表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/142

115完全予知魔術、プレディクション その1

 葵は、モノは試しにと、食べ物をつまみ食いするように、その場で完全予知を試してみる。

 一応は、その魔導書に発動方法は書かれてるが、以前、魔女が説明したように、完全予知という魔術は理論上は可能なだけで、あまりにも多くの気を必要とするので不可能なのだ。


 葵は、わかったうえで、モノは試しにと、完全予知魔術、プレディクションを発動させたつもりだった。


 葵は、魔術師としては、天才だった。

 だから、その魔術を発動するため、葵が気を錬成すると、葵から流れる気が滝のように漏れ出た。

 その気は、禁書庫を満たし、魔導図書館を満たした。さらに、魔導図書館から漏れ出た気の流れは、ガーデンの宮殿を満たし、ガーデンを聳える山からはバランタインの街中へと気が漏れ出る。


「おい、何だこれ?」

「な、何が起きているんだ。」


 ガーデンにいた魔術兵たちも、その様子には皆気づいた。

 ここまで濃厚な気が漏れ出ているのだ。当然、気づくが、それがどこから漏れているかはわからない。


 さらに、葵の気は海を超え、大京国を超えて、海洋の外国にまで届く。そして、地球を包み込み、宇宙までを包み、万物が葵の気で包まれる。


 そして、葵は発動させた。完全予知、プレディクション。


 葵の脳裏には、一秒先の世界が広がる。

 が、突然、脳裏に広がる世界は真っ暗になり、葵は、その場に倒れた。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・気が・・・気が・・・足りない・・・・・・腹減った。」


 当然だ。

 世界の未来を予知するなど、とんでもないほどの量の気を要する。

 むしろ、一秒だけでも未来予知を発動させたことが、凄いのだ。


 葵はその場にしばらくの間、倒れこんだ。


 あくる日、葵は、再びガーデンの地下の広場に来ていた。

 ここであれば、気の集中がしやすい。葵はまだ、あきらめてない。


 葵は、びっくりするほどお腹を膨らませてやってきた。大量の気を消費するための対策だ。

 葵は、大量の気を食べ物でカバーする気だった。


 もう一つの対策は、葵が手に持つ魔法陣が書かれた紙だ。

 先日、魔法陣について調べ、これを利用することで、大量の気を吸収できるのだ。利用しない手はない。


 葵は一人、紙に書かれた魔法陣を地面に複写する。

 とても繊細な作業で時間がかかる。いつもは、適当にごまかすが、今日だけは、真面目に複写した。


 魔法陣の複写が終わると、葵は気の錬成をはじめる。

 葵の中の豊富な気が、再び葵の体から滝のように漏れ出す。

 同時に、魔法陣も発動させる。魔法陣は赤く光り、ガーデン内から気を吸収し始め、葵に供給される。

 漏れ出した気は、地下の広場を埋め尽くし、ガーデンの宮殿を満たし、そして、ガーデンのある山の頂から、街中へと漏れ出ていく。さらに、漏れ出した気が、バランタインの街中へ侵入したところで、葵はグッと気をこらえた。


 葵は、考えた。

 これだけの気が必要となる。ならば、場所を限定すれば、現実的な気の消費量で済むのではと。

 もし、時間遡行魔術を使った者がいれば、このガーデン周辺にいるのではないかと。

 そう考えたからこそ、葵が漏れ出した気がバランタインの街まで進んだところで、グッと止めた。


 天才、魔術師、葵だからこそ出来た芸当かもしれない。


 そして、ついに完全予知、プレディクションを発動させた。


 葵の、脳裏には徐々に一秒先、二秒先の未来が映る。

 成功だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うーん、良き
2023/06/10 14:58 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