第二十四話 行方不明者#2
「どこに連れて行く気?」
グウェンが青年に問いかけた。
青年は当たり前かのように言った。
「君をこの国の時計台で殺す。助けが来なかったらだけどね。」
笑顔で言うその青年。
何を言っているのかグウェンには理解できなかった。
(何を言っているの?)
そう言われグウェンは青年に時計台へと連れられいかれた。
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夜、城内にて…
「しかし、見つからないよね。」
ルーナが言った。
俺たちは呑気に城で夕食を食べながら話していた。
にしても、城は広いし召使さんは多いしすごいな。そんな風に思っていた時、王の隣にいたハーマンさんが俺の方に近づいてきて話しかけてきた。
「ハイル様、後でお話が…」
「ん?分かりました。」
なんだろ?そう思い、俺は夕食後ハーマンの部屋に向かった。
「よく来てくれました。単刀直入に言いますが、ハイル様は転移者、もしくは転生者ですか?」
ハーマンが突拍子の無いことを聞いてきた。
おっと、?
バレた?なんで?
「どうして?」
俺が聞き返すと
「隠さなくても結構です。私は転移者で、元の世界では赤木浩一と言います。
この世界には子供の頃に転移してきてそこから、
まぁ色々です。」
「子供の頃?そんな前から…元の世界に帰れる方法は、あるんですか?」
俺が慌てて聞き返した。
だが、ハーマンは首を横に振った。
「残念ながら今のとこは、ただ、この世界転移者や転生者などは珍しくはありません。
何が原因かは分かりませんが…」
なるほど、
「ありがとう。」
俺がそう言った時だった。
外から声が聞こえた。
「ハイル!!お探しの人、グウェンお嬢様は時計台の上にいます。
すぐに来ないと…不味いんじゃ〜ないですか?」
そう微笑むように気味が悪い声が街に鳴り響いている。
なんだ?そう俺が反応するよりも早く、ハーマンが刀を持ち焦るように言ってきた。
「ハイルさん!お嬢様が…」
あ~もう、分かってるよ。
「急ごう。」
そう言ってハーマンの部屋から出て時計台に向かおうとした時城内の様子がおかしかった。
「ハ、〜イル?」
ルーナか、
いや、これ違う。
「「ハイル、?どうかしたのか?」」
レイとコーディが聞いてきたが、二人とも様子がおかしい。
ラムネもハーバード王、その他召使の人達もまるで、別人かのようになっている。
もはや、自我がなく生きている者だけをただ襲うだけのゾンビみたいだ。
「城内でまともなのは俺たちだけか?」
洗脳か?いや、でも少し違う。なんの能力だ?
「おい、コレどうなってるんだ?」
そう問いかけてきたのはどこから来たのか、
ルシファーだった。
「おまえ、無事なのか?」
「何がだ?」
こいつ、無事なんかい。
「ハイルさん!あそこ」
その時ハーマンが指を指してきた。
ハーマンが指を指した先にいたのは一人の男。
白いスーツを皆纏い、長髪に体が鱗に覆われている。
「ハイルお前を殺すだが、それは俺ではない」
カサカサの声でそう申告してきた。
なんなんだ?コイツ。
「ハイルさん。ここは私が食い止めます。」
ハーマンが言い出した。
おいおい、マジで?この男だけならまだしも、
レイとかルーナとかいるよ?少しキツイんじゃ……
だが、ハーマンの言葉には自信が込められていた。
「大丈夫です。お嬢様を頼みました。」
ハーマンは持っていた刀を構えそう言った。
「こいつの刀…」
ルシファーは何かに気づいたようだった。
「わかった。頼んだ、ハーマン。」
そう言って俺とルシファーはその場をハーマンに任せ、後にした…
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外はもう真っ暗。
だが、そんなことお構なしに攻撃が来た。
「ハイル。避けろ」
ルシファーが俺にそう言ってきた。
俺はすかさず右に避けた。
俺の今さっきいた場所が丸々切り取られたかのように破壊されていた。
次から次へと、次はなんだ?
後ろを振り返ると白い鱗の4メートルほどの巨男が立っていた。
すると、すぐにルシファーが言った。
「こいつは、少し強いな。ここは僕が引き受けてやる。余裕ができたら、ハーマンの方の助けにも言ってやるさ。」
そう言ってルシファーは一時的にコーモリの姿を解き、初めて会った時の人型に変化した。
相変わらず銀髪のキラキラと光る羽織ものを来ていて神々しい。
「さ、行けよ。ハイル。」
まさか、こんなにあっさりと協力してくれるとは思わなかったが、
ここは、ルシファーを信じるとしよう。
そうして俺は時計台に急いだ。
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時計台前までやってきた。
時計台の上の方を見るとグウェンが時計の短針部分に縛られていた。今の時刻は11時40分。
このままだと、あと20分で長針が短針と重なり
グウェンが死んでしまう。
俺の目の前に一人の少年が降りてきた。
「やぁ〜よく来たね。ハイル。
僕の知り合いが失礼したよ。ハーマンが戦っているのはイオド。あいつ見た目きしょいでしょ。
コーモリ君が戦っているのは、ナラトゥース。
あいつ気性荒くて嫌になるんだよね。」
こいつ、ルシファーには気づいていないのか。
しかし、なんでこんなに呑気なんだ。
「そんな事はどうでもいい。さっさとグウェンさんを返せ。
ファエトン!」
俺がそう言い右手を伸ばす。
奥の方から何かが近づいている音がしている。
ファエトンだ。
ファエトンは俺の右手に収まった
「ほぉーすごいね、やっぱそれ。」
嘲笑うかのように笑う青年。
「僕の名前はファロール。よろしく。
主人に言われてるんだ。君の首を持ってこいって、ファエトンが欲しいんだって。」
何を舐めたこと言ってるんだ?
「そうか。そんなに欲しいのならくれてやるよ」
俺がそう言ってファエトンをファロールに向けて投げた。
だが、簡単に避けられてしまった。
「ほぉーこわい、こわい。速すぎでしょ
当たったら死ぬじゃん。
でも、ハイル。覚えていた方がいいよ。武器に頼っているやつは弱いってこと。」
ファロールがそう言った時、俺に膝蹴りを飛ばしてきた。
「…っっ!」
速い…コイツ。
「お、今の止めるか、やるね。」
そう自信満々に言うファロール。
そうして、俺とファロールの戦いが始まった。




