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時給ロケンロール!!

作者: てこ/ひかり

「続いてのコンビニ店員は大人気、エイコーマート紫町店の佐野基次郎さんです!会場の皆さん、どうぞ温かい拍手でお迎えください。それではお呼びいたしましょう。佐野さぁん!」

「どうも…ありがとう」



「いやあ佐野さん。相変わらずサングラス似合ってますね!どうですかこの会場の熱気!」

「すごいですね。僕もいつもお客様には元気もらってます」

「それでは改めて佐野さんのプロフィールを紹介いたしましょう。地元福岡で生接客を中心に活動する魂のコンビニ店員、佐野基次郎さん31歳。その枠に囚われない感受性豊かな表現力で、多くのファンを魅了してきました。そんな彼を今日この場にお迎えいたしまして、ラジオを通して公開生接客をしてもらおうというのが今回の企画です!」

「わざわざありがとうございます…ハハ、本当にすごい熱気ですね」



「佐野さん。まず本番の前に…たくさん質問が届いているのですが、読み上げてもよろしいですか!?」

「どうぞ。僕に答えられる範囲であれば」

「笑顔がニクイなぁ…それではまず、ラジオネーム『スパゲティ髭』さんから。【佐野さんが接客に出会ったのはいつごろですか?いつから接客業を志すようになりましたか?】」



「そうだなぁ…初めて『接客』というものを意識したのは小学校2年生くらいですかね。その時はまだ『レジ打ち』があんなに感動的だなんて思ってなくて。そもそも『レジ打ち』で感動するなんて思ってなかったもん。でも初めて見たときのあの叩きつけられるリズム、テンポ…。心から持って行かれましたね」

「大体いつくらいからレジ打ちを始められたんですか?」

「中学2年の時にね、オヤジに中古のレジスター買ってもらって。もう夜通しボタンを叩きつけましたよ。はじめはもちろん下手くそだったけど…お釣り間違えたり笑」



「そんな佐野さんも今や日本を代表するレジ打ちの名手ですからね。佐野さんに憧れてレジを打ち始めた若者は多いと思いますよ。それでは次の質問です。ラジオネーム『余命一ヶ月のゾンビ』さん。【実際の店でメジャーデビューした時は緊張しましたか?】」

「うーん。緊張ってのはなかったかな。あのころは仲間もちゃんとフォローしてくれたしね。ただ、メジャーに行っても、自分のテンポだけは見失わないように心がけていましたね。それはソロになってからも、ずっと」

「確かにインディーズから大きな店舗に行って、ガラリと『接客性』が変わる店員さんたちも多いですもんね」

「あとは『品だし』ね。どれだけ良い『接客性』があっても、実際の品物が無ければオーディエンスには響かないよね」

「なるほど」



「そして『清掃』。店員さんの中には『清掃』をおろそかにする人も正直いますけど。毎日『清掃』することで、如何にコンディションを上まで持っていけるか。僕は重要だと思ってます」

「本当にその通りですね。佐野さんの『接客』をよくよく聞いていると、確かにすごく清掃の行き届いたストリングスが効いてるような気がします」

「ありがとう…効いてるかな?笑」



「さあ皆さん、そんな佐野さんの新情報です!佐野さんが10年前に結成していた伝説の青春ロックアルバイト、『24時間営業』が…来月一夜限り復活することに決定しましたー!!」

「いやぁ…ハハハ。どうもありがとう」



「いやあのレジ打ちがまた見られるかと思うと私も今から興奮しております。伝説のシフトメンバー、G(勤)山崎健、B(勤)イシバシケンタロウ、Dr(連勤)佐藤恭平も再結成ということで!」

「ええまぁ…全員集合します笑」

「ウオオオオ!!これは皆さん見に行かない理由なんてなァい!! チケットのご予約は佐野さんの生接客が終わったあとすぐ、電話とFAX、Eメールで募集しますのでどしどし応募ヨロシク!!」

「お願いします」

「それでは佐野さん!準備も整いましたので、最後に会場、そしてラジオの前のリスナーの皆さんに熱いメッセージをどうぞ!!」

「はい。…皆さん、エイコーマート紫町店で会えるのを楽しみにしています。皆で『いらっしゃいませ』と盛り上がりましょう!…笑。佐野基次郎でしたー」

「佐野さんありがとうございました! それでは特設ステージの方へどうぞ!!」



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― 新着の感想 ―
[良い点] シュールなネタものでありながら 会話のセンスが抜群でした。 何度も読み返すとどんどんおかしいところが出て来る 短いのにスルメな楽しみのある短編だと思います。 [気になる点] なんかもうひと…
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