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燐火の響き  作者: 壊れ始めたラジオ
僕らは(社会的に)死にたくありましぇん!
12/30

観察五日目其の六/にっこにっこになりたい。みんなも一緒にシャンシャンしてほしい。

下着泥棒ブラックアウト、誘拐洗脳少女フォッグに続き、今回は盗撮魔シーカーのターンです。

「……と、いう訳で用務員に追われているんですけど、応援にきてもらえませんか?」


 なんとか倉田用務員からダクト内を逃げている僕は、迷惑がかかるとはわかっていても、サンクスマンに助けを求めずにはいられなかった。


『すまないシーカー君。ちょっと立て込んでいてね。もう少し待ってくれないかい?』


 ん? なんか、サンクスマンの声の向こうでバシンバシンって音がする……。


「わかりました。……ところでサンクスマンさんは何やっているんですか?」


『剣道対決だが?』


「本当に何やっているんですか!?」


『……おっと、そろそろ通信を切るよ』


「え、ちょっと……ふぅ」


 もう、なんでこんなことに……。


「ピロリ♪」


「うわっ!?」


 メールだ。

 僕は迷彩柄のツナギの胸ポケットからスマホを取り出し、内容を確認する。


「えーと、『モモアワセの今週分の更新当番忘れてる』ってああっ!」


 しまった、こっちに気がいっていてすっかり怠っていた。

 モモアワセというのは、僕らの組織の事務部が日々管理・運営しているレズビアン専用、男子禁制の掲示板。現在事務部に所属している僕には、当然定期的に更新するローテーションが回ってくるわけで……不覚。


「どうしよう記事のアイデアなんてないしこんな状況でどうしたら……ん? 『追伸。だいたい他のメンバーが代わりに入力してくれたからアップロードだけしておいて』か……助かります」


 早速モモアワセのサイトに向かい、管理者パスワードを使ってログイン。


「お、ここの隣町の闇市場で手提げポーチに偽装したハイビジョンカメラが近々30台限定で販売されるんだ……これは盗撮が捗りそうだって10万円!? 高っ!」


 さすがにちょっと手が出せない……。しかも決して法外な値段じゃないところが後ろ髪を引かれる……。

 おっとそうじゃない。


「更新更新っと……よし」


 さて、悲劇というものは突然襲ってくるものだ。

 今、僕はダクト内に潜伏している。そしてちょうど僕が這っていた場所が、奇しくも換気用の鉄格子の上だった。


「ギシッ……ガシャン!」

「……」


 さらに……その鉄格子に肘をついていた僕は、重心の急速な移動についていけず、バランスを崩して……。


「ドサッ!」

「あぁ、なんかデジャヴ……」


 ダクトから落ちた。


 回りから、ザワザワと多人数のざわめきが聞こえてくる。


 僕は趣味の盗撮をする際、いつも迷彩柄のコーディネートで臨む。森などの自然溢れる場所では、気配を消すのにうってつけなのだ。

 けれど、今僕がいる、というか落ちたのは……周囲を窺う限り、この学園の図書館。当然、そんな場所においてこの服装は……。


「あの、急に何……? というか落ちて……?」


 めちゃくちゃ目立つ。



 という事で、次回へ続く。

 僕の人生も、取り敢えずまだ続けられる。

どうも、壊れ始めたラジオです。


すみません、まだ登美司つかささんの水藤叶美さんしか出ていないのですが、区切りが良いのでここで切ります。


この学園の鉄格子、弱すぎ……。


それでは。

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