未解決部
俺が所属する私立鷹羽高校は勉強よりも部活を優先する高校である。
ウチの野球部、サッカー部、バスケ部は全国大会の常連であり他の運動部もそこそこの成績を残している。文化部だってかなり専門的な奴らがあつまっていたりする。
この高校の新入生は1年の内にどこかの部活に入らなければならない。
もし入らなかった場合はとある部活に強制入部させられることになるのだ。
その部活っていうのは…
「未解決部?」
「ああ」
「なんだよそれ?悩みがあるやつが集まる部活かよ」
「そんな奴らが集まって一体なにが生まれるんだよ。ただの鬱集団じゃねぇか」
こいつは俺のクラスメイトの苑本翼だ。
あ、それで俺の名前は水有月翔である。
俺は1年の時に部活に入らなかったので未解決部という部活に強制的に入れられた。
部員はわずか2人しかいない。
ちなみに未解決部というのは『未だ解決されていない事柄を解決に導く部活』の略だ。
『未』は200%いらない。
それにしてもあれだな。『未』を単体で見ると何故か『ひつじ』って読みたくなる。
「じゃあ、何やってんだよ?」
「まあ、簡単に言うと解決されていない事柄を最短距離で解決できる解決策を練ってその解決策を試し無理なら新たな解決策を探し出し最終的に解決させる部活だな」
「全然簡単に言えてねぇけど」
「要するに悩み解決だな」
「初めからそう言えよ」
まあ、4月からこの部活に入って2ヶ月が経つけど依頼が来たことはないのだが
「じゃあ俺の依頼聞いてくれよ」
「何だよ」
「サッカー部のレギュラーにしてくれ」
「だまれ」
そして放課後…
俺は部室に入る。すると…
「遅いわよ」
「お前が早すぎるんだよ」
こいつは新田胡桃
俺と同じで強制入部させられた生徒である。
ただ俺と違うのは何故かやる気がみなぎっているということだ。
いつも部室に入る時間が早い。
ひょっとしたらこいつ掃除とかサボってんじゃねぇのか。
「今日も依頼をバシバシ解決するわよ」
「依頼なんてきたことねぇじゃねぇか」
「今日こそはくるはずよ」
「じゃあ来ないに賭ける。負けた方は勝った方の言う事をなんでも聞く。どうだ?」
「受けて立とうじゃない」
絶対に来ないと踏んでいた。
賭けは俺の勝ちだな。
が、こういう時に限って来るものなのである。