観察零日目/星の煌めく花畑が広がる学園にて
今から四日前。
その日、僕は所属している組織の拠点を飛び出して、百合観察に励んでいた。元々犯罪まがいの趣味だし、別に任務の時以外に外に出ちゃいけないなんて決まりはないから、特に予定の無い日は、こうして女の子成分を補給しているんだ。任務の過程で良い盗聴・盗撮グッズのショップを見つけたから、捗るのなんのって。
…まぁ、あいにく今日は収穫無しだったんだ。くっつくと予想してマークしていた女の子達が結局不発で、僕はたいそう不機嫌だ。
「ちょっと、危ないよー!」
「え? うわっ!?」
び、びっくりした…。ジョギング…かな?
って、あれ?
僕の手には何も握られておらず、さっきまであったはずの盗聴器の姿は、そこにはなかった。
うそ、どこかに落としちゃった!?
…近くに転がっている様子でもないし、はずみで…。
…この学校の敷地内に飛んでいったに違いない。
◆
うー…。
そんなに遠くへは行ってないはずなんだけどなぁ…。
ん?
僕の視線の先。そこには図書館らしき建物。そして窓ガラスの向こうにいる、二人の少女。
百合の…。
百合の、百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の百合の!
百合の、匂いがする!
直感で感じる。これは間違いない!
…明日から、張り込んでみようか。
え、敷地内不法侵入? ごめん、あいにく僕の常識の中において、その単語は意味をなさないんだ。僕はどんな場所にあっても、ただ貪欲に百合を求める。それだけさ。
…とりあえず今日は、彼女達の下調べをして帰ろう。