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はじめの気持ち
「ねえ、ママー。いつおうち帰るのー?」
「そうねえー、、、」
桃子は娘のゆいに毎日の様にこの質問をされていた。最初は何とか誤魔化してはいたが流石にもうつける嘘も底をついてしまった。新しい言い訳を考えている最中もゆいは桃子の腕を掴み、同じ質問を繰り返す。
「おい、ゆい。ママを困らせたらダメだろ?」
「あ、お兄ちゃん。」
ゆいの興味は桃子からはじめに移った。ゆいははじめに抱っこをせがんだ。はじめはゆいを抱き上げた。日に日にお兄ちゃんらしくなっていくはじめを見て、桃子はありがたいと思う反面、まだ子供のはじめに頼ってしまう自分が情けなく思えた。
「ごめんね、はじめ。」
「何でママが謝るの?僕はお兄ちゃんなんだから。」
「、、、はじめも、少しパパに似てきたわね。」
「、、、僕はパパになんて似てないよ。」
「何ー?昔はパパみたいになるって言ってたじゃない?」
「それは、昔の話だろ?」




