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混交世界ージョインー  作者: 月陽ひかげ
5/5

歪み、そして討伐

 

「せんぱ~い、ケイコちゃん、昨日と服一緒なんだけど」

 そうレミィに指摘され服の変えが無いことを怒られた


「女の子は可愛くさせないと」

 と、言うことで服を買いに行く事になった


 明日、なん着かレミィと美琴が持ってきてくれる事になったが、デザインが古かったり、サイズが合うかわからない


 そんなわけでショッピングセンターに買いに行くことにした

 レミィは乗り気でついてきたが美琴は遠慮した

「私、そう、いった事、疎い、から」らしい


 ケイコと手をつないでレミィは前を歩く

「あっ!支払いは先輩ですから~」

「は?ちょっと待て!なんだそれは!?」

 あまりに唐突にとんでもないことを言うレミィ


「当然でしょ~先輩、保護者なんですから~」

「なっ!」

 レミィの発現に言葉を失うオレ

(なんでオレが…出来るだけ安く…つーか経費で落ちないかな…)

 浮かれている2人に落胆する1人


 それなりに歩くと目的地に到着、早々に服を見に行く


「さて、ケイコちゃんにはどれが似合うかな~」

 あれこれ探し始めるレミィ、そして始まるファッションショー

 もうケイコは着せ替え人形状態、着替えたら見せてすぐまた着替える

 それをひたすら繰り返す


「キャーかわいい~あっ!こっちもいい!でもでもこっちも捨てがたい」


 1人興奮するレミィ、流石にケイコも嫌じゃないだろうかと思ったが、特に何か言わないが、表象は照れ気味で、しっぽは元気に振られている

(まんざらでもないか…やはり女心はわからん)


 もう数えるの嫌になるほど着替えなん着か決めった

 そして支払い

(げっ!結構高い…)


 懐がだいぶ寒くなってしまった

(ケイコも喜んでいるようだが、なぜオレが…)


 買い物を終え、ショッピングセンターを後にしようとしたとき

 緊急コールがかかる


『歪み発生、クラスC、現状対応しきれないとのこと。特安課に応援要請』


 レミィと顔を合わせるオレ

「オレが行く、お前はケイコと一緒にいてくれ」

「了解、先輩も気を着けて」


「ケイコ、レミィから離れちゃダメだぞ」

 しゃがみこんでケイコの頭をなでながら言った

 ケイコは少しキョトンとしているが


「お姉ちゃんと、一緒にいればいいの?」

「そうだ」

「うん、わかった」

 オレは二人を残し現場に向かう


 《歪み》

 今だ、世界は混乱する

 統合されてなかったのか、転移してきたのか原因不明で突如新たなモノが姿を現す


 クラスC

 人々に危害を加え説得等が難しい、いわゆる魔物(モンスター)の類いである。場合によっては討伐もしなくてはならない


 凶悪犯罪など以外にもこういった事の対応も特安課の仕事で、オレがもっともやめたい理由である


 現場に到着するとすでに何人もの警官が魔物(モンスター)と対峙していた

(ちっ、よりにもよってドラゴンかよ)


 頭の先からしっぽの先までまで10メートル以上、頭の高さは4メートルは越え、翼を広げればさらに巨大に見える


 即座に指揮官らしき人物のところに行き

「特安課だ、状況はどうなっている」

「ひっ!特安課!?」

「おいっ!?」

「し、失礼しました」


 引きつった表情をなんとか戻す指揮官

「現在、民間人の避難はほぼ完了、取り残された人がいないか確認中、区間の封鎖にはいましばらくかかるかと…」

「では、対峙してる連中を下がらせろ、邪魔になる。」


 指揮官は通信機で部下に連絡、ドラゴンから距離をとり始める

 それを見てドラゴンに近づき始める阿倍


「くそっ!!司令部め!!特安に連絡すんじゃねーよ」

 指揮官らしき人物は小声で悪態をつく…


(さて、取り敢えず時間稼ぎだな…オレ1人だと無理だからな)

 阿倍はドラゴンの出方をうかがいながら近づく


 するとドラゴンは阿倍に気付きいきなり大口を開け炎を吐く


「っ!?氷柱(アイスウォール)!!」

 咄嗟(とっさ)に氷の壁を造り防ぐ、すぐさま横に避ける阿倍

 避けたとたん砕ける氷の壁、そして阿倍がいたであろう場所は炎に包まれる

(あっぶねー!?間一髪かよ!!くそっ!!)


