表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人でなしと最強少女のサディスティックなハーレム生活  作者: たかまち ゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/82

第52話 ナナの協力

 ふと気付くと、いつの間にかナナが傍に寄ってきています。

 しかし、それに気付いても、私は魔法を中断しませんでした。

 今のルナさんの状態では、回復魔法を中断することは死に直結するからです。


 ナナは……この状況で、彼の命令に従い、私の腕や脚を折るつもりでしょうか?

 そのことを警戒しているのでしょう。他の少女達が、ナナの動きに注目していることが伝わってきます。


 しかし、ナナは私に触れませんでした。

 私の反対側に回って、ルナさんに手をかざします。


「駄目!」


 危険を感じて叫びましたが、ナナがルナさんに何らかの魔法をかけると、止まっていたルナさんの呼吸が回復しました。


 私が驚いてナナを見ると、彼女は顔を背けました。


「……助けたいんでしょ、この人?」

「ありがとう、ナナ……!」


 私の目から、涙が流れ落ちました。


 ナナが回復魔法を使えるなんて、知りませんでした。

 それにしても、まさかこの子が、私のために誰かを助けようとするなんて……。


 それからすぐに、ルナさんは血を吐き出しました。

 これは、喉に詰まりかけていたものでしょう。


 しばらくすると、ルナさんの状態は落ち着きました。

 呼吸が安定していますし、顔に触れると、温もりを感じます。

 私は、ホッとして息を吐きました。

 それに合わせて、少女達からも安堵の声が漏れました。


「ありがとう、ナナ。貴方のおかげよ」

「別に、貴方のためにやったわけじゃないわ……」


 そんなことを言ったナナを、私は抱きしめました。

 ナナはびっくりした様子でしたが、逃げようとはしませんでした。


 ルナさんが助かったのは、奇跡だと思います。

 マリーの攻撃魔法は、ルナさんに当たりませんでした。

 ミーシャが振るったナイフは、ルナさんを即死させませんでした。

 そして、私にとって最も距離のある存在だったナナが、頼んでもいないのに、私に協力してくれました。


 旅に出てから、ずっと苦しめられて。

 良いことなど、ほとんどなくて。

 何度も死にたいと思いましたが、今、ようやく報われた気持ちになりました。


「……それで? お前達は、その女を助けて、どうするつもりだ?」


 沈黙を守っていた彼が、こちらを馬鹿にするような口調で言いました。

 先ほどの狼狽えた様子と違って、落ち着きを取り戻しています。


「それは……とにかく、どこかで休ませないと……」


 私がそう言うと、彼はため息を吐きました。


「そうではない。その女は、警備隊の人間なのだろう? ならば、生かしておくと厄介なことになるぞ?」

「……」


 私は、彼の言葉を否定できず、黙り込んでしまいました。


 ルナさんが生き延びれば、ミーシャ達がカイザードとその仲間を殺したという事実を暴露されてしまうでしょう。

 そうなれば、私達は全員処刑されてしまいます。


 少女達の力は強大ですが、あまり連戦することができないという最大の弱点を抱えています。

 警備隊を相手にして、戦い続けることは不可能でしょう。


「ですが……ルナさんだって、マリーが処刑される事態は避けたいはずです!」

「そうだろうな。だが、その女が、マリーを助けるために、全てを黙っていると思うか?」

「……いいえ」


 ルナさんは、この国の治安を守る警備隊の人間です。

 自分の手でマリーを殺せなかったとしても、カイザード達を殺した少女達を、野放しにするとは思えません。

 間違いなく、警備隊に報告するでしょう。

 仮に、全ての痕跡をドロシーの魔法で消し去っても、何人もの隊員がいなくなれば、警備隊の幹部だってルナさんの言葉を信じるはずです。


「その女は、この場で殺してしまう以外にない。そんなことは、お前にだって分かるはずだ」

「……」

「せっかく助けたというのに、残念だったな」

「駄目です! この人は……殺させません!」

「だったら、どうやってこの女を黙らせる?」


 彼は、ニヤニヤと笑っています。

 私には、解決策などないことが分かっているのでしょう。

 私は唇を噛みました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