共通の知人作戦1
友達が欲しいという田路茉莉の依頼に応えるために次の日の昼休みに田路の教室を覗いてみることになった。
しかし俺一人である。
ほかの奴らはというと…
新田は「昨日の宿題やってくるの忘れたから昼休みにやっとけって先生にいわれたから行けないわ」
らしい。
名嘉地は「すいません。私お弁当食べるの遅いんで昼休み全部潰れちゃうんですよ」
らしい。
泣いていい?
ってな訳で1年2組の教室前である。
田路の席は廊下側の席の一番後ろだ。
扉から近いので意外と簡単に田路を呼び出すことに成功した。
「私席にも恵まれてなくて友達ができにくいんです」
俺は部員に恵まれてない。
「でもなぁ、まず誰かに話しかけないとはじまらねぇんじゃねぇのか?」
「簡単に言わないで下さいよ。人見知りなので話しかけるなんて出来るわけないじゃないですか」
それが友達募集中のやつのセリフかよ。
「なら、方法は一つしかねぇな」
「な、なんですか?」
「話しかけるのが無理なら話しかけられればいいんだよ」
「な、なるほど。でもどうやって?」
「ひたすら話しかけられるのを待つ」
「年明けちゃいますよ」
あけましておめでとう。
「じゃあ話しかけられるように仕向けるしかないぞ」
「どうやってですか?」
「かわいそうな目で男子を見つめるのはどうだ?」
「ふざけないで下さいよ」
「でも今いい方法浮かばねぇから放課後作戦練って明日報告するよ」
「え?わ、わかりました」
そして放課後…
部室には俺と名嘉地しかいない。
新田はというと
「昼休みに宿題が終わらなかったから教室で居残りしてやれって先生に言われたので行けないわ」
らしい。
もう新田よりも新田に宿題を出す先生に腹が立ってきました。
「水有月先輩。なんか進展ありました?」
「名嘉地って2組に友達いるのか?」
「2組にはいないですね」
ってことは共通の知人作戦も使えないのか。
ちなみに共通の知人作戦っていうのは文字通り共通の知人を通して友達にさせる作戦のことだ。
「そう言えば田路ってなんの部活に入ってんだ?」
「女子の軟式テニス部らしいです」
部活やっててぼっちなんてなかなか聞かねぇぞ。
「名嘉地は軟式テニス部の知り合いいるのか?」
「えーと、います」
もしかすると共通の知人作戦が使えるかもしれない。
その名嘉地の友達が田路の存在を知っていればなのだが…
「じゃあ明日軟式テニス部の様子を見に行こう」
「え?なぜですか?まさか私の友達狙ってるんですか?」
「狙わねぇよ!ってか顔も見たことねぇよ」
「じゃあなんで様子なんて見に行くんですか?」
「さっきまでの会話の流れでわかりやがれ。
田路の様子を見に行くんだよ」
「田路さんを狙ってるんですか?」
「お前依頼の内容覚えてねぇだろ?」
「田路さんの友達作りを手伝うんですよね?」
「それわかっててあんなこと言ってんならお前はバカってことだな」
「あ、そうか。美乃里と田路さんを友達にさせるんですね」
美乃里というのは名嘉地の軟式テニス部に所属する友達らしい。
「ってことで明日よろしくな。俺はそろそろ帰るわ」
「お疲れ様ですー」
上手くいけばいいのだがもし失敗するとほかに方法が無くなる。
ほんとに田路にかわいそうな目で男子を見つめてもらうことになるかもしれない。
とりあえず明日が勝負だな。
あ、新田に文句言ってから帰ろう。