第五十二話 片鱗・前兆
「ハイル……託すわ。」
俺の指に糸が絡みつく。
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「限界…」
ノラの手から出す鎖が、今にもちぎれそうになっている。
エドワードの能力を、ノラの鎖によって制限していたものの、そろそろ限界のようだ。
「任せろ。」
そうして、氷馬が地面を蹴り上げ空中からエドワードに向かって落下と同時に足を振り下ろす。
「……!」
地面が抉れる。
エドワードの姿がない。
氷馬は辺りを直ぐに探すも、見つからない。
そう思った瞬間、
背後からエドワードが氷馬の首を斬ろうと、剣を横に振る。
魔力を込め、一心に。
だが、その瞬間魔力が消える。
エドワードが困惑するも、直ぐに氷馬によって蹴られ吹き飛ばさられる。
(何が起きた……魔力が乱された?)
その隙をついて、コーディは糸を使う。
「斬糸!」
糸を高速で振動させ、見えない刃として斬撃を放つ。
エドワードは直ぐに、コーディの気配に気づいたものの、
「くっ、、」
腕で防いだと思ったら、簡単に切断されてしまう。
コーディの能力を見誤ったのだ。
直ぐに再生を試みるも、氷馬がそれを許さない。
避けようとするも、ノラの鎖の術によって動くことができない。
エドワードは、氷馬の蹴りを正面から受けて、重傷を負う。
だが、その時……
エドワードの周囲一体が、切り刻まれていく。
「いて、」
コーディは、腕を深く切られてしまう。
直ぐに糸を自分の体に、縫い付ける。
「なんとか、なったか……」
コーディは腕を押さえながら、エドワードを見つめる。
瓦礫の山から出て来たエドワードは、血だらけになりながらもまだ少し息があるようだ。
「死ね……」
そうして、ノラに向かってエドワードは斬撃を放つ。
「やば……」
当たるその瞬間、
コーディが直ぐに移動し、ノラを庇う。
「ありがとうござ……」
ノラが、コーディに目をやる。
「……やりやがったか、」
氷馬は頭を抱える。
コーディの上半身が、吹き飛び血が飛び散る。
身体が真っ二つに切れてしまった。
「殺す。」
そうして、氷馬はエドワードを殴り殺す。
ただひたすらに、弱ったエドワードを殴り続けた。
その光景に、ノラは声が出ない。
氷馬、ノラ、コーディ、エドワードに勝利。
エドワード、コーディ、死亡。
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「ラムネ!」
半兵衛が、ラムネに駆け寄りクルーと戦っているアイザックを見つめる。
「パパもいくよ!」
そうして、手を引っ張りクルーに挑む。
クルーとアイザックの剣がぶつかる。
アイザックの後ろから、氷の剣が何発もクルーに向かって飛んでくる。
カレンによって生成された魔法のようだ。
「まだだ!」
クルーは直ぐに、全て避けアイザックを押していく。
「くっ、、」
「あんたの弱点は優しさだ!」
そうして、アイザックを吹き飛ばす。
直ぐにラムネがパワーでゴリ押すも、通用しなく
その後から来る半兵衛も、全く無理である。
「……」
すると、クルーに向かって巨大な風が向かってくる。
「まだだ、終わってないよな?」
バレットがやって来たのだ。
「来い!」
そうして、クルーに向かって飛び込んできたバレット。
お互い拳と剣が激しくぶつかり、火花が散る。
「竜王剣・龍の舞、乱舞!」
そうして、一気にバレットに向かってクルーは一直線に攻撃を仕掛ける。
その速度は、蹴った衝撃で地面が凹むほど
「……!」
バレットは、頬に一撃を喰らう。
だが、直ぐに体制を立て直し仕掛ける。
バレットの強力な一撃により、辺りが吹き飛ぶ。
「……闘気、、か」
クルーは一歩下がる。
その瞬間、アイザックが追撃を仕掛ける。
クルーはアイザックの凄まじい攻撃の速さに反応が遅れた。
「救焔絶光!」
そうして、アイザックの一撃がクルーに入る、はずだった。
アイザックの脳に過去の思い出が蘇る。
「兄さん……」
「クルー、」
その瞬間、アイザックにできたその隙をクルーは見逃さなかった。
アイザックの胸を、思いっきり切り裂くクルー。
