第40話 彼の脅迫
街から離れた場所で、私達は夜営しました。
「スピーシャ。レベッカを、お前の妹にしてやろう」
彼がそう言ったので、私は驚きました。
「……よろしいのですか?」
「レベッカのことも、妹にしたいのだろう? お前の願いを叶えてやるんだ、感謝しろ」
「ありがとうございます!」
「だが……俺がレベッカの身体を確認することを、邪魔するなよ?」
「……」
そうでした。
私とミーシャは、彼のコレクションに加わった後で、裸にさせられて触られたのです。
その時の嫌悪感を思い出すとともに、レベッカを同じ目に遭わせることについて、私は抑えられない感情を抱きました。
「御主人様、それは……!」
「邪魔をするつもりなら、レベッカをお前の妹にはしない。そして、レベッカを使って遊ぶことも、一切自重しないからな? あいつがお前の妹になるなら、大怪我をするような行為はしないでやろうと思うが……」
「そんな……!」
彼の言葉は、彼によるレベッカへの性的虐待を容認しなければ、レベッカに重傷を負わせる、という脅しでした。
受け入れても拒否しても、レベッカに激しい苦痛が与えられることは同じです。
何という卑劣な男でしょうか!
私は、殺意を込めて彼を睨みました。
「そんなに怒るな。俺は、ガキの身体に興味があるわけではない。レベッカの身体を確認したら、お前だって、俺がやっていることに理解を示すはずだ」
「……どういうことですか?」
「自分で見れば分かる」
そう言って、彼はニヤリと笑いました。
夜遅いこともあって、私と彼とレベッカ以外は、全員が寝ました。
レベッカは、とても不安そうな様子です。
「レベッカ。この女も、今からお前の所有者になる。だが、俺にとっては、お前もスピーシャもコレクションの1つだ。この女のことは、姉だとでも思って接するといい」
「……姉、ですか?」
レベッカは、困惑した表情で、私のことを見つめます。
私は、なるべく彼女を怖がらせないように意識して、笑いかけました。
「よろしくね、レベッカ」
「は、はい、スピーシャ様!」
私は、レベッカを抱きしめて、頭を撫でます。
「……ごめんね、レベッカ。助けてあげられなくて、ごめんね……」
「あ、あの……?」
レベッカは、私が謝罪する意味が分からず、戸惑った様子です。
彼女がこれから何をされるのか……それを思うと、私の目からは、涙が溢れました。
「よし、レベッカ、こっちへ来い」
彼が、ニヤニヤと笑いながら言いました。
私は、再び彼を睨み付けます。
「御主人様……やはり、この子のことは、ご容赦いただけませんか?」
「駄目だ」
「ですが……この子は、まだ子供ですよ!?」
「邪魔をするなと言ったはずだ。俺が、レベッカに何をしてもいいのか?」
「……」
彼が苛立った様子で促したので、私はレベッカから離れました。
これ以上拒んだら、彼は、私を苦しめるために、レベッカに暴力を振るうかもしれません。
本当にレベッカが大怪我をしたら、私の魔法で治すことはできなくなります。
レベッカは、怯えた様子で、彼に近付いていきます。
彼は、レベッカを馬車の荷台に連れて行きました。
私も、彼らの後に付いて行きます。
「どうした、スピーシャ? お前の身体も確認してほしいのか?」
彼が、そう言ってゲラゲラと笑いました。
「レベッカを裸にしないでいただけるのでしたら、喜んで脱ぎます」
私は、望みを込めて言いました。
しかし、彼は首を振ります。
「そういう問題ではない。俺は、全てのコレクションを、自分で確認したいだけだ」
「……」
私は、唇を噛みました。
どうしても、レベッカが脱がされる事態は、阻止できないようです。
「まったく、お前は俺の邪魔ばかりするな」
そう言いながら、彼はついでのように、私の身体を触りました。
私は拒むことも、感情を消すこともせず、弄ばれる屈辱を受け入れます。
それは、レベッカに対する罪悪感からでした。
彼は、私の反応の良さに喜んだ様子で、私の身体を執拗に撫でたり揉んだりしました。




