第一話 -魔術師の少女-
魔法なんて存在しない。そんなものゲーム世界のもの。
そんな考えが当たり前のこの世界。
そんな世界の真っ只中に一人、魔法の存在を信じざるをえない少年がいた。
否、いまの状況を見て信じない方がおかしいだろう。
いま彼の目の前でなにかが起きている。
しかし彼には一体なにが起きているのかが理解できない。
そして我に返る少年が口にする。
「お前…いったい何者だ…?」その少年の質問に対し返事はすぐ帰ってくる。
「私は…魔術師です。」
この一言を最後に少年の意識は消えた。
今はあの"ありえない事"の約7時間前
ひとりの少年が血相変えて全力疾走していた。
「ち、遅刻する――!!!」
一人で焦り絶叫している少年、彼の名は前宮 悠斗。どこにでもいるごく普通の高校生だ。
今日は夏休みが終わり、今日から2学期の始まる。
そんな日に思いっきり寝坊したのだ。
「くそ! なんでアラームかけたのに携帯の電源切れてんだよ! ってうわ!星座占い1位!? これ絶対ウソだろ!」
そうひとりで騒いでるうちに、遠くからチャイムの音が聞こえてきた。
悠斗はゆっくり携帯の時計を見る。8時30分を指している。
「マジかよ、初日から遅刻って…、あいつに殺される…。」
少年はひとり、歩道の真ん中に止まり肩を落としていた。ちなみにあいつとは担任の鬼付先生の事である。
女教師だが、はっきり言って鬼より怖い。むしろ鬼の方がまだ優しいと思ってしまうほどに…。
学校に着いたのはそれから10分後だ。 もうはや始業式が始まるのか生徒が体育館に入場を始めている。
そんな日常的な左側を見ていると、右側から殺気の塊が近づいてきてるのを感じた。
それの殺気の正体は鬼教師(もとい担任)の鬼付先生だった。
「前宮くん〜? ちょっと良いかな〜?」
言葉こそ優しいが表情は噴火のカウントダウン開始。悠斗は覚悟を決めて後ろを付いて行った。
そして職員室。他の先生達は始業式に行っていて誰も居ない。
「おらぁ!何初日から遅刻してんだ? あぁ?それとも先生の楽しい生徒指導受けたいのか?」
絶対ヤンキー畑出身だと言い切れるほどおっかない話し方(もとい怒鳴り方)をする。
ちなみにその生徒指導とは、先生が家まで朝6時に訪問、身支度から何から指導され、遅刻1時間前には学校に到着する・・・。
過去にこの生徒指導を受けて丸々一週間学校を休んだ生徒も居たそうだ。
(あの占い絶対ウソだ…。この状況で1位なわけねぇだろ…。)そう心底思う悠斗だった・・・。
放課後、なんとかあの鬼教師の機嫌をとり反省文は原稿用紙に10枚に抑えた悠斗は帰り道を歩いていた。
「腹減ったな…今日購買休みなの忘れてた……。」とまた独り言を言いながら歩いていた。
やがて彼の家、もとい寮が見えてきた。
悠斗は寮で一人暮らししている。ただ一人暮らしと言っても単にルームメイトが一学期の最後に転校していったためだが。
やたらと段の多い階段を登り、右に曲がる。すると自分の部屋が見えてきた。
やっと着いた、と心の中で喜ぶ。
こんな小さい事でも喜ぶとなると、 今日はもうアイス当たっただけでも宝くじ当たった並みに喜びそうだ、そう思う悠斗だった。
鞄から鍵を取りだそうとしながら歩いていると何かに突っかかり転んだ。
鞄に手を入れていたため、受け身もとれず顔面から転んでしまった。
「いでぇ!! なんだ?なにに引っかかっ……。」
悠斗はあ然とした。無理もない、自分と同じくらいの年の少女が倒れていたのだから。
「え?え?なんでこんなとこに倒れてるんだ…?」
とにかく慌てててもしょうがない、そう思い一度深呼吸した。
そこで少女が頭から血を流していることに気づいた。
まず読んでくれた方へ一言、ありがとうございます。
初めて書いたファンタジー小説なんで、文章力不足とかが目立つかと思いますが…
これからも書いていきたいのでよろしくお願いします。