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きみたちのこと  作者: 乾ソノト
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父のこと.1

「人生というのはたいして面白くはないが、死んじまうほどつまらないものでもない」


 正確な言い回しは覚えていないが、だいたいこういった意味の言葉を聞かされたのは、14、5歳の頃だったろうか。暇つぶしに生きている、とも言っていた気がする。冗談めかした言い方で、どこまで本気であったかわからないが、私にとっては呪いのような言葉で、33歳になった今もなお、考え方の根底に刷り込まれてしまっている。


 「酒仙になりたい」ともよく言っていた。ただの大酒飲みではなく、世間と距離をおき静かに酒を飲み、仙人のように生きたい、といった意味合いであろう。家族を養うだけの不労収入や貯金があれば酒仙とやらになっても文句はないが、もちろんそんな金は持っていない。バブル崩壊直後には1億円を超える借金を抱えていたという話で、我が家はずっと貧乏だった。


 酒は中学生の時分から飲んでいたらしい。教壇の下に酒瓶を隠し、休み時間の都度飲んでいた、などと話していたが、今思えば作り話であろう。しかし、私と父は年が47も離れていたため、半世紀前の中学校の雰囲気など想像もつかず、当時は疑いもしなかった。


 万事がこのような調子で、父の話は浮世離れしていたりふざけていたり、嘘も多かったと思われるが、母から聞いた話とあわせて、なるべく事実と思われることを書いていきたいと思う。

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