スコッパーはサイトを作る
一応断りを入れておくと、サイト作るようなスコッパーは極めて稀だと思います。
さて、前回の投稿が去年の8月。それからいつの間にか9ヶ月である。もうこのまま、このエッセイはエタって行くのも良いかなと思ったりしたものの、せっかく沢山の方に読んでいただいた訳だし面白いネタがあれば投稿したいという気持ちの方が勝り、ズルズルと今に至った次第である。
そしてようやくネタを思いついたのでこうやって筆をとっている。いや本当はキーボードを打っているのだけど。
すでに私のTwitterのフォロワーになってくださった方や、最近短編として投稿したエッセイをお読みの方はご存知通り、今年4月に私は念願のサイトを作った。スコッパーとして「小説家になろう」で感じた不満、主にランキング外の良作を見つけにくいという課題をどうにか改善したくて行動を起こしたのである。
一応本業はwebエンジニアの端くれであるから、webサイトの構築や運用は経験済みであった。ならば「小説家になろう」が、ご丁寧に開発者向けのAPI(データを外部に提供するためのインターフェース)を公開してくれている機会を活かしてこそ日本男児。そう思って開発に着手したのが去年の5月。ところがリリースするまでには1年という時を要することになったのである。
なぜか?
ひとえに「小説家になろう」のデータが半端無いせいだ。2020年5月現在、投稿された作品数は実に73万件にのぼる。これを1回こっきり取得するだけなら、PCにプログラムを実行させて放置しているだけの簡単なお仕事だったかもしれない。だが、実際それだけではわざわざ別のサイトを作る意味が薄いと感じ、ブクマや評価などの作品データを時系列で管理せねばという思いに囚われた。その結果、毎日のように73万件分の数値を格納したレコードが増えるという悪夢。DBは悲鳴を上げ、サイトの応答速度は日増しに悪化していった。
このままじゃダメだ。
そう思い、新規投稿後10日経過したのに0ptのままの作品はデータ取得対象から外してみたり、タイトルの変化を毎日追えるようにしたいという思いを諦めたり、色々工夫を重ねてみたが結局焼け石に水。到底公開できる代物ではないと、開発を断念せざるを得ないのであった(もちろん富豪的な環境を用意できれば乗り越えることもできただろうが、如何せん長く運営を続けるためにはリリース後の赤字は抑える必要があった)。
そんな私に転機が訪れたのは今年の1月。OracleというIT関連では超有名な企業が、無料ですんごい環境を提供してくれているらしいと教わったのだ。早速使ってみるとその効果は劇的であり、これならいける!という手応えを感じた。そうしてようやく「なろうファンDB」というサイトが日の目を見ることになったのである。
めでたしっ!
・・・というわけでここからが本題。そう本題。スコッパーとして「なろうファンDB」の何に拘ったかを語っていこうと思う。
実のところ私がサイトを立ち上げるまでもなく、世の中には「小説家になろう」のデータを活用して、「小説家になろう」とは違った切り口で作品を探せるサイトというのは既にいくつかある。「俺Tueee.Net!」、「sinoobi.com」、「小説家になろう 勝手にランキング」あたりは名前を聞いたことがある読者の方も多いのではないか?私も当然そういった競合サイトの存在は把握していたというか、むしろ活用していた。ただ、どのサイトも令和のこのご時世にスマホでの利用を考慮していない作りであった。故にスマホで快適にスコップがしたい、これが私のサイト開発の大きな動機の1つとなった。
更に。私がスマホでスコップしていて1番辛かったのが、どのサイトも(本家さえも)一覧で作品を眺めようとした時に、データが非表示になっていていちいちタップして見ないとダメなことだった(そもそも全く表示されないケースもあった)。あらすじは隠されているのは仕方ないとしても、読むかどうかの判断に使えそうな値は見えるようにしておいて欲しい。だから一覧表示にはこだわろうと思った。
そしてその上で、独自の切り口のランキングをいくつか用意したいと思った。具体的には、直近1週間ぐらいに発表された作品のランキング(注目の新作ランキング)、投稿年月ごとのランキング(月別ランキング)、総合ポイント3桁や2桁の範囲でのランキングである。これらは「小説家なろう」でよくスコップする時に活用しているアプローチである。つまり、詳細に条件を指定すればなろう本体でも似たような結果は得られるのだが、それをもっと気軽に見られるようにしたいと思ったのだ。
一方、作品詳細ページについてはあまり拘りは無く、「俺Tueee.Net!」さんがブクマと総合ポイントの日次推移をテーブル表示してくれていたのが便利だったので、それを参考にしてテーブルではなく折れ線グラフで推移を表示し(折れ線グラフにしたのは差別化を狙ったという側面もある)、かつ1週間ではなく2週間追えるようにしたのが唯一のアピールポイントと言える。
またトップページも拘りが無くて、ダッシュボードぽく「小説家になろう」の各種指標の集計が出ていたら便利かな?と考えたぐらいである。
そうして満を持してリリースした「なろうファンDB」であるが、リリース後は読み専の方やスコッパーの方ではなく、なろうに投稿している作者の方々から便利という声とともに要望を色々といただいたことになり、作者向けの機能改修を多く実施することになった。これは全く想定外ではあったが、リリースしてすぐのサイトにフィードバックをいただけることがとても嬉しかったので、どんどん対応していった。
具体的には、作者の全作品リスト表示、タイトルorNコード検索、グラフの改修、ブクマ/評価推移テーブルの追加、5ちゃんねるやスコ速で話題になっていないかを検索するためのリンクの追加などである。特に最後のリンクは、なろうに投稿している作者の皆さんからは予想以上に好評をいただいたものなので、まだ使ったことが無い方が居れば是非使ってみてほしい。
また環境面では、OracleのDBは期待通り非常に高性能であったものの、データ容量が20GBという制限があり普通のサイトなら余裕のはずであったが、なろうのデータに対しては全くもって心許ない容量となっていて、既に上限に到達してしまい途方にくれている。本当は時系列データを1ヶ月ぐらい蓄積したかったのだが、2週間分が限界というところで、いっそお金を払ってストレージ容量を増やしてしまおうかと調べてみたものの、そんな気持ちを打ち砕くような金額が提示されてしまい、この先どうするか今も思い悩んでいる。
とは言え、自分自身が利用者となって使ってみた「なろうファンDB」は、ランキング外の良作をザクザク見つけられることが実感できたので今のところは概ね満足である。特に「3ケタ」「2ケタ」ランキングや、「ブクマ100突破」リストは、ほぼ毎日のように自分の琴線に触れる作品との出会いがある。読むスピードが早くない自分にとっては、ちょっと困ってしまうぐらいの成果というのが正直なところだ。
また、日々のダッシュボードも自分で言うなよと思われるかもしれないが、よくできていて、ブクマ、評価、感想、レビューが日々どの程度貰えるものなのか、如何に貴重なものなのかを知ることができるし、ブクマを100以上稼ぎ某巨大掲示板で言うところの底辺作者を突破することの難しさも何となくご理解いただけるようになっている。
そんな訳で、他の読み専の方、スコッパーの方にも広く知れ渡って欲しいと願っている。おそらく5ちゃんねるあたりに投げ込めば一定の成果が得られそうな気もするが、宣伝に類するものを毛嫌いする人たちが居る場所なので躊躇せざるを得ない。だから、地道に続ければ自ずと広まっていくはずと信じ、今日もスコッパーは粛々とサイトを運営している。
今後もサイトは改善していくので、もし要望があればお気軽にメッセージを頂ければと思います!