プロローグ
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「アイドルー偶像ー」
それは、人々を導く陰りなき光。それは生きがいであり、生きる希望である。
一説では経済が不況に陥ると救いを求めるため、アイドルブームが起きると言われているとか。
2035年技術革新が進むここ日本でもアイドルブームは巻き起こっている。
これが不況のせいなのかはどうでもいい。
日本は第3次アイドル戦争といわれるほどアイドルの数は時代と共に増え続けている。
王道をいく「イブニング娘」や会えるアイドルとして活躍した「49グループ」、ご当地アイドルだって健在だ。
しかし、そんな群雄割拠の中僕 近澤 弘人 が一目も二目も置いているまさにアイドルの頂点と言っても過言ではないアイドルが存在する。
その名は
「ソライロ ツバサ」ちゃんだ。
バーチャルアイドルとしてアイドル戦争に参戦している容姿、性格ともに完璧ないわば女神のような少女である。バーチャルアイドルは2017年頃から爆発的に増え続け、今もなお活動の幅を広げている。
一日警察署長や渋谷の上空をジャックしたバーチャル投影機器を使用してのプロモーションは圧巻であった。
簡単に言えば尊みがヤバいのである。あぁーもう語彙力が追いつかない。それくらいヤバイ存在なのである。
なぜ僕がこんなに興奮しているかって?それもそのはずだ。
今、まさにソライロ ツバサちゃんのライブ"Perfect Prism Party"略してPPPの真っ最中なのだから!!
ツバサ「みんなー!今日は来てくれてありがとうーー!!」
ファン「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ツバサ「あんまり大きな声だしちゃ近所迷惑になるから控えなよー。あと、あんまり暴れないように!部屋がぐちゃぐちゃになっても知らないんだから。」
弘人「はぁぁぁぁぁっぁぁぁい!!!」
ツバサ「よぉーっし!それじゃあ1曲目いくよーーー!!”超えて!”」
ファン「きたあぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
激しくも繊細で心躍るギターから始まり、それに追いつけ追い越せと追従するドラムとベース。
ソライロツバサちゃんのデビュー曲であり、最&高のキラーチューンのひとつ”超えて!”である。
次元も距離も超えて僕たちに会いに行くよという気持ちがこもった1曲だ。
これを聞いて、サビ前の「超・え・て!!」を叫ばないものはない。
弘人「くるぞくるぞ・・・・・・」
ザ、ザザザーーー
弘人「ふぁ!????」
目の前の武道館が一瞬で砂嵐へと変わっていく。電波障害!?
弘人「なんで!?タイミング悪すぎぃ!!これだから田舎は嫌なんだよ!マジF〇CK!!」
弘人「せっかく"あまんぞ"で最新モデルのVR機器買ったのに!!こんなのってないよ!!」
パソコンに斜め45度でダイレクトアタックを始める。
弘人「動け、動け、動け、動け、動いてよ。今動かなきゃなんにもならないんだ!」
弘人「ツバサちゃんが待ってるんだ!動けぇぇぇぇぇぇ!!」
初号機といわんばかりに殴打を続けていると電波障害は回復した。
ツバサ「まだまだいくよ-!!」
弘人「おぉ・・・・・・神よ・・・・・・。」
信じるものは救われる。byそこらへんの偉い人
落ち込んでばかりいられない。だって僕たちのライブはまだまだ始まったばかりなんだから!!!
―2035年10月9日(火)―
弘人(憂鬱だ・・・・・・)
昨夜の幸せな一時を思い返しながら、見渡す限りの田んぼ道を行く。
これが僕の通学路。田んぼ道を抜けるのが一番の近道になる。
新潟の10月は、東京と比べると平均2~3度気温が低い。
暑がりさんにはもってこいの地域だ。
ソライロツバサちゃんのアルバムを聞きながら登校するのが日課となっている。
弘人「・・・ぶっつぶせー・・・」
???「相変わらず朝っぱらから物騒だな、君は。」
背後から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
弘人「おはよ、村越。」
村越「おはよ。君がさっき口ずさんでいた”ぶっつぶせー”のフレーズ。当ててみよう。ふむ。・・・・・・ズバリ”非現実逃避days”だるぉう!」
弘人「正解。よくわかったね。」
村越「当たり前だろ。何年ウィングをやってると思っているんだね君は。俺レベルになるとツバサちゃんの口運びだけで何を歌っているかもわかるってもんだよ。なぁ相棒!」
この朝っぱらからキモイのが、俺の悪友の村越 亮だ。
小学校からの同級生で、同じ趣味を持つ同胞でもある。黙っていればイケメンなのに中身がこれだからあ、察しって感じ。
まぁ田舎だからほとんどのクラスメイトとは小学校からのお付き合いだけどね。
あ、ウィングってのは、ソライロツバサちゃんのファンのことね。
村越「近澤くんは、昨日の"PPP"。もちろん参加したのだよね?」
弘人「あぁ、"Perfect Prism Party"ね。当たり前だろ。」
村越「さすが同士で同胞な相棒だ。では、昨夜の思い出を存分に語り合おうではないか。」
弘人「その言い方、ある一定の層に勘違いされそうだからやめて。」
そうこうしている間に僕たちは、学校に着いた。
ガラガラガラ
???「弘人くんおはよー。」
弘人「心優。おはよー。」
心優「昨日すごかったねー。弘人くんが言ってたバーチャルライブ?ってやつ見たよー。」
弘人「すごかったでしょ?自分が本当に武道館にいるんじゃないかって錯覚を起こしちゃうよね。」
心優「アイドルさんの歌も可愛かったし、みんな盛り上がってたねー。」
弘人「アイドルさんじゃなくてオオゾラ ツバサちゃんね。」
この子は、僕の幼なじみの 小倉 心優。
家が近かったのと親同士が仲が良かったのでお腹の中からのお付き合いだ。
農家の生まれで俗世のことにはめっぽう疎く、典型的な田舎ガールである。
村越「あぁ、そうか。近澤くんが最新VR機器に買い換えたからお古をあてがってあげたのだったね。」
心優「そうなんだよー、セッティングまでやってもらっちゃって。私パソコンであんなことできるなんて知らなかったもん。」
弘人「心優はものを知らなさすぎだよ。ちょっとは勉強しなきゃ。時代に取り残されるよ。」
心優「大丈夫だよ。私だって今はカチューシャつけてるもん。」
弘人「カチューシャじゃなくて”ナーブフォン”ね。それにスマホから変えたの最近じゃん。」
ブレインフォンとは、2030年に開発された脳波と脳血流を用いて操作することが可能になっている完全非侵襲型のブレイン・マシン・インターフェースである。
携帯電話からスマートフォンへと移行していったように、時代は流れ今ではスマホに取って代わっている。
カチューシャのように装着することでタッチすることなく脳波を使って操作できる優れものである。
骨伝導などを使って音も聞こえるし先端からの投影機で画面も目の前に投影される。
購入時にキャリブレーションを行えば、ほとんど動作不慮は起きない。最先端技術の結晶だ。
(心優の周りをボインなお米の妖精が飛んでいる)
弘人「てか、そのアシストキャラはなに?」
心優「オコ女神様だよー。お米の女神様で豊作を約束してくれる新潟農業組合のマスコットキャラクターだよ。」
弘人「さいですか・・・・・・。」
村越「実るほど・・・・・・頭を垂れる。稲穂かな・・・・・・。」
心優「垂れてないよ!パインパインだよ!」
そう言った心優の稲穂もパインパインであった。
おっと僕の稲穂が脱穀を始めたぞ。