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人でなしと最強少女のサディスティックなハーレム生活  作者: たかまち ゆう


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第34話 ボルボル鳥の羽毛

 私達は、高原の南にある街へ辿り着きました。


 何だか、北にあった街と比べて、寂れているような印象を受けます。

 一体、どうしてしまったのでしょう?


「いいか、お前達。この街には、女子供を攫って売り飛ばそうとするような奴がいるはずだ。絶対に、うろちょろするなよ?」


 彼が、少女達に命令します。

 どうやら、私が受けた印象は、間違っていないようでした。


「マニの気配は、この街の反対側からしている。行くぞ」


 そう言って、彼は歩き出します。

 私達は、彼の後について行きました。


「御主人様。この街は、何故寂れてしまったのでしょうか?」

「ボルボル鳥が絶滅したからだ。この街は、ボルボル鳥の羽毛を利用した産業が発達していたからな」

「……ボルボル鳥、ですか? 聞いたことがありませんが……」

「お前の年齢だと、そうだろう。ボルボル鳥というのは、かつて、ゴーラス高原だけに生息していた鳥だ」

「他の魔物は生き残っているのに、ボルボル鳥は絶滅してしまったのですか?」

「全盛期には、1羽のボルボル鳥が、数十枚の金貨になったという話があるからな。一攫千金を狙った数多くの冒険者が、ボルボル鳥を狙って、あの高原を血眼になって探したらしい。その冒険者たちが、宿泊や飲食で使った金も含めれば、ボルボル鳥がこの街にもたらした富は相当なものだっただろう」

「その冒険者達が、他の魔物も減らしたから、あの高原の魔物は減少したのですね?」

「そうだ。そして、高原から魔物が減ったことで、冒険者達はボルボル鳥を狩りやすくなった。その結果、1匹残らず狩り尽くし、ボルボル鳥を狙っていた冒険者達は、他の地域に移住してしまった、というわけだ」

「……」

「この街は、ボルボル鳥がいた時には、それがもたらす利益だけで稼いでいた。だが、ボルボル鳥が絶滅すると、他の産業を育ててこなかったために、生活が立ち行かなくなったんだろうな」


 あまりにも愚かだと思いました。

 多くの利益をもたらしたボルボル鳥を絶滅させたことも、街の人々がボルボル鳥による利益に依存したことも……。


 ですが、それよりも。

 ボルボル鳥を狩った冒険者達や、羽毛を売り捌いていた人達は、鳥を死滅させるほど狩ることに対して、罪悪感を抱かなかったのでしょうか?


 彼らには、ボルボル鳥という鳥が、お金にしか見えなかったのかもしれません。

 そうだとすれば、あまりにも恐ろしいことだと思いました。


「いたぞ、あいつだ」


 彼が立ち止まって、1人の少女を指差しました。


 そこにいたのは、紫色の髪の少女でした。

 どこか物憂げな顔をしており、服装から、貧しい家の子供であることが窺えます。

 歳は、ナナと同じ程度でしょう。


「身なりを整えてやれば、それなりに見栄えがしそうだな。俺のコレクションに相応しい娘だ」


 そう言って、彼は下品な笑みを浮かべました。

 本当に気持ちの悪い男です。


 彼は、少女に近寄って行きます。

 少女は、彼のことを、関心がなさそうな顔で見ました。


「おい。お前の名前は何というんだ?」


 彼が尋ねます。


「……レベッカ」


 少女が答えました。


「そうか。レベッカ、お前は今夜、家を抜け出して、ここに来い」

「……分かった」


 レベッカという少女は、ぼんやりとした様子で、私達の前から立ち去りました。


「御主人様は……普通の少女を操ることも、できるのですか!?」


 私は、驚きを隠せないまま尋ねました。


「いや。俺が操れるのは、マニに、心をほとんど食われたガキだけだ」

「では、あのレベッカという少女は……!」

「ああ。もう手遅れだ。間違いないなく、俺のコレクションになるだろう」


 彼は、嬉しそうに言いました。


 本当に……この男は、女の子を、何だと思っているのでしょうか?

 1人の少女の魂が、魔物によって食われたことを悲しむのではなく、コレクションが増えることを喜ぶとは……!


 この男の品性は、ボルボル鳥を狩り尽くした人達よりも、遥かに劣るように思えました。

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