 そのまま距離を取りつつ駆ける阿倍


光針(レイ)

 手のひらから無数の光の針が出現してドラゴンに襲いかかるがすべて弾かれる

(接近しないとダメか…)


 再度ドラゴンが炎を吐き阿倍を襲う


(フレイム)

 次は相殺させてみる阿倍、ギリギリでなんとか防ぐ、そのまま一気に距離を詰める


 ドラゴンは前足で踏み潰そうとしてくるが横によけ


光針(レイ)

 近距離からの撃ち込み、流石に効いたらしく(うな)るドラゴン

 "これなら"と思った矢先、巨体を動かししっぽで阿倍を凪ぎ払う


防御(プロテクト)

 防御してみたものの吹き飛ばされ、地面を転がるがすぐに起き上がる

 なんとか致命傷は避けた阿倍

(くそっ、こっちのダメージの方が大きいぞ)


 そこから阿倍はとにかく距離を取り接近戦を避けた。しかし相変わらず(フレイム)ブレスはなんとか防いでいる感じでかなり防戦一方。とにかく今は仲間の到着を待つしかなかったのである


(それにしても遅いな…)

 阿倍が到着してドラゴンと戦闘が始まって時間がたったが今だ誰も来ず、だいぶ疲労がたまり苦しくなる一方、手傷もかなりおって服装もボロボロになってきていた


 もう限界が近づいてきたら突如、上空に人影、高速で近づく、落下してくる人物は一直線にドラゴンに向かっていた。


 そしてそのまま突撃、迎え撃つドラゴン


 一閃


 そのまま落ちきた人物は地面に着地、遅れて落ちてきたのはドラゴンの頭

 さらに遅れてドラゴンの体が倒れ、絶命した


 落ちてき人物はゆっくり立ち上がり、刀を納めながら

「あ~すんません、遅れました、阿倍さん」

 悪びれもなく陽気に謝ってきた

「いや、助かったよ、フェイ」


 フェイ=ロウ

 同じ特安課の職員

 いつも陽気な青年で極度の戦闘狂、とにかく魔物(モンスター)と戦いたがり基本出勤せず常に街を徘徊(はいかい)している。そしていの一番に現場に行きたがる。というか毎回現場に現れる


 戦闘が主な特安課なので特に問題にならない。問題になるのは戦闘に夢中になり色々壊しまくる事。そのせいで、特安課=破壊集団、となり先程の指揮官のようにビビられ怖がられる


「というか、ほかの連中遅くないか?」

 皆の集まりの遅さに愚痴をこぼす


「え?ほかの人来ませんよ」

 フェイは陽気にさも当然の如くとんでもないことを言ってきた


「は?どうゆうことだ?」

「課長いわく『あれくらい阿倍一人で十分だろ』だそうです」

「はぁー!?なんだそれ!?」

(どう考えてもオレ1人でどうにかなる訳ないでしょ)


「まー僕は寝てて起きたらずいぶんたってて、慌ててきたんですけど」

「フェイ…」

(こいつこんな仲間思いだったとは…)


 そうフェイに感謝していると

「にしてもよかった、ドラゴン倒せて♪阿倍さん、独り占めは良くないですよ」

(こいつ、ただ自分が戦いたかっただけかよ!?)


 フェイが来てくれて助かったが来た理由を聞いて複雑な思いの阿倍


 取り敢えずなんとかなり、先程の指揮官が近づいてくる

「お疲れ様です」

「ああ、なんとかなったよ、あと頼めるか」

「了解しました」


 あとの事は他の連中に任せ帰る事にした

(イチチ、あちこちケガしたな、あ~あ、服もボロボロ…)

 のたのたと歩き始めると通信が、レミィだった


「あ~お疲れ、こっちは終わったよ」

 ため息混じりで現状報告していると


 レミィがかなり慌てた様子で告げてくる



『先輩!?大変です!!ケイコちゃんがいなくなっちゃいました!!』




 

 少し時間を(さかのぼ)


