日常(?)
俺、渡辺日向は苦悩していた。
どうしてか……それを語るには時間が必要だ。
そしてこの話は俺以外に理解することができないかもしれない。
だが俺は語る。
モテるために……。
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『あんたなんか嫌い! 二度と話しかけないで!』
場所は図書館。俺はズキズキと痛む右頬を抑えながら、目の前の可憐な女性を見つめていた。
容姿端麗、完全絶後。運動神経が良く、きっとこの世界で一番美しいだろう。
……いや、二番目だな。一番はエマ・◯トソンだ。ハリー・◯ッター時代のハー◯イオニーは可愛すぎて……!
「黙れ。続けろ」
すまない。失礼した。
そんな世界で二番目に美しい女性と相対しているのは、世界で一番美しい男。俺。
もちろんその時、俺は疑問を抱いていたさ。
なぜか。分かるかい? ……そう。頬を叩かれたからさ!
急激に襲いかかる痛みに、俺はたじろぐことしかできなかった……。
「……」
では、なぜ彼女は俺のことを叩いたのか。
わからないだろうな。俺だってその時は理解できなかった。
こんなイケメンを無下にするなんて、無駄としか言えないだろう。
いや、キミのような人なら振られてもおかしくないだろうが、俺だ。わかるか? 俺だぞ?
幾度となく女性を手駒にしてきた、俺がだぞ?
「いや、お前彼女できたこと無いだろ」
コホン。とにかく、俺に女を紹介してくれ!!
お前、彼女居るんだろ! もう見栄を張るのは辞めるから! 彼女さんの友達でいいからさ!
「お前、クズだな」
は、はぁぁ!?
俺が彼女できたらモテないお前に紹介してやろうって考えてやってたのにさーー。
ほんっと、これだから童貞は……。
「で、もう帰って良い? これからちょっと約束あるんだけど」
は? だから俺に女紹介してくれって!
「いや、そんな態度のやつに紹介するわけねえじゃん。調子のんなよ」
ッ! ……分かった。じゃあなんで振られたか、一緒に考えてくれ。
俺がなぜ振られたのか……。
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そうやって奴は空に手を仰ぎ、遠くを見て黄昏れはじめた。
「彼女、欲しいなあ」
……俺は奴を無視して踵を返し、世界で一番美しい彼女の元へ向かったのだった。
なんでこんなのを書いたのか……