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人でなしと最強少女のサディスティックなハーレム生活  作者: たかまち ゆう


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第20話 愛の歪み

 マリーは、勢いよく彼に跳び付きました。


「パパ! パパ!」


 彼の「娘」である少女は、「父親」に構ってもらえることが、嬉しくて仕方がないようです。

 彼は、そんなマリーの頭を、愛おしそうに撫でました。


「マリー、よく聞け。スピーシャは、今から俺の娘だ。お前にとっては、姉ということになる」

「……えっ?」


 マリーは、ショックを受けたようでした。

 そして、怖い顔で、私のことをジッと睨みます。


「どうした? スピーシャのことは、ねえさま、と呼んで慕うようにしろ」

「……パパ、この人、本当に私のねえさまなの?」

「俺の言うことが信用できないのか?」

「……」


 マリーは、困った顔をして、彼と私を交互に見ます。

 私は、手を広げて彼女を呼びました。


「マリー、こちらへいらっしゃい」


 マリーは、ためらいながらも、私の方へと近寄ってきました。

 私は、彼女のことを抱きしめます。


「……ねえさま」


 マリーは、自分に対して確認するように呟きました。

 そして、1回頷くと、私のことを抱き返してきます。


 マリーは、私のことを姉だと認識してくれたようでした。

 この子は元々、人に甘えたい性格なのでしょう。私に抱かれて、気持ちよさそうです。

 父が亡くなる前のミーシャを思い出しながら、私は彼女の頭を撫でました。


「……チッ」


 そんな私達を見て、彼が舌打ちしました。

 何故か、不快そうな顔をしています。


 他の少女達を妹にした時と、どうして反応が違うのでしょう?

 ひょっとしたら、マリーのことは独占しておきたかった、ということでしょうか?


 彼は、マリーを追い払おうとします。

 マリーは、名残惜しそうに私を見ましたが、彼には逆らえず、私達から離れた場所に行きました。

 それから、彼はナナを呼び寄せます。


「お兄ちゃん!」


 ナナは、彼に跳び付きました。

 この少女は、彼が集めた少女達の中で、最も彼の近くにいる時間が長い子です。

 おそらく、マリーよりもさらに、他者に甘えたい願望が強いのではないでしょうか?


「ナナ。この女は、今から俺の妹だ。お前にとっては姉ということになる。これからは、お姉ちゃんと呼んで慕え」

「えっ……!?」


 ナナは、驚きに表情を凍り付かせます。

 そして、私の方を、敵意を込めた顔で睨んできました。


「嫌! お兄ちゃんの妹は私だけなの!」


 そう言って、ナナは彼にしがみ付きます。

 やはり、彼女は彼の唯一の「妹」であることに対して、強いこだわりがあるようです。


「そうか、嫌か。そうだよな」


 彼は、ナナの頭を愛おしそうに撫でます。


 おそらく、彼には本物の妹がいないのでしょう。

 自分の命令に逆らっているのに、「妹」に対してデレデレです。


「ナナ、これからよろしくね?」


 私は、ナナに対してそう言いました。


 ナナは、私に対して敵意を向けてきます。

 彼女と「姉妹」になるためには、充分な時間が必要であるようでした。


「御主人様、ありがとうございました」


 ナナが離れた後で、私は、私の主人である男に感謝の言葉を述べました。

 彼は、満足そうに頷きます。


「どうだ? 妹に囲まれていると、お前も気分がいいだろう?」

「いえ、数が多ければ良いというわけでは……」

「隠そうとする必要はない。お前が妹に囲まれていると嬉しいのと同じで、俺は女に囲まれると気分がいい。やはり、人間という生き物は、良いものを、より多く集めることに喜びを覚える生き物なのだろうな」

「……どうして、人数が必要なんですか? 異性は、一番愛した1人がいてくだされば良いはずでしょう?」

「馬鹿かお前は? たった1人で、満足できるはずがないだろう?」

「……」


 やはり、この男は最低の人間です。

 私の父は、母が亡くなった後でも、母のことだけを愛し続けていましたが……この男は、女のことを、本当にコレクションだとしか思っていないのでしょう。

 どうにかして、ミーシャ達を、この男の魔の手から逃れさせることは出来ないでしょうか……?

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