アイゲンヒューマー
3/1改稿
「…い。おい、起きるのだ魔女っ娘!」
せっかくいい夢を見ていたのに、誰かに起こされました。3年前に死んだおじいさまが夢に出てきたというのに…。
?この声、聞き覚えないけど誰でしょう?
「ん?誰?」
私は床から起き上がり、辺りを見回しました。
誰もいないようですね。
ただの空耳でしょうか。床で寝ていたからか、体中が痛いです。
もう少し、今度はベッドで寝ることにしましょうか。
ベッドに向かおうと歩き出した時、私は何か柔らかい物を蹴飛ばしました。
あら?足元にネコでもいたのでしょうか。
「痛いのだ。最近の娘は乱暴なのだな。」
…ネコが話すはずがありませんね。
「足元をよく見るのだ、魔女っ娘。」
私が足元を見るとそこには黒いマントを羽織った小さい人が立っていました。
赤い目ですから、人間ではないようです。
「吾輩はヴィッケンドルフなのだ。ヴィードと呼んでくれ。吸血鬼公をしている。お前の魔法で召喚されたのだ。故あってこの姿だが、吾輩はバンパイアの中でも最強なのだからな!召喚できたことを誇りに思うがいいのだ。」
「…冗談でしょう?だって、なんで悪魔召喚してバンパイアが出てくるのです。バンパイアっていつの間に悪魔になったのかしら?」
こんなにちっちゃいのが吸血鬼公だなんて信じられません。どうせ彼は下級悪魔か何かなんでしょう。そういう輩はえてして自分は最強であると言い張りますからね。
「何故バンパイアの吾輩が悪魔召喚で召喚されたのかはわからんが、バンパイアなのは本当なのだからな。」
…。まあ、バンパイアってことにしときましょう。
「それで、お前の名前は何というのだ?」
そういえば、自己紹介してなかったですね。
「ライザ・リーゼンギフトよ。よろしくね。」
「契約成立なのだ、主人!」
主人? しまった!悪魔召喚ってお互いに名乗って成立するんでした!
またやらかしてしまったようです…。
「なんてことしてくれたのです!このちびっ子バンパイア!」
私は目の前をふわふわ浮きながら、紅茶を飲んでいるヴィッケンドルフに言いました。
一体何処からそんなもの出してきたんでしょう?
「吾輩の名前はヴィードなのだ。ちびっ子バンパイアなどと呼ぶな!魔力が増えるんだからいいじゃないか。吾輩は主人が気に入ったし、契約解除なんてしないからな。」
「良くない。」
ドアを思いっきり開け放った兄様が私の代わりに言いました。
そしてつかつかとヴィッケンドルフに歩み寄り、彼のマントをつかんでぶら下げました。
「ちょっとお話しようか、バンパイア君。ライザ、借りてくよ。」
読んでくださってありがとうございます。
感想、評価等々待ってます。けなしてくれたって構いません。
ちなみに、クリストファーはシスコン入ってます。
やっとヴィード君出せた!使い魔のヴィクトヘルムと犬猿の仲って設定だけど、この後その話かけるかなぁ。
アイゲンヒューマーはドイツ語で契約者って意味ですが、ここではあえて主人って書いてます。
グーグルさんに手伝ってもらったのですが、発音が違ったりしていたらご指摘ください。