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燐火の響き  作者: 壊れ始めたラジオ
僕らは(社会的に)死にたくありましぇん!
11/30

観察五日目其の五/ゆっらり・ゆ・ら・ら・ら・ユリクマ・大惨事 ?

※サブタイトルと内容は後半しか関係ありません。

『……と、いう訳で用務員に追われているんですけど、応援にきてもらえませんか?』


「すまないシーカー君。ちょっと立て込んでいてね。もう少し待ってくれないかい?」


『わかりました。……ところでサンクスマンさんは何やっているんですか?』


「剣道対決だが?」


『本当に何やっているんですか!?』


「……おっと、そろそろ通信を切るよ」


『え、ちょっと』


 白いスーツに身を包んだ中年男性「Mr.サンクスマン」は左耳に嵌めた通信機の終話キーを押して剣道の面を被り、正面の少女と対峙した。


「話は終わりましたか、コーチ」


「あぁ。……さて、そろそろ決着をつけようか」


 彼は焦っていた。

 彼には、剣道の経験がほとんどないのだ。


 では、この状況はどういうことだろうか。

 話は一時間前に遡る。



 ◆



 休みをとってとある中高一貫校に潜り込んでいた組織のメンバー三人、Ms.シーカー、Ms.ブラックアウト、Ms.フォッグが、その学園の用務員に追われているという情報が上層部まで入ってきた。

 それを聞いた組織のリーダー、Ms.ガイアは彼に命じた。「助けにいってやれ」と。

 彼はその命を受けてここ、星花女子学園へと乗り込んだ。

 その際、問題が発生した。

 偶然校内ですれ違った剣道部に所属している少女、太刀花凛花(たちばなりんか)にその身元を疑われたのだ。

 凛とした瞳に圧倒され、お金で解決できるものではないと判断した彼は、咄嗟に「今日、特別にやってきた剣道部のコーチ」だと嘘をついた。


 それがまずかった。

 その嘘のせいで、彼は剣道部員全員の相手をしなければいけなくなったのだった。



 ◆



 彼女は、いや、彼女達は窮地に追い込まれていた。


「クゥーン?」


「あわわわわ」


「な、なんとかできないものなのですか!?」


「できるわけねぇだろてめえがなんとかしろよぉ!」


「ワンっ!」


「「ヒイィィィっ!」」


 彼女、Ms.アルテミスもMr.サンクスマンと同じく、Ms.ガイアに命じられて三人のサポートに向かっていた。


 その道中のことである。

 星花女子学園へ行くために住宅街の路地を歩いていると、何かがものすごい勢いでこちらに向かってきたのだ。

 それは少女だった。明るい金髪の少女が、こちらへ駆けていたのだ。


「た、たた助けていただけないかしら!?」


「うぉう!?」


 彼女の胸に少女が飛び込み、非常に柔らかな感触を覚えた。

 動揺する頭を冷やすために、彼女は正面に向き直った。

 彼女はさらに動揺した。


「ギャァァァ!」


 少女が慌てていた原因。それは……。


 一匹のゴールデンレトリバーだった。


 少女は、犬が苦手であった。

 そして彼女もまた、動物が苦手であった。


「昔噛まれて、トラウマなんですの!」

「虎でも馬でもなくて犬だけどな!」


 そのゴールデンレトリバーは、鎖が切れた首輪を着けていた。どうやら、飼われている家に繋がれていた鎖が錆びて壊れてしまったらしい。

 つまり、ただ単にじゃれてきただけである。


 だが、二人にそんなことを推察する余裕は無かった。

 二人はすっかり怯え、抱き合い、お互いに体を密着させていた。さながら、クローズド・サークルの洋館に閉じ込められ、次々と宿泊客を襲っていた連続殺人犯に遭遇したカップルである。


「「誰か、助けて……」」


 冷や汗を流し、顔面蒼白の二人に、はたして好機は訪れるのだろうか。


 次回へ続……かない。

どうも、壊れ始めたラジオです。


今回の「勝手にコラボ回(仮)」は、伯爵さんのキャラクターの太刀花凛花・エヴァンジェリン=ノースフィールドのお二人でした。

エヴァさんは動物が苦手だそうです。


次回の「勝手にコラボ回(仮)」は、しっちぃさんと登美司つかささんの娘さん達です。いつになったら燐×響は進展するのやら……。


それでは。

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