伝説のアイドル コメッコ
作成中のノベルゲームのシナリオを公開しています。
村越「いやー。歴史的な日に新潟らしいものを飲めるなんてツイていますなー。」
弘人「歴史的な日?今日ってなんかの日だっけ?」
村越「え・・・・・・・・・・・・?近澤くんそれ正気ですか?」
さっきまでブヒブヒお米ラテを飲んでいた男とは思えない急速なクールダウン。
村越「今日は、新潟のナンバーワンアイドル ”コメッコ”が解散した日ではないですか!?」
未可「あー!そういえばそうだね!」
急に話に入ってきやがった。やっぱりこの女もこっち側なのか?
村越「ローカルアイドルとしては異例の早さで全国デビューし、全国ネットでの冠番組『やっぱりコメコメ』の放送が決定した次の日に突然の解散記者会見!解散理由は最後まで謎のまま!」
未可「デビュー曲の『ライスボール』。私CD買ったわー。」
心優「ボーカルの人、すごく綺麗な声だったよねー。」
なんだなんだ。3人のこの一体感は。
確かにそんなことがあったような気がするけど。10年くらい前のことだよ?
村越「メンバーのバランスも最高に良かったんですよね。ボーカルの刈羽 恭子さんは1000年に一度のクリアボイスと呼ばれておりましたからね。」
未可「コメッコの歌を支えた新潟のモーツァルト。作曲担当の新発田 芽衣ちゃん。」
村越「振り付け担当の佐渡 明里さん。楽曲の雰囲気にあったダンスは見る者を魅了していました。」
未可「あんた、なかなかやるわね。」
村越「あなたこそ。」
熱い握手を交わす二人。コメッコは解散してもなおファン同士を引きつけるのか・・・・・・。
未可「それに、ボーカルの恭子ちゃんは柏崎出身で、大好物はコーヒーだからね。絶対この店にも来てるよ!」
村越「わかりますぞその気持ち!私もこのスタベに来るときは、まず店内のお客様を隈無く確認しますからね。」
そんなことしてるのかこいつ。率直に気持ち悪いな。
まぁ、そんなこんなで意外と話は盛り上がり楽しい日曜日のお茶会となった。
心優もお米ラテを飲むことができて満足そうだし、村越は新たな同志を見つけたようで鼻息が荒い。
みんなで店内を出ると未可はばつが悪そうに近づいてきた。
未可「ほらこれ。」
未可は、白い粉の密売人のような手さばきで僕の右手に何かを握らせて、駆け出す。
弘人「な、なんだよ。」
急に近づかれると因縁の女でも少しドキッとしてしまう自分が情けない。
何か変なものでも渡されたのかと訝しみながら手を広げると、そこにはくしゃくしゃになった1000円札が2枚あった。
未可「あんたにおごられるのは癪だから!」
少し離れた距離で振り返り僕を指さす。僕が何をしたっていうんだ。
弘人「でも2枚もいらねーよ!!」
未可「それは心優たんの分!じゃーね!」
そう言って路地を走って曲がって行った。
急に名前を大声で呼ばれた心優はびっくりして振り返るがそこには未可の姿はもうない。
村越「いやー。しかし元気なお人でしたなー。大岡裁きの君は。」
心優「とっても可愛いかったねー。また会いたいなー。」
弘人「僕はできれば会いたくない・・・・・・。」
こうして、僕たちはそれぞれの帰路についた。
心優も満足そうで、本当に良かった。