタベのコーヒーとかだよね。」

心優「ボンボルさんは本当に分かってるよー♡さすが新潟の企業さんだよね♡お米が喜んでるもん!」


ボリボリボリボリ


村越「ふむ。たしかに、米の良さをしっかりと理解している。我ながら天晴れだ。」


ボリボリボリボリ


説明が追いつかない。

心優はコンビニ限定のお菓子が発売される火曜日に僕たちを呼び出してお菓子会を開く。

一人じゃ全部食べきれないからだ。

ボンボルとは、柏崎に本社がある総合お菓子メーカー。おせんべいからビスケット。いろんなものを発売している。

村越は、ボンボルの社長の息子であり将来が約束されている勝ち組なのである。イケメンで社長の息子であることから女子は陰で”お菓子王子”と呼んでいるみたいだ。

是非とも本性を知って絶望してほしいところである。


心優「今日は2人とも付き合ってくれてありがとうー。」

弘人「別にいいよ。用事なかったし。」

村越「いやいや勉強になりましたゆえ。それでは、私は反対方向なので失礼する。」

弘人「また、明日。」

村越「うぬ。」


そういって変態王子は、僕たちと違う方向に帰って行った。


弘人「それじゃ帰ろうか。」

心優「うん。」


10月ともなるとこの時間でも十分に暗い。車社会なので歩道を歩いているのは高校生か、お年寄りくらいしかいない。


心優「もうすぐ雪が降るねー。」

弘人「そうだね。また雪かきの日々が来ると思うと憂鬱だよ。」

心優「えー。私は雪かき好きだよ。きれいになっていくのが見えるし、体もポカポカになるからー。」


心優は雪かきのポーズを取ってみせてくれたが、どじょうすくいにしか見えない。

どじょうすくいの上下運動に合わせて胸元の雪玉が暴れ回っている。


弘人「自動除雪機もあったのにあんまり流行らなかったね。」

心優「ちょっと前まで冬になったら出てきてたあのロボット?あれ怖かったよねー。私何回も追いかけられたもん。」


僕たちが小学生の頃までは全自動除雪ロボットが雪を除雪していたのだが、県民の怖いだの邪魔だのといった批判の声が殺到し、撤退を余儀なくされた。こうして最先端技術は淘汰され、今でも昔のまま手動の除雪機とママさんダンプ等で除雪を行っている。

こういった事情で最新技術の導入が遅れて地方は取り残されがちになっている。

僕は、早く高校を卒業して東京の大学に行きたい。もっともっと最先端の技術に触れたい。


弘人「心優はもっと最先端の技術を学んだ方がいいよ。時代に取り残されちゃうよ?」


拒絶はしないものの率先して新しいものを取り入れようとはしない心優に対しても僕は少し焦りのようなものを感じている。だからせめて心優だけでも新しいものにどんどん触れてほしい。


心優「えー、私はいいよ-。今のままで十分幸せだもん。おいしいお米があって、おせんべいがあってー

・・・・・・弘人君がいれば・・・・・・。」


ブゥーーーン(車が通りすぎる音)


弘人「え?何か言った?」

心優「何でもないよー。」


心優は少し駆け足で僕を追い抜き振り返り微笑んだ。対向車のヘッドライトが輝いて綺麗だ。


弘人「そうだ!明日からちょっとずつでも新しいものに触れていこう。僕が説明するからさ。」

心優「えー、そんな悪いよー。」

弘人「悪くないよ。僕がやりたいんだ。どうせ放課後暇でしょ?」

心優「その言い方ひどいなー。まぁでも・・・・・・弘人君がいいならお願いしようかな?」

弘人「よし!決まりね!」


僕はなんだか嬉しくなって駆けだしていた。


心優「ちょっと、待ってよ弘人くーーん。」


この時僕は、心優の世界をひろげる手伝いができると意気込んでいた。

でもこの行為が心優の世界を暗く閉ざされたものにしてしまうことになるだなんて・・・・・・、

思ってもいなかったんだ・・・・・・。


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