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続・やもりの小次郎  作者: MOSHIKAME
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 雨は降り続いた。

どうも久しぶりの長雨になりそうだ。夜になり目覚めてもオレはこの場所からは動けない。

雨にぬれた壁は滑りやすいのだ!

「今夜は食事抜きか!」

ため息交じりに呟いてみて、改めて昨夜の最高の食事場面が脳裏に浮かんできた。

「ありゃあやっぱり最高だったねぇ。」

一度そんな事を考え出すともう止まらない。”もう一度”という気になってくる。ふと聞こえてきた壁越しの家の中の会話。


 『お父さん、僕今度はもっとがんじょうなやつを作るからね。』

 『まぁそれもいいが、あのゴキブリ取用の紙型ハウスはまだあったかねぇ。』


何?!あの紙の箱はゴキブリ用だって?やもりをバカにして!と腹は立ってもそれでもあのいい香りは良かった。もう一度作るんだって?


 『それはそうとお父さん?いくら丈夫なやつを作ってもあのミャーゴのやつを何とかしないと、やもりが食べられちゃうね。』


その後も長々と父子の会話は続いた。まるでしとしとと降り続いている雨の様に終わりそうになく、オレはそんな会話の中少しでも体力を残しておくためにうつらうつらと眠った。


 翌日、人間にしてみれば快晴で気持ちのいい朝だろうがオレには過ごしにくい暑い一日の始まりである。どうやら今日は人間界で言う日曜日らしく、この家の連中はみんなまだ寝ている。

自然の摂理に反する生き方をするのが人間だと思っているオレだが、まぁこの一家はその代表だろう。余程毎日の生活が乱れ疲れているのだ。

もっともオレにとっては少しでも静かに眠り続けられるので都合がいいと思えばいいのだが。


「お?坊主が起きたらしいな。 おや?長い棒のようなものを持って出てきやがったぞ!?」


 戸袋からはい出して、眩しさをこらえながらオレは屋根のひさしに取り付けられいる雨どいへと移った。ここなら周りがよく見渡せるのだ。長い棒を持ち出した坊主は隣の家の庭を覗き込んでいる。

「何してるんだ?」

オレは身を乗り出してその様子を眺めた。


 『こいつめっ!』


といきなり坊主が持っていた長い棒を振り上げて植え込みのそばの地面を叩いた。

 『ニャーオーッ!』

ミャーゴのやつがその植え込みの所から飛び出してこちらの方へ通路を走ってきた。

 『くっそぉー。待てぇー』

追いかける坊主。逃げるミャーゴ。

ミャーゴが全速力でこの家の角を曲がろうとした時だ。

その時車の急ブレーキをふむ音がその曲がり角になり響いた。


 あっと思った瞬間だった。

オレはまるでスローモーションビデオでも見ているようだった。

車がキキーッと止まる。その直前にミャーゴはドン!という音とともに吸い込まれるように車の下へと消えてしまう。そしてコロコロと車の横手から転がり出てきた。

ゆっくりと車のドアが開き中からオレの知らない人間が出てきた。ミャーゴの転がった様子をチラっと眺めただけでその人間は自分の乗っていた車が猫と当たったと思われる部分を腰をかがめるようにしてどうもないか調べている。

 一方坊主は?と見れば突然の出来事にビックリしたのだろうが道端にボーッと立ち尽くしている。

 『ニャーオ―ッニャーオ―ッ』

弱弱しくミャーゴは鳴く。事件に関係した二人の人間はやつを救助しようとしないでいる。

 『ニャーオ―ッニャーオ―』

ミャーゴは寂しく鳴き続けていた。


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