購読壱日目/お手伝いな日々と、引っ越し直後のダブル・アクション
散々ギャグパートが続いて、今回からようやく恋物語。
◆◇◆
「すまんのう響。じいちゃんが腰をやっちまったせいで……」
「おじいちゃんのせいじゃないわ。いいから奥で休んでて」
アタシの両親は海外で働いていて、今はおじいちゃんとの二人暮らしをしている。
星花女子学園中等部への進学を控えたある日、小さな本屋を経営していたおじいちゃんが体をこわした。だから、今はアタシが、代わりにお店の番をしている。おじいちゃんには、店舗の上の階にある居間で、ゆっくりと療養してもらっている。元々おじいちゃんの仕事を手伝うことが多かったから、やることはだいたいわかってる。正直、客もそんなに多くないし。
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久しぶりに、我が家の本屋に客が来た。アタシよりも少し背が高くて、特にいじっていない感じの髪の少女。初めて見た顔だった。
◇◆◇
わたしは、この街に引っ越してきた。空の宮市。ここが、わたしの新しい生活の場。
親の勤め先の会社が今度、この街に本社を構える「天寿」という企業の傘下に入る関係で、家族揃って引っ越してきた、というわけだ。
わたしは本が大好きだ。依存症と言ってもいいくらい、本が大好きだ。
一通り新居に家財道具を運んで転入先の学校で手続きを済ませたわたしは、新居に帰る親と別れ、その足でこの街の本屋を見て回ることにした。
周辺の書店をウインドウショッピングし、ここが最後の一軒。商店街の一角に建つここはいかにも「穴場」という雰囲気を醸し出していた。
「いらっしゃいませー」
壁際の本棚で書籍の順列を整理しているらしい少女が、わたしを迎えた。
どうも、壊れ始めたラジオです。
残念ながら、ふたつの声が重なるような場面はつくれませんでした。(サブタイトル参照)
それでは。




