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人魚姫は海底都市の浮上を夢に見る

作者: 下菊みこと

光の先には何が待っているのだろうか?


海に沈んだ都市アトランティス。かつて地上の楽園として君臨していたそこは、今は人魚達の楽園として愛されている。


「…はぁ」


人魚の王の娘であるルルは、アトランティスの中でも一際大きな城の中でため息をついた。今日もまた、地上の様子を見に行こうとするのを過保護な父に咎められたのだ。なんでも、とある時代の人魚の姫が人間に叶わぬ恋をして泡になって消えたらしい。私は人間なんかに恋をしないのに。だって私には好きな人がいる。れっきとした人魚の彼だ。


ルルの恋する相手は人魚の魔法使い、エ=イ。彼は海底都市アトランティスの浮上を目論んでいる危険思想の持ち主だ。もちろんルルとの仲は誰からも認められてはいない。


エ=イが言うには、アトランティスが浮上すると世界に混沌がもたらされるらしい。そして、世界に混沌がもたらされる時には愚かな人魚狩りという行為も無くなるとのこと。人間達が滅ぶから、らしい。


ルルはエ=イが人魚狩りで父と母を奪われたのを知っている。だから、エ=イの心に寄り添って来た。いよいよ今日は禁呪であるアトランティスの浮上を行う。こっそりと城を抜け出して、エ=イの元へ行く。今日で平和な地上の様子を見れるのも最後だから、見ておきたかったんだけどな。


「エ=イ!お待たせ!」


「ルル、いらっしゃい。さあ、禁呪の始まりです。眠りについた海底都市を目覚めさせましょう」


エ=イがアトランティス中にいつのまにか書き上げた魔法陣を起動する。瞬間、アトランティスが震え上がり少しずつ浮上する。人魚達はすぐさま異常に気付き、アトランティスから避難した。幸いに、取り残された者はいなかった。


海底都市アトランティスが浮上すると、人魚達はみんな掟を破り水面から顔を出して様子を伺った。するとどうだろう。アトランティスがぐじゃぐじゃに壊れ去り、かつて城として住んでいた場所から漆黒の翼を持つ化け物達が現れた。ああ、アトランティスはあれを封印するために沈んだのだと誰もが悟る。化け物達はやがて人間の国を襲いにいった。結果は遠くに見える血飛沫でわかった。だが、幸いにして化け物達は海には一切近付かない。みんなすぐに海に潜って集まって話し合う。そこにエ=イとルルの姿はなかった。エ=イとルルは禁呪を犯した者としてもうこの海の国では存在を認めないことが決定した。


エ=イとルルはそれを遠目で見て、聞いて、納得した。いくら人間が憎くても、限度というものがある。それはわかる。だから、仕方がない。


エ=イとルルはすぐさま必要な物だけを持ち他の領域の海に逃げ出した。エ=イの敵討ちは成功したのだ。もうこの領域に留まる理由はない。


「巻き込んですみません、ルル」


「いいの。エ=イ、大好き」


「僕も愛していますよ、ルル」


こうして二人は、逃避行の末に二人きりの場所でずっとずっと幸せに暮らしましたとさ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] マッドサイエンティストっぽい男性と、純真(?)な女性のカップル、いいですね。『人魚の楽園の古代都市』という設定にロマンを感じました。
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