魔導師名門の憂鬱
今回は短め
「やっぱりそうだったか…」
クリストファーがなにやら深刻そうな顔をして呟いた。
「大体御前は何を言っているのだ?魔法に決まっているだろう?」
「そうだよね…。ディアナは魔法使いの素質の方が強いんだ…。」
そのことを初めて知ったかのようなクリストファーの様子を吾輩は不思議に思った。
この国の子どもは12歳になると皆、魔力を持っているか、それなら魔導師と魔法使いのどちらに向いているか調べることになっているのだ。
ディアナはそんな歳なんてとっくに過ぎている様である。だったら、彼は妹が魔法使いの適性を持っていることを知らないはずがない。
「なぜ知らないのだ?調べなかったのか?」
「調べられなかったんだよ…。」
クリストファーが苦々しく笑う。
「家名が邪魔をしたんだ。リーゼンギフト家 は魔導師の名門さ。だから、それ以外を出すことは出来ない。例え彼女にこの先何が起ころうと。いけ好かない長老どもがそう決めたんだよ…。」
「老害とでも言うべきな奴らなのだな…。それで、御前は吾輩をどうするのだ?殺すか?今の吾輩では御前にすら勝てないだろうな。」
吾輩は腕を組み、挑発するように笑みを浮かべる。
彼が自分のことを妹の害になると判断したならば、それで良い。
「…いや、君に今死なれては困るんだ。君がいなければ誰があの子に魔法を教える?僕が使えるのは魔導だけだ。そのうえ、家名のせいで家庭教師を雇うわけにはいかない。吸血鬼公を名乗る以上、それくらいは朝飯前だろう?」
彼が言ったことはもっともであった。魔力も戻っているし、自分の主人のためにそれくらいはやってやろうではないか。
「当たり前だろう?やってやろうではないか。」
クリストファーに勝てないのは身長差が原因です。