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2話目


まさかBLゲームの世界に転生するなんて思ってなかった。しかも獣耳パラダイスという属性付きとは。

別に同性愛について偏見がある訳じゃ無いし、獣耳が嫌いなわけでもないが流石にこれは変化球だろう。



ん、そもそも何でここがBLゲームの世界だって分かったか?


転生前の俺の姉と妹が腐海の民───所謂「腐女子」という生命体だったからだ。



うちの姉妹は筋金入りのオタクだった。そして作品を選ぶ時はまずキャラクターから入る事が多いタイプでもあった。

2人して好きなキャラの方向性は違うくせに、好きな作品はいつも被っていて、俺がいるのもお構い無しにお互いしょっちゅう自分の推しキャラ自慢とやらを繰り広げてた。


俺は元々ゲームやアニメは人並みに好きだったし、姉妹のオタク基質も別に嫌いではなかった。寧ろ何かに打ち込める熱意があるという点では2人のことは認めていたし、分からないなりにもたまに話し相手になってもいた。


そんな中、ある日妹が

「兄さん!このキャラまじで推せるから!!兄さんもワンチャン好きになるかもよ、寧ろなれなってくれ後生だ!!!」

と言い、更に

「いーや!我が弟ならばこっちを推薦するねあたしは!!よかろ!?なあよかろ!!???」

などと姉が宣ったキャラクターがいた作品があった。



それが「FANTASY BEAST HIGH SCHOOL」(ファンタジービーストスクール)、略して「ファンビー」というゲームだった。


電池切れかけてブルスコファー↑とか言い出す人形を思い出しそうなタイトルな訳だが、れっきとしたR18でBLなPCエロゲである。


詳しいストーリーやら何やらは知らんが、取り敢えず獣耳男共がキャッキャウフフして主人公に攻略されて雌になる(この言い方は正直いまいち好きになれない)という内容らしい。


詳しく知らないのならどうしてここが「ファンビー」の世界だと俺が思ってるのか。


それは件の妹の推しキャラ「鉱狼の凌河」が幼馴染みの犬耳で、姉の推しキャラ「黒豹の月燈」がこの俺自身だからだ。



自覚した時の俺の脳内は筆舌に尽くしがたい。正に混乱に混乱を重ねた。

鏡を見ればどこからどう見ても自分の容姿は姉の部屋のポスターやグッズで見たキャラそのものだし、心配して見舞いに来てくれた凌河も毎日のように妹に見せつけられていた設定資料画集のイラストまんまだった。


転生する前もした後も元々ぼんやりする事の多かった俺だがあの時ばかりはぼんやりどころか心が無になった。

無の極地になることで簡易的にだが心の安寧を図った。



三日ほどかけて熱も下がり、ようやく冷静な思考を取り戻した俺はこれからの身の振り方を考えることにした。


まず入学式まで一週間もないこの状況で、主人公や攻略対象のいる学校以外へ行ける選択肢はない。

なら必死になって自分以外の攻略対象キャラや俺達を狙う主人公キャラから逃げて回るべきだろう。


この世界の人間には誰しも獣耳がついているが、その種類によって得意不得意が違う。


幸いにも俺は「黒豹」だ、逃げるのは得意だし、見つからないように立ち回るのも割と得意な方だ。


凌河とは幼馴染みだから仕方が無いが、あと4人はいるはずの攻略キャラ+主人公とは絶対に関わらないで生きていきたい。


ゲームに詳しくはないがどんなキャラがいるのかは姉妹のお蔭で一応知っているので、兎に角それを頼りに頑張ることにする。



それ以外に方法がないのがまたしんどい。興味なくても話くらい聞いておけばよかったか…?

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