きっかけ
「なあ~、隼人~」
先程から俺に話しかけている男は、相川 真
警察学校の同期だ。卒業後、真は捜査二課に配属され、俺は交番勤務となった。職場が違っても、真のこの性格のお蔭で俺と真は今でも仲がいい。俺が捜査二課に配属されて、真は先輩の立場なのに気にかけてくれている。
「なんですか?先輩~」
俺は上の空で答えた。
「止めろよ~。俺はそういうの嫌だから止めてくれって言ってるのに~。」
真はむくれた顔をしながら、隼人の前に缶コーヒーを置いた。真は自分の缶コーヒーを開けて一口飲むと言った。
「昨日も、ダメだったか~。」
「悪かったな。根性なしで、、、」
「桃子さん、待ってくれてんだろ?子供たちも、、、」
「分かってるんだけど、まだ心の準備が、、、」
「大丈夫だって。桃子さんなら許してくれるって。」
「分かってるよ。桃子さんは、きっと怒らない。」
「じゃあ、、、」
「俺が、自分を許せないんだ。桃子さんの優しさに甘えてる自分が。きっと、今回謝って帰って来てもらっても、今の俺はきっと同じ事を繰り返す。俺が本当に変われるまで桃子さんには電話出来ない、、、」
そう言うと、真は少し考えて言った。
「じゃあ、こうしよう!」
真は何か閃いたようだった。