バンパイアと兄様
大変長らくお待たせ致しました。
今回はヴィッケンドルフ君視点です。
吾輩はヴィッケンドルフ。吸血鬼公をしている。バンパイアの特徴である黒髪赤目に身長は180センチあったのだ。自分で言うのもなんだが格好良かったのだぞ。
まあ、つい100年前まではな。
ある日、美味いトマトジュースでも買おうかと人間の王の住む王都に行った吾輩は、同じく王都に用のあった同僚の水棲馬と大通りをあるいていた。
吾輩が店でトマトジュースを買って再び歩き出したとき、いきなり祓魔師が襲い掛かってきたのだ。
何の用意もしていなかった吾輩たちにはなすすべがなかった。
吾輩は何とか逃げられたが、かけられた祓魔術によって小さくなってしまった。100年の間で削られた魔力は戻ったが、一番戻ってほしい身長は戻らない。
部下や上司にこの姿を見せるわけにはいかないのだ。特に上司に見られたら笑いものにされるのが目に見えている。それだけは避けたい。
魔力なら何とかなる。身長…吾輩の身長を返して欲しいのだ、祓魔師!!
みっともない姿を見せてしまったな。すまん。
その後色々あって吾輩はディアナに召喚された。そして今、彼女によく似た青年にマントをつまんでぶら下げられている。
「一体御前は何者なのだ!!いきなり吾輩をつまみおって!!」
「クリストファー。」
「何なのだと聞いておる!」
「ディアナのお兄ちゃん。それで?君こそ何者なんだい?」
「吾輩か?吾輩は吸血鬼公のヴィッケンドルフだ。ディアナに召喚されたのだ。これからよろしくである。」
「嘘つかなくていいから。」
その言葉とともに、クリストファーは吾輩のマントを離した。
ぽさっという音と共に床に落ちる。痛いではないか。
「ああ、ヴィルフ?」
「そう呼んで良いとは言っていないのだが?」
吾輩はぶつけた腰をさすりながらそう言った。
よろしく、とは言ったがそこまでは許していないぞ。
「まあ、いいじゃないか。それで、君は魔法で召喚されたんだよね?」
いきなり何を聞くんだ?こいつは。
ディアナは魔法使いだろう?
「?ああ、そうだが?」
読んで下さって有難う御座います。