アイザックが倒れ込む。
そして、クルーはアイザックの腕を切る。
「俺の勝ちだ……」
アイザックを見下ろすクルー。
その光景にカレンは叫ぶ。
「あなた!!!」
そうして、ラムネとバレット、半兵衛も直ぐに動くが、全て軽々と倒されてしまう。
ラムネに至ってはかなり重症で、意識がない、
その光景にカレンは絶句する。
辺り一面が血に埋め尽くされていく。
カレンは魔法を出そうとするもの、クルーに蹴られ倒れ込む。
「終わりだ、」
胸を貫かれるカレン。
「アイザックに勝った……俺の目的は果たした、、、
果たしたんだ、、」
クルーは消えていく。
カレンの意識はもう既に、今にも死にそうな息だ。
だが、カレンは考える。
アイザックのこと、残されたハイルの事、
父と母を若くして亡くしたらきっと、想像以上に辛い。
なら、少しでもそれを減らせるように、元々母が居ないようにすればいいのではないかと、カレンは考える。
「ハイル、、愛してる。」
そうして、カレンはハイルの気持ちを少しでもまだ楽にできるように、忘却の魔法を使う。
その規模は、世界中。
そうして、カレンは静かに息を引き取り、その体も消えていってしまう。
ライリーは、遅れた。
レイと一緒に、なんとかヴォルクスを倒すことに
成功して直ぐにアイザックの元に向かう。
だが、既に遅くアイザックの意識が消えかけている。
「デイ、、ビス、はぁ、頼むわ、アイツら……子供達を……」
そうして息を引き取る。
「ふさげやがって、、アイザック。任せろ、、」
ライリーは、涙を流した。
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「どこ、ここ?」
俺は知らない、、いや、少し見覚えのありそうな部屋で目を覚ます。
確か、少し眠って、、最後に指輪に触れたのを覚えている。
その部屋にあったカレンダーを見ると、その日付は
単眼族を助けた日の日付だ。
「……え?」
俺が困惑していると、見覚えのある声が聞こえた、
「ハイル、お前ここに居たのか?体調は?」
コーディだった。
「ああ、大丈夫だよ、、」
(過去?、、でもなんで……)
その時、俺はバレットの言葉を思い出す。
あの指輪は、何か手助けをしてくれるかもしれない。
そういうことか?
「どうした?」
「ああ、なんでもない……」
俺は慌てて誤魔化す。
「ハイル、アザトースとの戦い。俺死ぬかもしれない、」
コーディはそんな事を言い出した。
「なんで、、?」
俺が聞き返すと、少し微笑みながらコーディは続ける。
「糸っていうのはな、運命の糸だったりさ、未来が少しわかるんだ。
まぁ、直感的なもんだけどさ、、もしも死んだら、
俺の能力をお前が受け継いでほしい。
お前ならもっと上手く使えるよ、」
「でも、、」
そうして、手から糸を出し、俺の指に絡める。
「仲間、だろ?
ハイル、、託すわ!」
そうして、意識が元に戻る。
目の前では、先生たちが戦っている。
その時、俺は直ぐに理解した。
魔力が、、辺りから減った。
敵が死んだのはそうだけど、、
大量の兵士、、増援がたくさん来ているのもわかった。
だが、、それと同時に……
コーディの気配、それとバレットや半兵衛、アイザック、、ラムネ…………あと、なんだ、、何か無い。
まさか、、死んだ……?
そんな事が俺の脳裏に浮かぶ。
やだ、、やだ、、
嘘だろ、、
そう考えていると、アルフィーが目の前に飛んでくる。
かなり苦戦しているようだ。
そうして、俺はさっきのコーディの約束を思い出した。
能力を継ぐ、、
《想像者のオリジナル能力、能力複製を獲得。
コーディ・エヴァンスの能力である操神縷を獲得しました。》
そうして、俺は手首から糸を出す。
「俺も参加する。」
そう言って、俺はアザトースに向かっていく。
校長や、教師が止めるが、そんなの何も聞こえない。
コイツらは、絶対に許さない、
後悔させて、徹底的に痛めつけて殺す。
《能力獲得、暗翳殲滅を獲得。
これにより、ドーパミン、アドレナリンが多く排出。
超越者への、片鱗・前兆を確認しました。》
ああ、殲滅……
生かしてはおかない……
吹き飛ばしすぎ




