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75魔法陣設置の任務

 

「お待たせしました。」


 レストランで給仕するのは葵だ。手には超高級バランタインフルコースの魚料理が添えられている。

 エプロン姿は、どう見てもこのレストランの店員にしか見えない。


 竜真と葵は、以前もこの店員として働いていた。竜真に至っては、料理の技量を認められ、バランタイン中でも一流と認められていたほどだ。


 その竜真と葵を店員に斡旋したのはご主人様だった。そのご主人様は姿を現そうとしないのだが。


 しばらくの間は、特殊部隊としての任務もないため、竜真と葵は宿屋ブルーの店員の生活に戻っていた。

 毎日、朝早くに起床し、同じ日課をこなしながら、わずかな自由時間を過ごして就寝する毎日。


 以前と違うことがあるとすれば、ご主人様が姿を見せなくなったこと。どうやら、タリスカーが食事が運んでいるようで、どこかにはいるようだが、姿を見せようとはしなかった。



 そんな折に、ガーデンから突然の任務がやってきた。

 ガーデンに出向き、いつものグレンの部屋で、任務の説明を受けるのだが、なんとも変な任務だ。


「これを、指定の場所に彫る?」


 グレンから渡されたのは、不思議な模様の書かれた紙だ。丸い円形状をした形の中に複雑怪奇な線や文字が書かれている。人の両腕を広げたぐらいの大きさで、これを複写して彫るのは大変だろう。


「魔法陣というらしいが、俺もよくわからん。今回の依頼は魔導開発部隊からだそうだ。」


 魔導開発部隊、モルトの直轄の部隊だ。魔術の研究をしているという。

 おそらくだが、先日、モルトが言っていた「長距離魔導飛行破壊兵器」の設備の一部なのだろうか。この複雑怪奇な絵がどのように作用するのかはわからない。


 兎にも角にも、任務は任務なので、言われた場所に行く。

 竜真たちが指定されているのは、山の中腹だ。

 途中までは登山道が整備されており、はぁ、はぁ、と息を切らしながらも登ったが、途中からは道すら整備されておらず、地形図だけを頼りに、藪に覆われた中を、刀で刈り取りながら進むしかない。


 辺り一帯を藪に覆われた所を一進一退しながら進んできた二人だが、突然目の前が広がった。

 ここが、指示されたポイントだ。

 高台となって、眺望の良い。バランタインが島であることが一望でき、街を見下ろし、所々に教会の尖塔が見える。

 奥には海が見え、水平線が広がり、鳥たちがバランタインの空の上を優雅に飛んでいる。


「きれいね。」


 葵が話しかけてきた。


「そうだな、まさか、バランタインにこんなところがあったとはな。」

「とっとやっちゃいましょ。」


 とりあえず、指示されたように、魔法陣を地面に模写するが、モルトが言うには西国、つまりは、大京国を破壊する兵器だと言う。このまま、真面目に作業してしまっていいものか。


 その疑問が生じる以前に、作業はするが、二人とも徐々に顔がげっそりしていた。

 絵が複雑怪奇すぎる。人が腕を広げた程もある大きく複雑怪奇な図形を、正確に模写するなどやってられない。


「ねぇ、竜真・・・これ、やらないといけないの。」

「俺も思っていたところだ。これ、大京国を攻撃する魔術か何かの設備の一部なんだろ。わざと手抜きしてもいいんじゃないか。」

「あたしも、そう思った。」


 任務は紙にかかれた魔法陣を、正確に地面に模写せよ、というもの。二人はわざと間違えて、複写した。あまりに面倒なので、細かいところは省略した。


 それでも、この魔法陣の模写には時間がかかった。

 気が付けば、西空が真赤に染まっている時間になっている。奥に見える水平線には太陽が沈みそうだ。


「もう、いいだろ。」

「そうね、これだけやれば、手を抜いたようには見えないわね。」


 やっとのことで、下山する二人だが、帰り道は再びあの藪の中切り開かなければ行けない。


 ふと、竜真は葵のほうを振り向く。


「・・・おい、葵・・・。頭に草が載ってるぞ。」

「竜真も、頭に草の花が咲いてるわよ。」


 あまりの藪のすごさに、竜真とお葵の二人は、体の至るところに雑草を巻きつけていた。


 ―――


 翌日のこと、ガーデンにへ赴き、魔女に例の魔法陣のことを尋ねようとしたが、再度、グレンに呼び止められた。


「実はな、まだ魔法陣の設置の任務はまだあってな。今日は、こっちの場所に、魔法陣の模写を頼む。」


 グレンは魔法陣の書かれた紙を竜真に渡すと、竜真はそれを受けとってしまった。


「えっ。」「えっ。」


 竜真も、葵も思わずに声が出てしまった。あの途方もない作業を今日もしないといけないのかと。


「どうやら、魔法陣の設置というのは一か所ではダメだそうなんだ。」

「あの、ちなみに、あと何か所ほどあるのでしょうか?」

「あと百か所ぐらいある。」


 竜真は聞くのではなかったと後悔する。

 ふと、葵のほうを振り向く。


「竜真、魔法陣のことはあたしが調べておく。うん、頑張れ。」


 といって、肩を叩くのだ。


「いや、お前もだからかな。」


 といって葵の手を強引に引きずり、再び魔法陣の設定の任務へこなすのだった。

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