前へ目次 次へ 97/142 95絶望と絶望と絶望しかない街、バランタイン 例の事件から十日が経過した。 黒い雨は上がった。 ただ、それだけである。 ただのそれだけであって、何も変わることはない。 山のふもとには、黒い人型の物体をただ握るだけの男が佇んでいる。 男がただ一点を見つめる先には、一面の白と黒のモノトーンの世界が広がっている。 ただ、それだけ。 雨があがっただけで、何か変わることはなかった。 男は今日も黒い人型の物体の手の部分を握りしめながら、元々街があった場所、ただ一点を見つめる。