前へ目次 次へ 98/142 96絶望と絶望と絶望のみの街、バランタイン 例の事件から十四日が経過した。 連日の黒い雨の影響なのだろうか。 山のふもとにいる男が手に握っていた、黒い物体が形もなく音もなく崩れ去った。 その跡には、黒い灰が人型の形をして残っていた。 山のふもとで佇むだけの男は、握るものを失い、手をダランと下げる。 バランタインは未だ一面が白と黒のモノトーンの世界。 男は握るものを失いがらも、元々街があったと思われる場所の一点を見つめるだけだった。 男はまだ生きているようである。