表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/142

31竜真を救った者

工事中につき話数が変わってます。すいません。

「才蔵さん、命令違反です。」


 声を発したのはいったい誰だろうか。


 今、ここにいるのは、竜真、葵、黒装束の敵の頭と、黒装束の敵たちのはずだった。

 ただ、どこか聞き覚えのある声が、その現場に響いた。才蔵というのは敵の頭の名前か。


 葵は、声の方向へ顔を向けると、一人の女性が立っていた。


 着物に背が高く、茶色で長い髪を後ろでまとめていて、そのうなじが美しい。

 葵はふと気づいた。先日、古京で会った人とよく似た姿。竜真の剣術道場の関係の人で、たしか、天音とかいう人。


「そのまま治療を続けてください。」


 天音に似た女性がそのように話す。


「あ、天音・・・?、なぜ、あんたが・・・。」


 やはり、間違いない。あのとき、古京で出会った竜真と一緒にいた人、「天音」だ。

 天音は、声をかけられても無表情のまま、抜刀して才蔵の刀を受け続ける。


 葵は、いろいろと思うことはあるが、今は竜真の治療に専念する。

 み寄る。


「トメ様の命令は情報収集です。」

「ふん、最近入った新入りが・・・。誰が新入りの命令など・・・」

「あたしの命令ではありません。トメ様の命令です。」

「んだと。」


 天音は冷静に才蔵の言葉を返す。

 才蔵は天音に受け止められていた刀を払い、再度、天音へと向ける。

 が、その刹那のあとに、天音は視界から消え、才蔵の背後から刀の刃を才蔵の首筋へと当てた。

 天音は才蔵の耳元で、冷静に囁く。


「命令違反です。」

「チッ。どこぞの馬の骨か知らぬが、うまくトメ様に取り入りおって。」


 才蔵は一度身を翻して、天音から離れる。ところが、そこにいたはずの天音はいなくなっていた。

 才蔵は首筋に再び冷たい感覚を感じ取り、ふと、横目で見ると、再び背後を取られていた。天音の刀が首筋に当たっている。


 天音は再び無表情のまま囁く。


「才蔵さん。命令違反ですよ。」


 声調はまったく変わらず、冷静な声で、無表情で通告する。


「ちっ、くそが・・・撤収だ。」


 才蔵は刀をしまう。他の黒装束たちもすぐに撤収を開始した。


 葵は、まだ再生の魔法リジェネを継続していた。竜真の体に空いていた穴は完全に塞がり、血も止まっていた。

 天音はそんな葵のところへと近づき、様子を確認する。


 突然、才蔵とかいう敵に襲われ、竜真が死にそうになり、突然、天音が現れた。しかも、天音は竜真の道場の関係者だ。単なる偶然なのか。状況がまったく呑み込めない。


「危なかったところを助けていただいたのは感謝します。ですが・・・教えて下さい。あなたは、何者ですか。才蔵とかいう人と黒装束の隠密は何者なんですか。なんで、竜真がこんな目になるの。」

「・・・。」


 天音は相変わらず無表情で何も答えない。その代わり、ぼそっと一言をつぶやいた。


「城へ・・・。」

「城?古京城のこと?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