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4話目


「ファンビー」の主人公及び攻略対象の面々は、基本的に永門学園生徒会と関係がある者ばかり。

つまり当然の結果、凌河も攻略キャラの一人ということになる。



プレイヤーは生徒会書記の2年生、加藤佳祐(かとうけいすけ)として、凌河を始めとした他の生徒会メンバーや一部の面々を攻略していくことになる。因みに獣耳は虎。


基本的に加藤総攻め無双で個別ルート、ハーレムルート、隠しルートなんかがあるらしいが相変わらず詳しいことを俺は知らない。


一先ず理解していることは目の前にいる加藤先輩は主人公兼バリタチのホモ男で、幼馴染みは既に彼の毒牙にかかりかけてるってことだろうか。



そしてこの俺も無関係ではない。

何を隠そう俺自身も攻略キャラの一人だからな。言わずもがな、というやつである。



俺は凌河の幼馴染みでこいつ経由でしか接触できない隠しルートキャラらしい。

凌河と一緒に活動していれば確実に出会うことになるのは分かってはいたんだけど、ある理由から敢えて一緒に行動しつつ、できるだけ加藤と出会わないように行動してきた。

遅かれ早かれ確実に出会うだろうなあとは思ってたけど、まさかこんなに唐突に来るとは。



「俺らの一個上…ってことは凌河と同い年の子か!どうも初めまして、俺は加藤佳祐、2年だ。生徒会の書記と凌河の指導役をやってる」


獣耳をぴこぴこさせながら、人当たりのいい笑顔で自己紹介してきた。短い耳がちょっと可愛いが、中々ガタイのいい男だ。


「…矢ケ崎月燈、です」

「月燈君ね、宜しく。…もしかして結構無口なタイプ?」

「人と話すのは…あまり得意じゃない、です」


歯切れの悪さから察したのか、質問されたので素直に答える。

元々話すのは得意じゃない上に子供の頃から凌河という他人を寄せ付けない鉄壁バリケードが終始張られていた俺に、下手にコミュ力を期待してはいけないのだ。



「へー凌河の友達っていうからどんなタイプかと思ったら随分大人しいんだね、イケメンだしクールビューティーって感じ」


突然加藤の男らしく整った顔がぐいっと近寄って来て少し驚く。

そのまま加藤は俺の顔にかかった長い前髪をさりげなくするりとどかし、更にクイッと顎を持ち上げて、いたずらっぽくにやりと笑った。口元の鋭い犬歯が覗いてワイルドな印象。


おお、これが俗に言う顎クイかあ。まさかされる日が来るとは。

クソほども嬉しくないわ。



「なっ…!!」


横では突然の加藤の急接近に俺よりも驚いている凌河がわなわなと震えた声を上げる。今俺そっち向けないけど、きっと尻尾もブサブサに逆立ってんだろうな。おーいしっかりしろー。


取り敢えず石化した幼馴染みを放っておいて、話を進めてみることにした。


「別にそんなんじゃないです、単に口下手なだけですから。あと顔近いです」

「そうかな?結構モテそうだと思うんだけど。ていうか俺も割と好みかも、なんてね」

「はあ…」


流石は総攻め無双の加藤佳祐、歯の浮くような台詞を平然と言いのけやがる。

だけどそういうのは女子に言った方が効果あると思うぞ。少なくとも俺は痺れないし憧れない。


「あ、突然近寄って悪かった、思った以上に動じないんだな。気に入ったかも」


一切悪びれた様子もなしに加藤は俺から手を離し、少し距離を取った。それでも初対面にしてはまだ近い気がするのはきっと気のせいじゃないだろう。尻尾もそこはかとなくユラユラしている。

この世界の人間は尻尾と耳がよく動くので分かりやすいな。



そこでようやく石像と化していた凌河が再起動して、


「なにやってんすか!!!」


と顔を真っ赤にして間に入ってきた。

普段なら俺に近づく相手がいれば真っ先に一刀両断するこいつがフリーズモードになってたっことは、もしかしてこれが加藤と俺の初接触イベントだったんだろうか、と何となくだが感じ取ったのだった。

ちょっとBLっぽい動きさせてみたつもりですが主人公があまりにも動じないので書いてて逆に楽しい。

肉食獣ばっかなのは単に筆者の趣味です(それ以外も一応出す予定)

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