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寝不足の村越

作成中のノベルゲームのシナリオを公開しています。

心優「弘人くん。今日放課後に用事とかある?付き合ってほしいところがあるんだけど……。」

弘人「いいよ。特に予定とかないし。」

心優「やった~。約束だよ~。」


心優との朝のこのやり取りで僕はいつも今日がまだ火曜日であることを実感する。

そう。毎週恒例のボンボル新商品試食会である。

毎週奇抜な新商品を出してくるので実は僕自身もちょっと楽しみではある。


村越「おはようございます……。」

弘人「お、おはよ。大丈夫?」

村越「ははは……。大丈夫でござるー……。」


いつものウザいくらいのテンションで暴走特急のような村越がえらく静かだ。というか元気がない?

目のクマも凄いし尋常じゃなく疲れている。


弘人「なんかすごい疲れてるな。どうかしたの?」

村越「もう少しで完成するんでやんスよ。もう少しで……デュフフフフ……。」


そういって自分の席に座るや否や机に突っ伏して寝息をたててしまった。

語尾もおかしくなっているし完全にイってしまっている目だった。

また、徹夜で悪いこと(エロいこと)でも考えていたんだろう。

あまり関わると大変なことになりそうだから放置放置。

村越は、1時間目から4時間目まですべての授業を寝過ごしていた。



休み時間もぶっ通しで寝ていたため、違うクラスで村越の正体を知らない女子たちが寝顔を一目見ようと教室に足を運んでいた。正体を知っているクラスメイトたちは、ウンコに集るハエを見るような目で彼女たちを侮蔑と同情が入り交じった複雑な感情で傍観していた。話の流れ的に村越=ウンコになるのだけれど、あながち間違いではないので訂正はしない。


弘人「お昼だよ。村越起きろ。」

村越「むにゃむにゃ。スクール水着から滴る水が長靴の中に入るのがいいんでしょうがー……。むにゃむにゃ。」

弘人「いや、知らねーよ。ていうか知りたくもないし。」


肩を掴み揺さぶると、村越は気だるげそうにゆっくり上体を起こした。


村越「ん、おはようございます……。今は何時ですか?」

心優「もうお昼だよー。すごく疲れて見えるけど大丈夫?昨日の夜寝れなかったの?」

村越「ははは……、科学の進歩に犠牲は付き物なのですよ……。すみませんが缶コーチーを買ってきていただけません…か……。」

バタン

心優「村越くん!?」


机との熱烈なキスをして村越はまた眠りに着いてしまった。

あの速度でのダイブは正気の沙汰ではできないだろう。おそらく気絶に近い。


心優「村越くん大丈夫かな?」

弘人「大丈夫でしょ。どうせ徹夜でいけないゲームでもやってたんでしょ。」

心優「いけないゲーム……?いけないことはやっちゃいけないんだよ?」

弘人「村越はいけない子だからねー。」


心優はいけないゲームと聞いて違法的なそっち方面の”いけない”を想像しているようだ。

クラスメイトが犯罪に手を染めているのではないかと非常に心配している。

村越には可哀想だが、この状況がおもしろいので訂正しないでおこう。


心優「私、缶コーヒー買ってくる!」


心優は机にかかった鞄からかわいいお財布を手に取り、自販機に駆けていった。

いち早く村越の目を冷まして全うな道に導こうというのか……。まさに女神……。

僕は、痛め付けられるクーパー靭帯さんに敬礼しながら自分の昼飯を調達すべく購買部へ向かった。



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