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因縁ふたたび

作成中のノベルゲームのシナリオを公開しています。

朝ご飯を食べた後は僕の部屋でまったりと過ごした。

二人で何気ない世間話をしたり、二人でゲームをしたり。

意外にも時間は早く過ぎ、気がつけば家を出なければいけない時間だ。


弘人「それじゃあそろそろいくから。」

心優「ご飯とてもおいしかったです。ありがとうございました。」

弘人の母「あらもう行っちゃうの?またいつでも遊びに来てちょうだいね。」

心優「はい。ありがとうございます。」

弘人の母「それじゃあね。デート楽しんでらっしゃい。」

心優「で、デート!?」

弘人「ほら行くよ。いってきます。」


母の不意打ちに固まってしまった心優の腕を引っ張って一緒に玄関を出る。


弘人「ごめんね。うちのかーちゃんうるさくて。」

心優「ううん!とってもいいお母さんだよ!」

弘人「ならいいんだけどさ。じゃ自転車でスタベに向かおっか。」

心優「お米ラテ楽しみだなぁ~。」


ペダルに足を掛け、併走しながら目的地へ向かう。

空は晴れ渡り、雲1つ無い快晴だった。


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・


村越「おーい!二人ともー。こっちですよー。」


店内に入ると注文待ち客の列の間から村越の声が聞こえた。

先に来て席を取ってくれていたようだ。


村越「二人ともおはようございます。いやー、本日は晴天なり。絶好のコーチー日和ですな。」

心優「村越君おはよー。席取っててくれてありがとー。」

村越「いえいえお安いご用ですよ。楽しみすぎて4時半には起きておりました故。」


弘人(こいつもかよ・・・・・・。)


柏崎にスタベはここしかないため、10時でも休日の高校生や高齢者のたまり場となっており、満席で座れないなんてことはザラにある。なので正直ありがたい。


弘人「じゃあ、注文しに行こう。」

心優「うん!」


机に荷物を置き、コーヒーに飢えた者たちの最後尾に並ぶ。

目の前には7人ほどが並んでおり、遠巻きに手渡し場の青いランプがセーブポイントのように辺りを照らしている。

田舎者は、青いランプの下でコーヒーを手渡しされることに一度は憧れるものだ。


ドン


???「あ、すいません。」


後ろから誰かがぶつかった。


弘人「いえ。大丈夫ですよ・・・・・・ってお前!!」


振り返ってみると、そこには「アイドル・ザ・ベスト」を取り合った憎き大岡裁き女がそこにいた。


見知らぬ女性「あーーーー!!あんたあのときの!!」


二人で顔を見合わせ、大きな声を出してしまった。

しかし一瞬で店内の注目を集めてしまったことに気づき二人で首をすくめた。


弘人「(なんでお前がここにいるんだよ!)」

見知らぬ女「(それはこっちの台詞よ!どーせツバサがレポしてたから来たんでしょ!?オタクの思考回路わかりやすっ!)」

弘人「(は、はぁ!?うるさいし!それ知ってるってことは自分だって同じじゃんか!)」

見知らぬ女「(同じじゃない!キモオタと一緒にすんな!てか話しかけないでくれる!?キモオタがうつる!)」

弘人「(うつらねーし!てかそっちだってキモオタじゃんか!)」

見知らぬ女「(私はキモオタじゃない!!)」


ガルルルルルル

ここまで静かなる口喧嘩は他にあっただろうか。

淹れたてのブラックコーヒーよりも熱くて黒いマイナスな言葉の応酬。

そこに加わる一筋の白くて優しいお砂糖。


心優「弘人くん?お知り合いさんなの?」

見知らぬ女性「!?」


口論を見かねた心優が助け舟を出してくれたみたいだ。

何故か女の方はひどく動揺している。肩をわなわなして今にも叫び出しそう。


弘人「ぜーんぜん知らない人。しいて言えば、大岡忠相?」

村越「おぉー!この方があの有名なアイドル・ザ・ベストの君――。」

見知らぬ女性「可愛ぃぃいいいっ!!!!!!!!!!!!!!」

心優「ふぇ!?」


女はわなわなしていた力をすべて放出するかのように心優に一直線で突進した。

何を思ったのか心優を強く抱きしめ左右に揺さぶりだした。


見知らぬ女性「がわい゛い゛ねぇぇぇーー。どこから来たのーー?」

心優「え?か、柏崎です!」


律儀に答える心優。

左右に揺さぶられ、胸に携えた大きなきび団子が暴力的なまでに揺れている。

あれなら鬼ヶ島の鬼だってお供しますわ。


弘人「って!何してんだよ!お前!」


我に返った僕は必死で心優から女を引っぺがそうとするが離れない。

こいつ手から瞬間接着でも分泌されているのか。


弘人「ちょっと!村越手伝って!」


村越に助けを求めたが、ただ呆然と眼鏡をくいっと上げたままフリーズしてぶつぶつと何かを呟いている。

村越「ユリバンザイ、イキテテヨカッタ、ユリバンザイ、イキテテヨカッタ・・・・・・・・・・・・。」


だめだ。こいつ早くなんとかしないと。


店員「あのーすみません。ご注文はー?」


店員さんが困ったように声をかけてきた。気がつけば自分たちの番になっていたようだ。

僕はとりあえずお米ラテを4つ注文し、村越に二人を席に先導することを託して青いランプの下に移動した。



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