出会い
僕は何も知らなかった。
教えてくれる母親もいない中、僕が何かを知ることもない。群れからも外れてしまって、あぁ僕は、何も知らないで生きる術さえ持っていないのだった。
本能に従うことでしか、僕は生きることが出来なかった。
そんな僕の前に現れたのが、君だったのだ。
「あんだ、何さやってるだ?」
「ん、おらか? おらはなんをやったるたぁねえ。ほんだら、ウサギでも取っかと思っただけんだ」
驚くほど美しい君の姿に見惚れつつ、平然を装って僕は適当に答えたが、本当に僕の自然が平然な姿に見えたかは怪しい。
君が敏感な人だったら、もう僕の気持ちは既に見抜かれていることだろう。
幸い、君はそうではないようだった。
「んだか。しっちゃば、おでも一緒にいていいだが? 狩りばしとるとこ、見でいんじゃ」
狩りをしているところを見たいなどと、理由はわからなかったが、それで君と一緒にいられるのなら、僕としては嬉しいところしかなかった。
むしろ、最高だとすら言えるだろう。
一目惚れだったんだ。
なんとも美しい君に、美しさそのものとも言えるような君に、惚れないはずもなかったのだろう。
案の定、好きになったとも言える。
「構わんけんども、見とったってなんぞ面白いことなどながべ。しっかし、おめが喜ぶっちゃったら、しゃっしゃかおらは捕まえた獲物も、おめにあげるっさ」
「いいのけ? すったら、お願いしちまおうがの。少しばかり腹ば減っとったとかだったんじゃ」
君が見ていると思うと、かっこいいところを見せたかった。
とにかく、いいところを見せたいと思った。
なんでもよかった、君が僕を想ってさえくれるのなら。
いっそ、君が望むことが叶うのなら、それだけでいいとすら言えた。
一目見ただけで、それほどに惚れてしまっていたのだ。




