つなぐ宙と心は、星のプレリュード
パールホワイトの
空の彼方から
舞い降りる青雨の
一粒ひと粒が
まるで真珠のように
流れる硝子を
見つめる窓辺に
風はやさしく
涼暮月の街角で
そっと
耳に溶けていく
風のハーモニカを
聴きながら
琴弾草の芽が
雲間から青みゆく空へ
伸びて季節の扉を
開こうとするとき
クラスペディアの
花が奏でる
爽やかな音色は
夏のプレリュード
三日月のハープは
夜を奏でて
季節の第二楽章へ
向かいゆく夜に
明日へと続く旋律を
響かせながら
真珠雲の彼方から
舞い降りる光
月のしずくは
やさしさをのせて
星座がつくる琴は
季節を奏でて
東の夜空から
聴こえくる音色は
こと座の星々
宙に描かれた
八十八の星座の中で
それはたった一つの
楽器の星座
ベガが煌めく
宙に導かれながら
遥かな星の音色に
耳をすませて
古人が宙に
描いた星の竪琴
竪琴につながれた
弦は七つ
宙につないだ
星は六つ
七つめの弦は
七つめの星は
それはきっと
それぞれの心の中に
夏へ向かう太陽が
鳴らすファンファーレも
風のハーモニカが
夕若葉にそよぐひと時も
雨音のピアニッシモが
静かな時を刻む夜も
巡りゆく季節という
舞台の上で
奏でる「今日」という
この、一小節に
心の琴線が鳴らす
その音色を
大切にしながら
月と星が今と
続く未来を
奏でる宙の彼方から
舞い降りる光の
その一つひとつが
照らし出す
涼暮月の窓辺に
心が奏でる
夢への、プレリュード
6月の夜空に上ること座は、88の星座で唯一の楽器がモチーフの星座で、「夏の大三角」の一つ、ベガをはじめ6つの星が竪琴を描きます。諸説ありますが、星座ができた当時の弦の数は7本だったとされます。
パール(真珠)は、6月の誕生石で、「月のしずく」「人魚の涙」とも呼ばれます。石言葉は「純粋」「静かな力強さ」などです。プレリュードは、前奏曲の意味です。
琴弾草は、初夏に芽を伸ばすマツの別名です。涼暮月は6月、青雨はこの時期の雨のことです。初夏から咲くクラスペディアは、ドラムスティックのような花で、花言葉は「心の扉をたたく」です。
季節の星や花をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。