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理由
「護りたい人がいるから。」
「最強を目指したから。」
「世界を救いたいから。」
「使命だったから。」
「天才だから。」
「モテるから。」
「カッコいいから。」
其々の理由を掲げ、彼らは《勇者》と成った。
魔王軍進行開始の五年前。
始まりの勇者にして、最強の勇者が生まれた。
彼はこう語る。
「勇者に成った理由は、カッコいいからです!」
最高の美少年とも称される彼から発せられた、残念発言。それは、全ての人が、その理由はないだろ。と、心を一つにした瞬間であった。
ただ、それと等しく、その純粋な美しい心を持つ少年に感動し、老若男女問わず、勇者に憧れた。
同じく、当時十三歳であった彼も、愛する人を守る力を欲して勇者を目指した。
「俺は強欲に。俺の愛する家族も、友達も、好きな人も、全てを守る力を手にいれる。その為に──」
勇者。それは、正義の象徴であり、最強の称号である。