 部屋にフードの男が気だるげに立っていた。目の前にはイスにどっぷり座り気だるそうな男


「で、状況は?」

「はい、どうやら特安がケイコを保護したらしいっス」

「よし」

「だけど術式が発動する感じはありませんよ」

「なに?やつら放置したって事か?」

「いえいえ、そうではないらしいっス。どうやら罠に気づいて術式を解除せず、発動しないようにしたらいっス」

「くそ!やつらオレの楽しみを…」

 悔しそうな顔の男


 ケイコに施された術式、それには罠があり暴焔術式を解除しようとすると発動するようになっていたのだ


 つまり無闇に解除しようとして失敗、大爆発させるつもりだったのだ


 爆発すれば無能だったということが分かり、それを嘲笑うのが男の楽しみだった


 男はケイコを使ってあちこちの警察を爆破させては楽しんでいて、今回はこの区画の警察がターゲットだったのだ


 その前に阿倍(特安)との接触があったのでターゲットを変更したのだが失敗。その事に男は苛立っていた


「仕方がない…今回はヤメだ、回収してこい」

「それなんですけど、常に特安課がついているのでかなり難しいかと」

「くそっ!」


 男は机を叩き苛立ちも限界に来ていた


 するとフードの男の後ろ、ソファーに座っていた着物の女が

「ならば妾が行こう」


 立ち上がりイスに座った男に提案


「お前が行くのか?」

「ただ迎えに行くだけじゃ、怪しまれたり、ケイコが抵抗したりしないから妾が適任じゃろ」

「…そうだな」


 イスの男の返事を聞いて部屋を後にする着物の女。部屋から着物の女が出でった後それを見たフードの男は

「何であんな態度でいられんですかねぇ?」

「オレが知るか」

 どうでもよさげなイスの男




(さて、どうやって接触したものやら)

 街歩く着物の女

 するとはるか遠くで騒ぎが

(これは…もしや歪み?ならば都合がよい、この騒ぎに便乗してケイコを連れて行こう)

 ケイコのもとへ向かう女




 ケイコは戸惑っていた


 先程のまで楽しく買い物をしていたはずなのに…阿倍はどこかへ行ってしまって、レミィは辺りを警戒している


 不安の気持ちで一杯のケイコ

「ケイコちゃん、ちょっと移動しようか」


 レミィに促され移動する。向かった先は封鎖している警官のところ

「すみません、状況を教えてください」


 手帳を見せながら警官に訪ねる

「特安課か…現在、君らの同僚が戦闘中らしい、だいぶ苦戦しているようだ」


 やっぱり、という表情のレミィ

(課長は任せればいいって言ったけど誰か向かったのかな?)

(ケイコちゃんがいるから私は迎えないし…)


 思案するレミィ、そしてまた警官に話しかける


 そんな不安げなレミィを見ていたケイコはさらに不安になる

 ふと、辺りを見回すと


(ん!?あれは!?)

 何かに気づくケイコ、そして気がつけば走り出していた


 目的のところまで一直線、そして立ち止まり

母様(かあさま)!?」

(わらわ)は母でないぞ」


 着物の女の前に立つ笑顔のケイコ

 無表情にただケイコを見る着物の女、そのまま振り返りスタスタ歩き出し告げる

「さて、ではゆくぞケイコ」


 そんな態度の着物の女にケイコは

「あっ!でも、母様(かあさま)…」

「はよ、こい、置いてくぞ」


 ケイコの言葉を遮る着物の女


 ケイコはしゅんと落ち込み、振り返り、レミィがいるであろう方をちらっと見たら、着物の女の後を追いかけた




 魔物(モンスター)討伐の後処理をフェイに任せレミィと合流しようと急ぐ阿倍


(くそっ!どう言うことだ…)

 ケイコが急にいなくなった事に苛立つ阿倍


 そしてレミィと合流する

「レミィ!?ケイコがいなくなったって」

「すみません、私が少し目を離してしまったせいです」

「謝るのは後だ、とにかく探さないと」

(なぜいなくなった?それに歪みの発生とケイコの行方不明…何か関係が?)


 阿倍はかなり混乱している


 歪みは本当にただの偶然なのだか、逆にそれが意図的に行われたように感じられ、さらに阿倍を混乱させた

「くそっ!探すにもどうやれば」

 苛立ちはじめる


「先輩……」

 不安げに見つめるレミィするとあることに気づく


「先輩!?服!?」

「んっ?服?」

「ケイコちゃんがさっきまで着ていた服」

 そう言い、今朝から着ていたケイコの服を差し出す


 ケイコは服を買ったさい、そのまま着替えたのである

 そして行方不明に


 つまり先程まで身に付けていたものがあったのである

「それだ!?追跡(チェイス)


 阿倍はレミィから服を受け取り、即座に術式を発動ケイコの位置を探す

「大体の位置はつかんだ」

(しかし結構距離があるな…)


「よし!行くぞレミィ!?それと課長に連絡を頼む」

「分かりました」


 その場を後にしケイコのもとへ向かう阿倍とレミィ


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